ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

本文

結核とは?

印刷ページ表示 ページ番号:0653505 2020年3月19日更新環境保健センター

結核は「過去の病気」だと思っていませんか?

結核とは

 結核は今でも1年間に約1万6千人の新しい患者が発生し、約2千人が命を落としている我が国最大級の感染症なのです。(厚生労働省:平成30年結核登録者情報調査年報)
 結核は、結核菌によって主に肺に炎症を起こす病気です。結核患者が咳やくしゃみをすると、そのシブキの中の結核菌が空気中に飛び散り、周囲の人がそれを吸い込むことによって感染します(空気感染)。

発病

 結核に感染しても必ず発病するわけではなく、通常は身体の免疫機能が働いて結核菌の増殖を抑え込みます。しかし、結核菌は強い菌なので、体内で冬眠状態になって生き残ります。そして、高齢や糖尿病などで免疫力が低下すると、再び増殖を始めて発病します。感染しても発病するのは10人に1人程度で、日頃から十分な健康管理をしていれば、一生発病しない可能性が高いのです。

症状と治療

 結核の初期症状は、風邪とよく似ていますが、咳やタンが2週間以上続いたら早めに医療機関で受診しましょう。早期発見は、適切な治療につながり、また、家族や職場等への感染の拡大防止にもつながります。
 結核を発病しても、きちんと服薬すれば多くの患者は完治します。また、発病前の「感染」の状態で発見できれば、服薬により発病を予防できます。

集団感染

 結核が蔓延していた1950年頃は、成人のほとんどが結核既感染であったため、集団感染は、主に学校で結核未感染の子供達によって発生していました。ところが今は、中年の人でも大部分が未感染ですから、学校以外に事業所、病院、福祉施設など様々な場所で多発しています。
 結核は過去の病気と思いこみ、症状が現れても本人も医師も気付かず、受診や診断が遅れるケースが多いことが、集団感染の多発につながっています。また最近では、結核既感染の高齢者が新たな結核菌に再び感染し、集団感染に発展したケースも報告されています。

地域の結核対策としての結核菌の遺伝子解析

 岡山県では、結核の感染源や感染経路を究明するため、県内の結核新登録患者から分離された結核菌のDNAをvariable-number of tandem-repeats(VNTR)解析し、解析結果をデータベース化しています。
 VNTR解析は、結核菌のゲノム上に多数存在する繰り返し配列の反復回数の違いを利用した解析方法で、複数の領域で繰り返し配列の反復回数をPCRの増幅産物の分子量から求めて比較します。同一の感染源の菌株では、複数の領域での繰り返し回数の組み合わせ(VNTR型)は一致するため、患者間の感染が疑われる事例において、判断の根拠となります。
 さらに、感染源が判らない患者から分離された菌株のVNTR型をデータベースに登録されたVNTR型と照合して一致する菌株が存在すれば、感染源究明に繋がります。
VNTR解析の一部の領域での解析例