アメリカによる相互関税等の導入について
はじめに、アメリカによる相互関税等の導入についてであります。
すでに報道が出ておりますが、日本に対して24%の相互関税をかける内容となっております。
また、昨日、自動車に対する25%の追加関税が発動されており、アメリカと取引のある県内企業をはじめとして、地域経済への影響が懸念されているところであります。
こうしたことから、現在、県内企業の状況の把握に努めているところであり、支援機関等と連携しながら、県内企業への影響が軽減されるよう、スピード感をもって、必要な対策に取り組んでまいりたいと考えております。
岡山市南区の山林火災について
次に、岡山市南区の山林火災についてであります。
県内における過去最大規模となった山林火災に見舞われた地域の皆様に対し、心からお見舞い申し上げます。発生から6日目にして、ようやく鎮圧されましたが、この間の住民の皆様のご心労は大変なものであったとお察しいたします。
また、鎮圧まで昼夜を問わず、消火活動にご尽力いただいた地元消防、県内全ての消防本部の皆様をはじめ、他県の航空ヘリ隊、陸上自衛隊の皆様に対しまして、深く敬意を表しますとともに、改めて心よりお礼を申し上げます。
地元消防の皆様には鎮火に向け、現在も活動いただいておりますが、安全に留意いただくようお願いいたします。
今回の山林火災を教訓として、これまで以上に、県民に対する火災予防の啓発に取り組んでまいります。
新年度にあたって
それでは、本日、私からは3項目、お話をさせていただきます。
まずは、新年度にあたっての私の思いについてであります。
今年度から、第4次晴れの国おかやま生き活きプランがスタートしました。新プランでは、少子化対策を新たな柱に加え、若い世代の出会い、結婚の希望がかなう環境づくりを推進するとともに、若者の還流と定着に、これまで以上に取り組むこととしております。市町村や企業等とも一層連携を深めながら、若い世代が本県を選び、安心して住み続けることができるよう、効果的な施策を強力に推進してまいります。
また、大阪・関西万博や瀬戸内国際芸術祭の開幕が目前に迫ってまいりました。この好機を捉え、本県を滞在拠点とした周遊を促進するプロモーションの実施や、全県的な観光キャンペーンの展開など、本県の認知度向上と宿泊客の増加に取り組んでまいります。
J1に昇格したファジアーノ岡山やドジャースの山本由伸選手の活躍など、まだまだ続く「岡山旋風」も追い風に、これまでに生まれた好循環の流れをさらに力強いものとし、すべての県民が明るい笑顔で暮らす「生き活き岡山」の実現を目指してまいりたいと存じます。
おかやまマラソンについて
次に、おかやまマラソンについてであります。
本年11月9日に第9回目となる「おかやまマラソン2025(にせんにじゅうご)」を開催いたしますが、開催の7か月前にあたる来週9日から、いよいよランナー募集が始まります。
今大会では、ニックネーム入りゼッケンの導入による沿道応援者の声かけ促進や、「ハイタッチ応援ゾーン」の新設により、ランナーと沿道応援者の双方の更なる満足度の向上を図ることとしております。
引き続き、皆様に一層愛される大会となるよう、実行委員会を中心に着実に準備を進めてまいりますので、ぜひ多くの皆様にご参加をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
岡山桃太郎空港利用者4,000万人達成について
次に、岡山桃太郎空港利用者4000万人達成についてであります。
昨日、4月3日、1988年3月の開港からの利用者数、4000万人を達成いたしました。
達成を記念して、4月17日に、記念セレモニーを開催いたします。
3年4か月もの長きに渡ったコロナ禍による旅客者数の減少など、4000万人達成までには、様々なことがありましたが、航空会社をはじめ、グランドハンドリングや保安検査などの事業者、リムジンバスなどの空港アクセスを支えていただいた方々、さらには空港の運営にご理解いただいている地元住民の皆さまなど、多くの方々に感謝しております。
今後とも、多くの方にご利用いただけるよう、関係者と連携して、路線の維持・拡充に努めるとともに、将来のインバウンド需要等への対応や、利用者の利便性・快適性の向上を目指し、岡山の空の玄関口にふさわしい空港となるよう、しっかりと取り組んでまいります。
私からは、以上でございます。
質疑応答
記者)
知事、冒頭に関税のことを言及されましたけれども、県としての対応というお言葉もありましたが、想定としてはどういったことをお考えになっていますでしょうか。
知事)
県としてできることは限られています。まず国がアメリカと交渉するということなのだろうと思うのですけれども、とにかく大変な規模で岡山県の経済に悪影響を及ぼすことがもうほぼ確実でありますので、できることはできるだけ早くやるということでございます。まず、我々何が起きているかということが、私も含めて正確にわかっておりません。早急に情報収集をすると。国の方で我々の持っていない情報を持っていることもあります。我々自身の情報収集とともに、関係する、特に中小企業の支援機関、商工会議所連合会ですとか、商工会連合会ですとか、産業振興財団ですとか、中小企業団体中央会、そういった皆さんと早急に連絡を取りまして、これからどの機関が得た情報であっても共有できるようにする。傘下の企業の皆さんにできるだけ早く伝えるようにすると。こういう体制をとりたいと思います。もう週末に入りますので、週明けすぐには、今日の夕方にでも発表する予定と聞いておりますけれども、週明けにすぐその連携会議を立ち上げるということにいたしております。まず正確な情報、そもそも、ものすごく大雑把に決めたように見える追加関税ですので、それぞれの業界について、どういう形で適用されることになりそうなのかと、24%だとか25%というのが、その数字になるのか(元々の関税に)上乗せになるのか、何か上乗せになりそうではありますけれども、いろいろな場合(があり)、ここまでは税率なしで、そこを超えると税率がこうなる、どっちの方に上乗せになるのかですとか、わからないことだらけでありますので、とにかく情報収集と伝達と、あと資金繰りに困る会社が出てこようかと思います。国の方でこれから矢継ぎ早にいろいろな対策が出てこようかと思いますけれども、それについてもわかり次第お伝えをするということでありますし、それでも足りないということであれば、もしくは国の場合、少し規模が県よりも大きめですので、コロナのときもそうでしたけれども、少し対策が出るのにタイムラグがあるという場合、我々がそのタイムラグを埋めていくということであったり、条件を緩めていく。大体コロナのときもそうですけれども、我々はこの機動的な借入金を作れないと。国は出せるという状況ですので、大きなことになると、やはり国の財源というものが必要になってきますけれども、我々は我々のこの財政の中で、できるだけ機敏に動いていきたい。融資というものが、資金繰りに窮した場合ですとかが、非常に当面大事なことだと思っていますけれども、コロナのときの対応も参考にしながら、他県も大体同じようなことを考えられているようでありますけれども、とにかく地元の企業には急場をまずしのいでいただくということになろうかと思います。
記者)
週明けにも連携会議を立ち上げたいと言われていますけど、それはどういった機関が参加されるのでしょうか。
知事)
我々が気になってるのも、数の面で圧倒的に多い中小企業をどういうふうに守るかということでありますので、その支援機関、また金融機関と連携会議を立ち上げようと考えています。
記者)
国への働きかけというようなことは考えていらっしゃいますでしょうか。
知事)
我々の問題意識については、国もほぼ同じ問題意識であろうと思います。時々、地方創生ですとか、首都圏とそれ以外でかなり温度差がある場合には我々の方が突き上げなければ、国の方がピンとこないということはあるわけですけれども、今回の場合は、世界的な悪影響が起きる、もう津波のようなものが日本全体にかぶってくるような話ですので、国の方で軽く考えているということはまず考えられません。国の方でいろいろな対策が出てこようかと思いますので、国を突き上げるというよりは、国と一緒に考えていくということでございます。ただ、ぜひ国に対しては、待ちの姿勢ではなくて、アメリカの方にどんどん注文をつけていただきたい、交渉に入っていただきたいと思います。
記者)
山林火災について、今回の火災、一部報道では伐採した木を燃やしていたことが原因だったのではないかということで指摘もありますけれども、山林火災、やはり焚き火とか野焼きとかということが一般的に原因として言われています。その辺りの啓発についてあらためてどんなふうに考えていますでしょうか。
知事)
今回の山林火災の原因については、今調査中と聞いているところでありますけれども、ただ過去の山林火災、これは全国的にも岡山県でも、大半が人工的なものが原因だということがわかっていると聞いています。シベリアだとかカナダの山林火災というのは、大抵が雷が落ちて自然発火して、それが自然消火するというのが多いのだそうですけれども、日本の山林火災、林野火災は全く違うということです。これまで件数は多いけれども、あまり影響が出ない、それによって人家まで火が迫るということは、我々の記憶でもそうそう(無い)、少なくとも岡山県ではなかったわけですけれども、最近、これが地球温暖化とどう関係があるのかというのが私も確信はありませんけれども、火災の規模が世界的にも大きくなってきているということですので、これまで以上に火の取り扱いは注意をしていただきたいと思っています。そもそも屋外での焚き火というのは原則禁止ですので、裸火を扱うというのは、最悪の場合、人の命に関わることだということをぜひご理解いただきたいと思っています。
記者)
岡山桃太郎空港のお話もありましたけれども、新年度になりまして、昨年度も利用者数はかなりよかったと思いますけれども、今年度、例えば瀬戸芸、万博ありますけれども、利用者数の目標をどれぐらいにしたいかとか、あと東南アジア、タイの路線、近隣でもタイの路線の新規獲得を目指していますけれども、あらためてその辺の抱負を教えていただけますでしょうか。
知事)
目標がどうかとここで発表するつもりはないのですけれども、とにかく空の玄関口ですので、岡山の経済がどれぐらい好調か、岡山の皆さんがどれぐらい活発に移動されているかということの、もうすごくわかりやすい指標になります。ぜひ、たくさんの方に岡山に来ていただきたいですし、ぜひ、たくさんの岡山の人が仕事、もしくはレジャーで岡山から数日、数ヶ月出て戻ってきてほしいなと思っています。ぜひ、増やしていきたいと思っていますし、新規路線というのも非常に大事でありますので、維持をする、それから増やしていくという努力をこれからもしていきたいと思います。例えば私が(昨年)行ってきましたタイの場合、タイからの観光客は非常に順調に伸びておりますし、タイはタイで経済成長中であり、今たまたま踊り場(停滞)だということではありますけれども、先日もタイの航空会社が非常に各社ともに路線の拡張に意欲的だという記事がありました。私自身もタイ航空、それからタイベトジェットエアにそれぞれ訪れて、経営幹部、副社長を含めた幹部とお話をして、ひしひしと感じたところでありまして、ぜひ、そういった追い風は生かしていきたい。ただ、今回の地震のことですとか、今回のトランプ関税のことが下押し圧力になったりしまして、なかなか1本道に(路線が)どんどん増えることにならないと思いますけれども、常に努力、10年、20年スパンで言えば、必ず伸びていくことについてはもう間違いないと思っていますので、努力を続けていきたいと思います。
記者)
第4次晴れの国おかやま生き活きプランの中で重点戦略に掲げられている、結婚、子育ての希望が叶う社会の実現に関しまして、昨年度から取り組まれてきました学校の同窓会の開催を支援する制度、ちょうど制度が始まって1年間経ったところで、これまでの手応えや所感など伺えますでしょうか。
知事)
これは我々が直接支援するというよりも、同窓会を支援する市町村に対して、半額間接補助をするということでございます。実際予算も1,000万円でしたっけ、少額なのですよね。どちらかというと、我々の気合いを見せる、思いを伝えるというものに近いものだと私自身も思いながら、予算計上させていただきました。ここでもお伝えしたことがありますけれども、子ども・福祉部のいろいろな施策の中で、子育てしやすい環境を作るためには保育士さんの確保が必要だと。それで保育所に保育士さんが集まるようにというところに、新規事業もこれまでであれば選別をしていたであろうものを、とにかく小さい玉であろうとも、どれぐらい効果があるかまだよくわからない部分も、とにかくもうやろうというのとちょっと似たような発想で、とにかく空気が変わったな、景色が変わったな、県庁はここまでやるのだ、ということが伝わるようにいろいろやろうよということで、(予算から)落ちそうになっていたものを私が押し切ったようなものでありまして、全国放送でも数回茶化されたわけですけれども、ここまでやるのかと。実際この施策によって同窓会の数が増えたという話は聞いていないわけなのですけれども、そういうことを通じて、いろいろなことをやりながら、振り返ってみるとずいぶん理解が進んだよねと。そういうきっかけは、もうなりふり構わずいろいろなことをやったあの年がきっかけなのかもしれないねというふうに、振り返ることができれば嬉しいなと思っています。
記者)
本年度は事業に拡充というタグがついて、中身をお聞きしますと、支援補助とする対象を増やしたり、あと出会いのイベント自体を首都圏でも開こう、これまで県内がメインでしたけれども首都圏でも開こうということで、この拡充にかける思いも伺えますでしょうか。
知事)
とにかく出会いの場を少しでも増やしていきたいと思っていますし、これ同窓会の件でもそうなのですけれども、同窓会を出会いの場にしてしまおうというのも、直接的な効果としてあればいいなとは思っているのですけれども、実は私自身の思いとすれば、同窓会を自分の人生を考えるきっかけにしてほしいという思いがございます。何かというと、今起きている現象、よく男性、女性、特に女性の高学歴化が晩婚化、その先の未婚化に繋がっていると。短期の決断が、長期の利害と一致しないというのはこれよくあることなのですけども、1年、1年、一生懸命今できるベストをやると。職場で認められるように、チームリーダーになれるように、部下の後輩の指導がきちんとできるようにという、それぞれのその年、その年の目の前の大事な課題をクリアしていって、はっと気が付いたら、自分自身の人生、自分は元々結婚したいと思っていた、子どもも好きだし、子育てしたいと思っていたのだけれども、もう妊孕性という点で非常に難しい年齢になってしまったというのは、これはもう非常に、ご本人にとっても、地域にとっても残念なことであって、そういったことを普段忙しい日々を、充実した日々を過ごしていると、なんか立ち止まる機会ってないのですけれども、同窓会で、昔仲良かった同級生が今どんな人生を送っているのか、それについてどういうふうな思いを持っているのかということを知ることによって、そうだよな、自分はこういう人生も悪くないと思っているよな、とか、いろいろなことを考えることになれば、5年後、10年後、自分の思っていた人生を進む可能性というのは、ほんの少し上がるのではないかなというふうに思っています。ぜひ我々とすれば、それぞれの県民の方に、自分の思ういい人生を送っていただいたその集合体として、地域としても、持続可能性が出てくる、そういうふうに何とか繋げていきたいなと思っています。
記者)
人生のその中に、結婚して家族を持つということも含まれると、そういう選択肢が含まれるということですね。
知事)
アンケートを取ると、どの年齢層でも結婚したい方というのは非常に比率が高い。子どもを産みたい、育てたいという方の比率も非常に高いということを受けて、いろいろなことを考えています。
記者)
岡山桃太郎空港の話ですけれども、先立って県が発表した将来需要予測を見ますと、新規就航の想定として、シンガポール、ベトナム、タイという3つの路線を想定されています。この3つの路線を、県として取りに行くということだと思うのですけども、そこにかける思いとか、どういうふうに実現していくかという思いを教えていただけますか。
知事)
実際に私がした推計ではなくて、そうなのかということで承認したタイプの数字です。多分私だったら違う推計のアプローチを取っていたのだと思うのですけれども、そこで出てくるシンガポールだとかタイというのは、例えばこういうことになるだろうということで挙げたわけであって、ここ(の路線)を取らないとそうならないとか、ここを絶対に取るのだということではないと思います。実際20年後にどの路線があるかというのは誰もわからないわけですけれども、でも伸びるというのはほぼ間違いないというのは、東南アジア、中国も含めて、東アジア、東南アジアですごい人口がいるというのは、これもう明らかですし、急速に減っているわけでもない。その人口は20年前まで、ほぼ全ての人がかなり貧しい人たちだったのが、今急速に豊かになってきていて、海外旅行ができる、海外出張ができる人たちになってきている。日本というのはそのすぐ近くにいて、かなりそういったところからの人気が高い場所なので、もう増えないということはあり得ないと。これまでの10年、20年、非常に高い率でずっと伸びてきている。SARSもありました。コロナもありました。一時的にすっと伸び率が下がったり、凹んだりするのですけれども、またすぐ盛り返すということですので、これからも空までいかないにしても、かなり伸びるだろうということの推計です。路線についても、このままの路線で増えないというのは、むしろそっちの方が不自然だということで、推計しているのは私も正しいと思っています。実際タイだとかシンガポールというのは、普通に考えて次に(路線を)取りに行く有力な地域ですので、私自身も1年、2年でどうこうするとは思いませんけれども、我々としても非常に気になる年でありまして、まだもう少しロングシュートだなという頃から(現地航空会社の方々と)ご挨拶しながら、きちんと5年後、10年後には形になるような取組を続けていきたいなと思います。
記者)
先日発表された南海トラフ巨大地震の新しい被害想定についての受け止めと、県としての今後の対策をあらためてお伺いします。
知事)
岡山県の場合はほとんど増えなかったというか、(想定死者数で)出ている数字というのは最悪の場合、1,200人から1,300人になったということです。もうご案内のとおり、国のこの推計はいろいろなケースについて、推計をしています。国全体として最悪になるケースというのと、岡山県にとって一番死者が多くなるケースで、当然というか別になっています。今回、この10年間で、各地で、岡山県も含めて耐震化が進んだということで、地震の圧死(想定数)についてはずいぶん減っていると。ただ、都市の火災がいくつかありました。そういったことも受けて、地震の後の火災による(想定)死者(数)が岡山県でも非常に増えた形になっています。ですから、10年前と同じような考え方、同じ基準で計算をすると、全国においても、岡山県においてもかなり下がっているはずなのですけれども、さらに基準を上げたというか、ハードルを上げたというか、条件を厳しくして計算した結果なのだなということを感じています。また、10年前もそうですし今回もそうなのですけれども、国の算定だと、あまり津波による死者、岡山県では想定をしていません。同じく10年前、国が、そもそも国は国で(被害想定を)出すと。その後でそれぞれの対象地域の都道府県に対して、国としては出したけれども、それぞれの都道府県は、より緻密な地質データだとかを持っているのだから、それぞれでもう少し細かいデータを出して、地域防災計画に反映させてくださいねということが言われていますので、10年前も我々、その事実上の指示にしたがって、岡山県の数字を作りました。岡山県の場合、国の数字では1,200人ということだったのですけれども、場合分けをするとというか、(すべての堤防が地震直後に倒壊した場合の)津波の影響なしの場合が365人。津波の影響がある場合が3,111人ということを発表しました。今回も国が岡山県の場合は最悪1,300人ですよという、ここ(モニター画面)にこういうのがありますので、(津波影響ありの場合の)3,111人というのと(津波影響なしの場合の)365人ということですけれども、これをこれから我々、今年度内に計算をすることになります。我々の方が岡山県についてはより細かいデータを持っていますので、実際岡山県のことだけ言えば、これから岡山県が発表する数字の方が、より現実に即した、最悪の場合の数字を発表できることになろうかと思っています。我々が大変気になる、気にしているのが、この堤防が倒壊したときの津波の死者の(想定)数が大変多いということでありまして、これを減らせるかどうかというと、(堤防が地震で倒壊しない場合と比べて)もうほぼ10倍違うわけですから。これを受けて、実際に児島湾締切堤防の耐震化を進めることにしました。耐震化をするためには、これが300億円近い事業になりまして、これは農水省の事業なのですけれども、これを進めるためには地元負担が、地元の都道府県が3割負担しないといけないということで、これすごい負担になるので、我々70億円台の負担をしてでも、これ(死者数)を減らしたいということを県議会にかけて了解をいただいて、農水省にその旨伝えて、農水省の方からやろうというふうに教えていただいたのが、2018年の春、これ西日本豪雨の直前でありまして、我々とにかくこの小田川合流点の付替事業を、私が(知事)就任直後から国にお願いしたのと同じく、とにかく大災害を防ぐために必要な措置ですとか計画というのは、これ(死者数)を減らすために、我々もう70数億円かけるわけですけれども、今頑張っているということであります。で、この(児島湾締切堤防の)耐震化ができると、これ(死者数)がゼロになるかどうかはともかくとして、児島湾締切堤防というのは岡山県内にある堤防の一部ですので、一番大事なところですけれども、ですから、この(死者数の)数字を極力減らしたいと思っています。
記者)
観光振興の関連で、冒頭にも万博とか瀬戸芸も開催目前というお話ありまして、今年は本当に観光イヤーみたいな年だと思うのですけれども、このタイミングで、例えば岡山県で宿泊者数がこれぐらい伸びるのではないかとか、経済波及効果はこれぐらいあるのではないかとか、想定として弾いているものとか目標みたいなものとか、何か数字としてあるのでしょうか。
知事)
例えば観光連盟とかが作っていてもおかしくないのですけれども、私が自分の頭の中に、(大阪・関西万博や瀬戸芸関連で)今年は何%アップのこれだと言って、(県庁職員の)皆さんに指示しているというものはありません。ただ、もう今年が観光イヤーであるのはこれもう間違いなくて、大阪・関西万博というこの世界的なイベントがすぐ近くであるわけですので、ぜひ生かしていきたい。この半年間をいかにうまく生かしていくかで、その間に大体瀬戸芸も(開催期間が)かぶっているわけですので、岡山芸術交流もありますし、岡山を、特にその瀬戸内に面した岡山をどうアピールしていくかというのは、今年は本当に大事な年になると思います。
記者)
万博の開幕目前になってもちょっと盛り上がりに欠くような印象があるかと思うのですけど、知事はそこをどう見てらっしゃるか、それが岡山にどう影響すると思われていますか。
知事)
万博というよりもオリンピックでよくある話ですけれども、本当に直前まで工事ができていなくて、これはもう開催が無理なのではないかというオリンピックって、意外と多いのですよね。東京もいろいろバタバタしましたけれども、あれだってまだマシでありまして、リオデジャネイロオリンピックなんて、ブラジル人なのだからみたいなことで、ほんの数週間とか数ヶ月前に、まだこんな(ところまで)しかできてないのですよという報道があって、確かにここからどうするのだろうというふうに思いましたけれども、でも実際始まってみるともう大騒ぎで、(工事が)遅かったどうのこうのというのはほとんど、少なくとも我々は気にしなかった。実際にはバスが大混乱でどうのこうのとかという報道も目にしましたけれども、そのずっと前のバルセロナ(オリンピック)のときも、やはりこれスペイン人ですから、なんかもう全然できていなくて、(オリンピック自体を)1年延ばした方がいいのではないかみたいな話になったというのを、ずいぶん前に覚えています。でもそれでもバルセロナオリンピック、非常に成功した、よかったという、我々多分、印象しか残っていないのだと思うのですけども。私はもう必ず盛り上がる方に、かけたいというか、かけていますので。最初の方でオープンの日(4月13日)にまだできていないパビリオンが、ほら、ここにもあそこにもということはあるかもしれませんけれども、そもそも6ヶ月会期のある話ですので。もう1ヶ月も経ったら、私自身は、なかなか予約が取れないとか、もう混雑していてすごいことになっているというニュースが出ると信じています。そっちの方にかけています。
記者)
山林火災について、今回県内最大規模で、これまでにない対応とかもあったのかなというところなのですが、今回見えてきた県としての体制の課題とか、今後に繋げたいところなどがあれば教えてください。
知事)
565ヘクタール、岡山県過去最大の損傷面積ということになりました。乾燥の状態、瀬戸内海沿岸というのは、元々岡山県でも、焼失面積の上の方からランキングをすると、結構上の方は瀬戸内海沿岸が上位を占めるわけですから、あの辺りが危ないというのはもう我々、元々わかっていたわけですけれども、気温のことなのか乾燥度合いのことなのか、風も(山林火災が発生した)23日、非常に強かったこともあり、本当に早く広がっていったなというふうに思います。一つ良かったのは、とにかく防衛線をきちんと張って、人家に被害を及ぼさずに済んだというところが素晴らしかったと思います。難しかったのが、一旦(火が)収まったのかなというふうに思ったけれども、夜は事実上消火活動できませんので、夜のうちにまたぐっと広がってしまって、昼間一生懸命頑張るのだけれども、なかなか鎮圧に至らないままズルズル、東の方を中心に焼失面積を増やしてしまった。当たり前ですけれども、火事、例えば一番計算がわかりやすくするために円の形で広がっていくとすると、モデル化すると、半径が倍になってしまうと、例えば100mの半径で燃えていたのが、200mの半径で燃えると、本当に小学校の算数の世界ですけれども、円周も2倍になります。前線で人家を守らないとと闘っている人というのは、この前線の長さに沿って人数が入りますから、そこの負荷が2倍になりますし、面積は4倍になりますので、上からヘリコプターで水をかけて消さないといけない面積は2倍ではなくて4倍だっていうことです。とにかく山林火災というのは広がれば広がるほど、幾何級数的に負荷がかかると。でも我々はそんな幾何級数的にどんどん倍倍という形で人員投入はできないので、どこかの時点で限界点を超えるとロスの火災のように、基本的にコントロールできないと。もう(火の勢いが)止まるのを待つしかないみたいなことになってしまう、今回そこまでは行っていないわけなのですけれども、初期消火の難しさということを我々感じたところです。一つ誇らしいのは、消防庁のご助言もありました。前の副知事をされた小谷(敦)さん、小谷前副知事が今消防庁のNo.2の防災部長をされているということで、すぐ連絡をしていただきまして、もうとにかく初期消火が大事だということで、我々、危機管理監も地元の消防も一生懸命頑張っていただくと。県内の消防はすぐ入るように手配をする、実際に県内全ての消防が入ってくれたわけですけれども、それから緊援隊、緊急消防援助隊に入ってもらう。自衛隊にも必要であれば(入ってもらう)っていうことで思っていたんです。もうとにかく自衛隊がこの規模で燃え出したら、なかなか普通の消防ヘリでは(火災が)止まらないので、自衛隊にすぐお願いすべきだということで、我々23日の日曜日15時02分の覚知(火災を認知)ということです。認知をしたわけですけれども、18時15分(※「16時15分」から訂正)には自衛隊に応援要請をしました。その前から、実際には自衛隊と緊密に連携をして、夕方には自衛隊の方々も、それぞれ岡南飛行場、それから岡山桃太郎空港、どこからヘリを飛ばすのがいいのか、(燃料)給油はどこでするべきなのかということもいろいろ調べていただいて、翌朝の6時から調査(※「消化」を訂正)に入ってくださったと。これは本当によかったなと思っています。とにかく早い段階で、できるだけ大量の消火力を現場に投入するか、そこが大事だったと思います。うまくいったこともありますし、それがもっとうまくいっていれば、もう少し早く消火できた可能性もあると。我々は後方支援ですので、私自身も、それぞれの現場の詳細を承知しておりませんので、なかなか詳しく論評することもできないのですけれども、岡山市消防の皆様をはじめ、本当に頑張っていただいて、人的損害なしに終わったということがよかったと思います。
記者)
鎮火がまだというのもあって、これから鎮火後も結構山が焼け焦げている状況ですけれども、県として今後予想される対応だとか予定しているものがあれば教えてください。
知事)
実はその消火に関しては、市町村の責任でありまして、我々は後方支援が役割。逆に言えば後方支援しかできないわけなのですけれども、復旧ということに関しては、実は我々が主役でありまして、県が事業主体となって、植栽などによって原状復旧を図るということになります。まず鎮火が先でありまして、鎮火ができ次第現地調査に入って、どういう形の復旧をするのか調査をする。岡山市、玉野市とも相談をしながら、できるだけ早く進めていきたいと思っています。
記者)
いわゆるトランプ関税の相互関税について伺いたいのですけれども、岡山県の産業構造を見ますと、脱炭素化が求められている水島コンビナートを持つ工業県である一方、担い手が不足している農業県でもあります。岡山県の地域経済の特性上、どのような影響が出てしまうのを、県など他の機関の対応で防いでいきたいと考えているのか、ちょっと県の経済の特性上を踏まえたコメントをいただけないでしょうか。
知事)
岡山の特徴というのは、一言で言えば水島コンビナートを持っているということだろうと思います。水島からの製造品出荷額等(※「工業出荷額」を修正)が未だに、60年経っても岡山県のほぼ半分を占めているということになります。鉄鋼、自動車、それから石油精製を含む化学品ということが主体になっていくわけなのですけれども、鉄鋼は今、アメリカへの輸出はそんなにあるわけではないので、今回のことで急にどうこうということにはならないかもしれませんけれども、自動車というのがやはり厳しいです。30年前は、日本はもうかなりの業種において国際的な競争力を持っていたわけですけれども、家電エレクトロニクス、ハイテクで今かなり厳しい状況になって、もう10年ぐらい前から日本経済というのは、対外的な競争力で言えば、もう自動車の1本足打法になってしまっているということがよく言われるわけですけれども、自動車の輸出先で言えば、やはりアメリカというのは大きいわけであります。そのアメリカが事実上、国を閉ざすようなことを本気でやろうとしていますので。岡山の場合、三菱自工さんがいらっしゃるおかげで、ずいぶんの関連産業が育っています。自動車関連産業が岡山県の第2次産業のおおよそ1割弱、これは製造品出荷額等(※「GDP」を修正)の面でも、それから雇用の面でも1割弱を占めている。これはいいことなのですけれども、それぞれの工場は三菱自工さんだけに頼っていると、かなりもろいので、トヨタさん、日産さん、ホンダさんをはじめ、多角化をしている。そのときに三菱自工さん自体は、アメリカが主戦場ではなくて、むしろそれは東南アジアだったりするわけですけれども、それでも三菱自工さんも影響を受けますし、例えばマツダさんですとか、いくつかの会社はかなり輸出に頼っていると。現地生産よりも輸出という会社は非常に大きな影響を受けることが、容易に想定できるわけでありまして、そういったところとお付き合いのある部品メーカーさんは、かなり減産を想定しなければいけないことになろうかと思います。また、経済と相互に関わっていることなので、自分の会社が直接関係しなくても、地域の、もしくは何かそれぞれの会社の業績が落ちてくると、回り回って自分たちの需要が落ちてくるということになります。大変憂慮すべき事態でありまして、(アメリカ)がどんなとてつもない発表をしてしまったのか、どんなことをしようとしてるのかというのは、本当のことは、5年、10年経ってみないとわからない。5年、10年経ったときに、あんなすごいとてつもない発表だったのかということを、我々が残念に振り返る可能性も結構あるというのが、本当に私、心配するところであります。大体1900年頃のマッキンリー大統領のときに、関税を上げるということがありました、アメリカでいえば。それは第一次世界大戦の引き金とは言いません、遠因になったとも言われていまして、国際連盟を提唱して、実際にアメリカは加入しなかったわけですけども、ウィルソン大統領のときにその関税を引き下げたと。それぞれが関税を上げるのが良くなかったということで引き下げたという、歴史的な事実があります。その後、それがわかっていたけれども大恐慌のときに、当時のフーヴァー大統領時代ですけれども、議会主導だと聞いていますけども、また関税を上げて事実上ブロック経済化していったと。日本なんていうのはもうそのブロック経済の中で行き場を失って、一か八かの賭けに出たというのが太平洋戦争だったという解釈も当然あるわけでありまして、やはりこれはよくなかったということで、戦後は関税を、アメリカがその先頭に立って、引き下げを進めていったということですので、この関税を引き上げることによって自国産業を守るというのは、非常にわかりやすい考え方なのですけれども、容易にブロック経済化、自分で自分を守ったような気になるということで、世界経済を停滞させて、いろいろな新たな矛盾を生んで、大変な事態を起こしてしまう。実際には第一次世界大戦、第二次世界大戦ということですけれども、もう大変私自身、心配をしています。
記者)
知事のご発言で県内の現状がよくわかりました。タイムラグがあるかもしれない資金繰りなのですけれども、既に自動車関連メーカーの減産が想定されるのであれば、県独自で資金繰りの対応を行うというのも、当然選択肢として入ってくるわけですけれども、その辺りはいかがでしょうか。
知事)
今でも制度があるわけですので、その制度の中で対応するというのは、もう今日にでも可能ですし、その枠をどうするのか、条件をどうするのかということについても、我々実態に合わせて早急に対応していきたいと思っています。
司会)
それでは以上をもちまして、知事定例記者会見を終了いたします。
知事)
ありがとうございました。
消防保安課長)
先ほど知事が(山林火災において)応援をしていただいている中に緊援隊という言葉があったと思うのですけれども、すいません、緊援隊は呼んでおりません。それと自衛隊派遣要請は16時(15分)と言ったのですけど、18時(15分)でございます。すいません、訂正させてください。よろしくお願いします。