ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

本文

平成25年度研究テーマ

戦略的基盤技術高度化支援事業

金属・加工グループ

被削性およびコスト低減を可能にするスマート鍛造プロセスの開発
自動車用鍛造品の製造では、機械加工を容易にするため、一般的には熱間鍛造後に焼準が施される。しかし、熱間鍛造+焼準では、二度の加熱工程が必要となり、非効率でエネルギー損失が大きい。本事業において、熱間鍛造・冷却工程を精密に制御することにより、一度の加熱で機械加工性に優れた鍛造製品を製造するための、省エネルギー・低コスト化技術を開発した。

リチウムイオンキャパシタ(LIC)用孔開き集電体の量産を実現する革新的プレス加工技術の開発

打ち抜き加工後のカスを効率的に回収する技術を確立するために、実機に近い状態でのカスの挙動および空気の流動特性が明確に観察できるシステムを構築した。観察の結果、吸引流量の増加にともなって、流速が高くなり、その結果、カスが除去されやすくなることが分かった。

自動車部品の軽量化を促進するためのメタルと炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のレーザを用いる異材接合技術のシステム開発

各種エラストマーのCFRPに対する接合性を評価することができた。また、熱可塑性CFRPに対して、熱損傷のない前処理・観察が可能となった。

実用化技術開発事業

化学・新素材グループ

発酵技術による物質生産とその高度化

複雑な要因が絡み合い変化する実地での製麹経過を再現することができる、酒米を用いた試験製麹法を開発実証した。これを用いることにより、製麹状態を再現良く均一に制御でき、実地で変化する不安定な条件が酵素生産に及ぼす影響を評価することが可能になった。

マイクロリアクターを利用したナノ粒子合成技術の確立

マイクロリアクターを利用して、酸化インジウムスズ(ITO)粒子のナノサイズ化に関して検討を行った。マイクロサイズの反応空間場に適した出発原料の種類、濃度、反応pH、温度、流速、熟成時間等の合成条件を最適化することにより、ITO粒子のナノサイズ化に成功した。粒度均一性の高い、約6nmサイズのITO粒子を合成することが出来た。

食品・医療分野における施設環境の微生物制御技術の高度化

清拭クロスのバクテリア除去性能について、客観的かつ再現性を持って定量的な評価が可能な評価系の構築を検討した。医療現場での使用を想定し、付着基材をPET樹脂、バクテリアをPseudomonas fluorescens と決定した。検討の結果、1)基材へのバクテリアの均一付着手法、2)人の手に拠らない客観性・再現性に優れる拭き取り手法、3)画像解析を活用したバクテリア細胞の定量的評価手法を確立し、客観的かつ再現性の高い定量的評価が可能となった。

高分子グループ

低環境負荷・高性能な高分子複合材料の開発

低環境負荷な材料の開発を目的に、天然素材を用いた高分子複合材料の創製を検討した。最も汎用されているポリプロピレン(PP)にセルロース粉末をフィラーとして複合化させ、衝撃強度の向上に成功した。また、柔軟性および引張強度の要求特性を満たした、天然ゴム系熱可塑性エラストマーを開発した。

セルロース系素材を活用した環境対応型繊維製品の開発

綿糸の精練が染料の染着性に及ぼす影響を評価し、その特性を明らかにした。これらの知見を基にムラ染め糸を試作した。

金属・加工グループ

ドライプロセスの複合化によるトライボロジー特性の向上に関する研究

各種鉄鋼基材上への高密着の高硬度水素フリーダイヤモンドライクカーボン(ta-C)の成膜に成功した。ta-C膜同士の摺動試験において、摩擦係数が測定雰囲気の湿度によって変化することが判明した。電子ビーム照射した鉄鋼基材上へ成膜したta-C膜は、油潤滑下で摩擦係数が低減することがわかった。

表面制御技術を応用した金属加工製品の高付加価値化に関する研究開発

アルミニウム合金への光輝性付与方法として、品質・コストに優れた電解研磨を採用し、合金系に応じた最適処理条件を決定するとともに、表面形状・光沢度の経時変化について調査した。その結果、次のことが明らかになった。低強度合金に対して高い光沢度を得るためには、電解研磨前の機械研磨において、うねりを除去しておくことが重要である。高強度合金の場合には、特に銅の量が多いものについて、光沢度の低下が起こりやすく、電解条件を厳密に管理することが必要である。

計測制御グループ

数値解析技術を用いた熱・振動・騒音対策技術の開発

機器(発熱騒音源)の低騒音化と熱対策を高次元で両立する排熱防音構造の実現を目標に、排熱を促進する煙突構造に消音構造を組み込んだ構造について、放熱性能と消音性能について数値解析を用いて検討を行った。数値解析の結果によれば、膨張型消音器を煙突として使用することで、排熱効率を上げながら、騒音も抑制できる可能性があることが明らかになった。

基盤技術形成事業

連携推進グループ

CFRPの高品質加工技術の開発

CFRP(カーボン繊維強化プラスチック)の高品質・高能率加工を目的に、ウォータジェット加工とレーザ加工の併用加工の可能性を調査した。その結果、レーザ加工においては炭素繊維と母材のエポキシの昇華に必要なエネルギー差が大きく、母材に大きな影響を与えずに炭素繊維を切断しようとすると、現状よりも高いレーザ出力が必要であることがわかった。

応用技術開発事業

連携推進グループ

インバーター機器に対する新たな伝導ノイズ評価手法の確立

インバーター機器に対して、電源線の2線の電源ノイズを同時に測定し、その機器のノイズ発生源等価モデルを計算するシステムを構築した。このシステムでは、電源線インピーダンスを自動切り替えすることにより、2分以内の短時間でデータ収集ができるようになった。

特別電源所在県科学技術振興事業

高分子グループ

洗浄・殺菌用薬剤に対する耐久性に優れた高分子材料の開発

食品・医療分野の殺菌・洗浄操作で汎用される次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)によるエチレンプロピレンゴム(EPDM)の劣化機構について検討を行った。NaOCl水溶液の温度、pH、濃度等の使用条件がEPDMの劣化に及ぼす影響を明らかにし、実際の劣化において見られる形態変化を促進劣化によって再現することに成功した。

ふくしま医療福祉機器開発事業

金属・加工グループ

次世代生体吸収性ステント用マグネシウム合金チューブ及びステントの開発・商品化

マグネシウム(Mg)合金製チューブに対するステントの試作工程において、レーザ加工時に使用する水流がチューブ内面の粗さを低下させることが分かった。それらの内面に対して機械的研磨を行うことで、電解研磨に適した前処理面が実現できることが分かった。

戦略的情報通信研究開発(SCOPE)

連携推進グループ

暗号機器のサイドチャネル攻撃に対する安全設計に関する研究開発

単発のパルス波を電源線より注入し、暗号ICのクロック信号にグリッチを発生させるようフォルト発生方法を改良した。この方法では従来のEMCマクロモデルをそのまま適用はできないが、その概念を拡張して活用できることを確認した。

グリーンバイオプロジェクト推進事業

化学・新素材グループ

セルロース系バイオマスの微粉砕処理による繊維状粉体の開発

原料のひのきチップを湿式ディスクミル粉砕する際に、ポリグリセリン脂肪酸エステルを添加して微粉砕物を試作した。その結果、粉砕物のサイズや形態に影響を及ぼすことなく、水への分散性が向上する含水リグノセルロースナノファイバーが得られることが分かった。

気候変動に対応した新たな社会の創出に向けた社会システムの改革プログラム

化学・新素材グループ

森と人が共生するSMART工場モデル実証

ひのきチップの水熱処理(150℃,2h)を行った後、2軸型粉砕機で粗粉砕を行い、続いて、新規開発した1軸型粉砕機による粉砕を行った。粉砕物を湿式振動ふるい機(ふるい目45μm及び75μm)により分級処理して、ふるい下の懸濁液を回収した後、ディスクミルを用いて微粉砕を行った。その結果、粉砕と分級を組み合わせた湿式プロセスによって、繊維幅50~200nm程度のリグノセルロースナノファイバーが得られることが分かった。