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2025年2月13日知事定例時記者会見

印刷ページ表示 ページ番号:0958195 2025年2月14日更新公聴広報課
会見写真

令和7年度(2025年度)当初予算案

 私からは、4項目、お話をさせていただきます。

 はじめに、令和7年度の当初予算案を取りまとめましたので、その概要をご説明いたします。
 まず、要求段階からの変動について、ご説明いたします。お手元資料1「令和7年度当初予算要求額からの増減」の「一般会計の計」をご覧ください。
 要求段階から1億2,600万円の増となり、予算額は7,768億6,100万円となっております。
 2ページ以降には、先般の予算総括協議会等での議論も踏まえ、私が追加した事業についてお示ししております。
 まず、第4次生き活きプランの新たな柱である少子化対策に係る追加事業であります。
 (1)番では、出会い・結婚への支援を一層強化するため、「おかやま縁むすびネット」の登録料の無料期間を1年間延長するとともに、会員同士のみでのお引き合わせに対応する日程調整機能を追加するシステム改修等を行います。
 (2)番では、不妊治療費の助成を行う市町村への補助上限額を引き上げることで、不妊治療の経済的負担をさらに緩和し、一層治療を受けやすい環境を整えてまいります。
 (3)番では、施設や人材など、保育や介護等に係る資源の一体的な活用に向けて市町村と連携し、研究等に取り組むことで、持続可能なまちづくりにつなげてまいります。
 (4)番では、県庁が率先して子育てと仕事を両立できる環境を整備するとともに、企業等の子育て支援の取組の促進にもつなげるため、県庁内保育施設整備の計画策定を行います。
 次に、教育の推進に係るものとして、(5)番では、部活動指導員を拡充し、教員の勤務負担軽減の取組を強化するとともに、(6)番では、ALTを拡充し、生徒の英語力の一層の向上を図ります。
 (7)番と(8)番は、それぞれ、教育と産業に係るものでありますが、大学コンソーシアム岡山や商工会議所等と連携し、大学生をはじめ、若者と地域とのつながりを創出することによって、地域の活性化や人材の確保・定着等につなげてまいります。
 次に、産業の振興に係るものとして、(9)番では、後楽園の大きな魅力の1つである「タンチョウの園内散策」を、将来にわたって継続するため、次世代のタンチョウのふ化・育成に取り組んでまいります。
 (10)番では、県内中小企業の奨学金返還支援に対する補助について、支援対象に県内大学等卒業者を加えることで、若者の県内就職を一層後押しするとともに、中小企業の人材確保に取り組んでまいります。
 最後に、安心で豊かさが実感できる地域の創造に係るものとして、(11)番では、木造住宅の部分耐震改修等に対する支援について、補助率、補助限度額等の拡充を行い、県民の命を守る取組を促進いたします。
 (12)番では、飼養豚の豚熱感染を防ぐため、イノシシの生息数を減らす必要があることから、市町村が行うイノシシの有害許可捕獲助成事業への支援について、現在対象外となっている狩猟期における助成を新設いたします。
 (13)番では、瀬戸内海の海ごみ削減に向けた取組を強化するため、学生団体が行う海ごみ回収活動等への支援を拡充いたします。

 続きまして、お手元資料2「令和7年度当初予算のあらまし」をご覧ください。
 1ページですが、令和7年度当初予算の規模は、一般会計で前年度比3.5%、263億円増の7,769億円となっております。
 6ページをご覧ください。
 来年度当初予算では、財政調整基金を77億円取り崩すこととしております。
 7ページには、今後の財政見通しとして、向こう5年間の試算をお示ししております。
 税収の増が見込まれるものの、給与改定に伴う人件費の増や金利上昇を受けた公債費の増などにより、前回の試算に比べて、取崩額が増加する見込みであります。
 11ページをご覧ください。
 当初予算のポイントでありますが、少子化対策を新たな重点戦略に位置付け、生き活き岡山の実現に向けた好循環のサイクルをさらに力強いものにしたいと考えております。
 13ページをご覧ください。
これまでの説明と重複する部分もありますが、あらためて、第4次生き活きプランの重点戦略に沿って御説明いたします。
 「結婚・子育ての希望がかなう社会の実現」についてでございます。
 「出会い・結婚応援」では、民間事業者と連携した若年世代の結婚気運の醸成や、結婚に伴う住居費用を独自に助成する市町村への補助など、出会い・結婚の希望がかなう環境づくりを推進いたします。
 「妊娠・出産・子育て支援」では、不妊治療費の助成や健診・分娩を遠方の産科医療機関等で行う妊婦への交通費等の助成を行う市町村への補助など、妊娠・出産から子育てまで切れ目のない支援を行い、誰もが安心して子育てできる環境づくりを目指してまいります。
 「子育てと仕事の両立支援」では、従業員の子育てを支援する企業への助成金支給や、市町村と保育士養成校との連携支援による保育士確保など、男女がともに安心して子育てと仕事を両立できる環境づくりを進めてまいります。
 16ページをご覧ください。
 「夢を育む教育県岡山の推進」についてであります。
 主な重点事業でありますが、教員の勤務負担軽減と休日部活動の地域連携を進めるための部活動指導員の増員や、県内2か所目となる教育支援センター「My Place」の設置に取り組んでまいります。
 また、英語力の向上に向けたモデル校へのAI教材の導入やALTの増員、文理横断的な学びを一層推進するための「STEAM教育研究推進委員会」の設置にも取り組んでまいります。
 17ページをご覧ください。
 次に、「地域を支える産業の振興」についてであります。
 主な重点事業でありますが、将来のインバウンド需要等に備え、岡山桃太郎空港の機能強化を図るため、旅客ターミナルビル等の整備に係る基本計画を策定いたします。
 また、大阪・関西万博等を契機に本県の認知度アップと宿泊客の増加を図るためのプロモーション等に取り組んでまいります。
 さらに、県内産業の振興や人材還流と流出抑制を図るため、県内企業の魅力発信や県内就職に関するセミナー等を実施するとともに、岡山県外国人材等支援推進条例の施行に伴う協議会の設置等に取り組んでまいります。
 18ページをご覧ください。
 次に、「安心で豊かさが実感できる地域の創造」についてでございます。
 「安全・安心な県土づくり」を推進するため、流域治水やインフラ施設の老朽化対策等に取り組むとともに、孤立可能性のある集落での備蓄の促進など、市町村と一層連携した防災対策等に取り組みます。
 19ページをご覧ください。
 喫緊の課題である人口減少問題に対応するため、関西に進学した女子学生のUターン促進など、若い世代を対象とした多様な施策による社会減対策を講じるとともに、地域公共交通ネットワークの活性化など、地域ごとの課題に応じた人手不足対策・人口減少により生じる諸課題への対策に取り組んでまいります。
 令和7年度当初予算案の概要は、以上であります。
 第4次生き活きプランの初年度にふさわしい予算がとりまとまったと考えております。社会保障関係費の累増等に加え、物価高騰による行政運営コストの増などにより、厳しい財政状況が続いておりますが、そうした中でも、限られた財源を有効に活用し、国や市町村、県内企業をはじめとした県民の皆様とも連携しながら、すべての県民が明るい笑顔で暮らす生き活き岡山の実現に向け、全庁一丸となって、全力で取り組んでまいりたいと存じます。

晴れて輝け!おかやま国スポ2025

 次に、「晴れて輝け!おかやま国スポ」の終了についてでございます。
 西日本初の開催となった第79回国民スポーツ大会冬季大会「晴れて輝け!おかやま国スポ」につきましては、先週5日、11日間にわたる大会を無事終えることができました。大会の開催にあたり多大なる御支援、御協力を賜りました関係者の皆様に厚く御礼を申し上げます。
 期間中、競技や式典会場に8,500人の方が訪れてくださいまして、選手に熱い声援が送られました。また、倉敷の商業施設で行った観戦と体験などができるイベントにも、2日間で延べ7,000人が来場してくださるなど冬季スポーツの醍醐味を大いに味わっていただきました。
 デニム生地の賞状を受けとった選手からは、「今までの国スポでこんな賞状は初めてだ。」、「額に入れて飾りたい。」といった声が聞かれたほか、競技会場のキッチンカーで提供した「えびめし」や「そずり焼きそば」などの岡山グルメには、行列ができるなど本県の魅力を存分に発信できたと考えております。
 今大会の開催は、本県の冬季スポーツの振興さらには、今後の国スポ冬季大会の全国展開に向けた先鞭をつける大会になったと考えております。

「おかやま子育て応援宣言企業」岡山県知事賞贈呈企業の決定等

 最後に、少子化対策の取組について、2点、お話をさせていただきます。
 1点目は「おかやま子育て応援宣言企業」知事賞の贈呈等についてでございます。
 県では、「おかやま子育て応援宣言企業」の制度を設けており、これまでに登録・認定された企業のうち、特に積極的に取り組み、模範となる企業に、毎年度、知事賞を贈呈しております。
 このたび、今年度の知事賞を「社会医療法人 創和会しげい病院」と「ローム・ワコー株式会社」に決定し、来月21日に贈呈式を行うことといたしました。
 また、この「応援宣言企業」の制度を広く知っていただけるよう、新たに、就活中の学生等を対象とするリーフレットを、国の「くるみん制度」とのタイアップにより作成いたしました。
 今後、大学やハローワーク、就職相談会などで配布することとしており、認知度向上により、企業側のメリットも高めながら、若者や女性に選ばれる働きやすい企業の拡大を図ってまいりたいと存じます。

大阪・関西万博チケットの寄附

 少子化対策の取組の2点目は、大阪・関西万博チケットの寄附を受けての取組についてであります。
 本県と包括連携協定を締結している東京海上日動火災保険株式会社より、社会貢献の一環として、結婚支援等に役立ててほしいとの趣旨で、大阪・関西万博チケット1,000枚の寄附の申し出をいただいたところでございます。
 つきましては、今月25日に贈呈式を行い、寄附をお受けする予定でございます。
 大変ありがたいお話であり、喫緊の課題である少子化対策として重点的に取り組んでいる結婚支援に活用させていただきたいと考えております。
 受け取り後、縁むすびネットを通じて成婚したカップルや、今年度、運用を開始した結婚応援アプリの新規登録者の方々などにプレゼントし、若いカップルを応援する取組の一助としたいと存じます。

 私からは、以上でございます。

質疑応答

記者)
 当初予算について伺います。今回金額的に見ますと、コロナで膨らんだ令和5年度を除けば、知事就任以来で最大規模となりました。4期目初の予算編成でもありました。あらためて今回の予算の評価を教えてください。

知事)
 4期目ということもあります。コロナ後ということもあります。意識しましたのは、第4次の生き活きプランの初年度の予算になるということで、第4次というのはどこが違うのだというと、私、大変ありがたいことに最初の選挙のときに、教育と産業だというふうに申し上げて、その骨格を変えることなく、県民の皆さんと一緒にしてきたと。今回初めて新しい柱、結婚、子育てができる地域づくり、要するに少子化対策ですよね。これを柱と立てて、いかにその肉付けをしていくのか、最初ですので、規模としてドカンと(大きく予算を付けると)いうことになかなかならないのですけれども、いろいろな種を植えて、急速にそれぞれ上手くいけばということですけれども、拡大する準備ができたのかなと思っています。あと、昨年の選挙ですとか、その後についても、もう(私が知事に就任してから)12年経ったわけですから、これまでのやり方でいいのか、これからどうするのかということは当然考える機会は多かったわけでありまして、あらためて私自身思ったのが、最初の選挙に出たときに申し上げたことと結局は一緒なのですけれども、目に見えているもの、すぐ対応しなければいけないものに対するレスポンスの良さ、悪さという点では、私は岡山県庁は合格点が与えられると。大抵の役所もそうだと思います。埼玉県八潮市のように道路に穴が開いたと。人が埋まっていると。放っておくということはないですよね、もうすぐやると。そういう(緊急的な)ことは我々得意なんですけれども、今そういうことにはなっていない。けれども少しずつ症状が悪化しているようだ、5年、10年、20年スパンで対応しなければいけないことについて我々対応できているかというと、多分その力が足りないと。もしくは見えていないのでわからないという、時間がかかるもの、でも大事なもの、見えないもの、これに対してどう対応するのか、いろいろな圧力がかかる前から我々の方から動いていけるのかと、そういうことについては、ずっと重視をしながらみんなで予算を組んできたということであります。一番いいのは、見えないものを見える化する、それによっていろいろな状況を変えていって対応するということなのですけれども、全てにおいてなかなか見える化は難しい。見えないけれども大事なものはもう見えないままでもやるのだと。今回の予算とは限りませんけれども、今それで一番思いつくのは、児島湾締切堤防の耐震化、これは2018年に県議会の了承を得て国と一緒に取り組んでいることですけれども、これ(ら)によって、南海トラフ地震が起きたときの(津波による死者が減ると)岡山県の死者の最大の数が、3,000人オーバーから300人台まで落ちると、約10分の1になると。見えないのですよ、工事が終わったら全く、全部地下にありますから。見えないのだけれども、しかも我々70億円以上(税金を)入れるわけですけれども、でもいいのだと、見えなくていいのだと、役に立ってくれればいいのだと。そういうことを考えながら作ったものです。例えばもう一つだけ言えば、これまでシーリングをかけた年の方が多かった。今回は物価高騰の中ですので、シーリングはかけていません。ただ物価高騰分が実質的なシーリングというふうに捉えられるかも知れません。そういった中においても、維持修繕に関する予算は(知事就任以来)この12年間、ほぼ毎年10%増までプラスのシーリングというか、増えることを認めてきたということであります。一番地味なところですけれども、でも、ああいう(道路に)穴が開いてしまったらもう大変なことになる。そういうことをやっているから岡山県で(道路に)穴があきませんということではないのですけれども、そういう非常に大事なことには、丁寧に早めに予算を付けるように心掛けてきたつもりです。

記者)
 岡山桃太郎空港の機能強化で、今年度予算ではそこまでの規模ではありませんが、着手していけば100億円オーダーという事業となりますが、厳しい財政状況の中でも、こういった持続可能な発展につながるものに踏み切られた思いを教えてください。

知事)
 大規模な投資というか、予算のときに何種類かあると思うのですけれども、今ぱっと考えるのは2種類ありまして、県民の皆さんの思いというものを見極めなければいけないなというものと、それからこれもう絶対にやらなければいけない、決め打ちしても大丈夫なのではないかというものがあります。岡山桃太郎空港の拡充については後者でありまして、今、やはり一部、もしくは時間帯によって混雑する時間帯があります。その時間帯に(空港を)使われた方からは、ある種もう少し何とかしてくれというお話を聞いていますけれども、ただ、岡山県民からこぞって、岡山桃太郎空港を何とかもっと拡充してほしいという声を日々聞いているわけではありませんけれども、今の東アジア、東南アジアの状況、インバウンドのこれまでの増加の状況を考えると、例えば10年後、岡山桃太郎空港を何もしないでいると、キャパシティが足りないということで、せっかくの、例えば増便のチャンスですとか、いろいろなチャンスを失うことになるのは、ほぼ私は確実だと思っています。JR岡山駅、水島港、岡山桃太郎空港、そういった岡山県の玄関、鉄道の玄関、海からの玄関、空からの玄関、ここのキャパシティが足りないというのは岡山のポテンシャルを抑えてしまう、非常に残念なボトルネックになるということですので、ここはどういう形でどれぐらいの規模になるかというのはこれから調査すると。そのための予算ですけれども、これぐらい必要だということであれば、それぐらい投資をしていくつもりでいます。他いろいろ迷いながら悩みながら、皆さんの声を聞きながらというものも多々あろうかと思います。

記者)
 今回の予算で見ますと県庁外の民間企業や、大学、市町村など外部との連携を非常に重視されていると思うのですが、この辺りの狙いとそれから執行の段階での連携というのが求められますが、その辺りの思いも教えてください。

知事)
 これまでの反省として、自分たちは正しいことをしているという思いがありました。裏返せば独善的だった、もしくは自分たちだけで頑張って、他の人たちはなかなかついてきてくれないなみたいなことを勝手に思っていたこともあったのかもしれませんけれども、呼びかけ方が足りないとか、我々の考えを押し付けて、(県庁外の方々が)いやちょっと考え違うからごめんね乗れないよと、当然あるわけであって、主体が違えば考え方も違うわけです。例えば少子化対策について、県庁だけしゃかりきにやっても、それぞれ結婚しようか、子どもを産もうかと迷っている人には基本的には響かないわけであって、いかに若い方々が働いている職場の環境の仕組み、雰囲気を変えていくかということになれば、当然なのですけれども、それぞれの企業の皆さんの理解、納得、協力を得ることが当然必要でありまして、また市町村の協力を得るにあたっても、我々はこういうプログラムがベストだと詳細な研究によって判明しました、これをお願いします、と押し付けても、いやちょっと考えが違いますということよりは、(県庁内外で)一緒に考えませんか、もしくはそちらが考えたものについて我々(岡山県)は応援しますから、ぜひやってくださいという方が、当然広がりが出るわけでありまして、ベストの案を考えてから出すよりも、一緒にベストらしきものを考えて、より一緒にやってもらいやすい環境を作っていくかということに今軸足を置いておりまして、完成度だとかが、もしかしたら少しバラついたりとかするかもしれませんけれども、結果とすれば、より広い主体の賛同を得て物事をより大きく変えることができるのではないかと今考えています。

記者)
 非常に知事のリーダーシップというものが求められる4期目だと思いますけども、予算執行においてのリーダーシップという面で、どういう思いで臨まれますか。

知事)
 予算においても、ありがたいことに企業業績が、これはもう全国的に、岡山においてもよかったということで、県税が伸びました。県税が伸びたのでこういう予算を組むことができたということもあるわけなのですけれども、特に少子化ですとか、10年後、20年後のことを考えると本当に大事だというところに、いかに予算を付けるのか、それを実効性あるものにしていくのかというときに、お金も大事です。この前、さん太ホールでセミナー(2月8日、こどもまんなか職場づくりシンポジウム)をさせていただきましたけども、どれだけ県民の皆さんに、もしくは少子化対策について経営者の皆さんを口説き落とそうと必死になっているわけですけれども、伝えていくか、訴えていくかということで言えば、私自身がいろいろなところに出かけていって真剣にきちんとお伝えをするということがすごく大事だなと思っています。頑張っていきたいと思っています。

記者)
 知事査定で追加された県庁内保育施設整備について、県が率先してというメッセージを民間企業に伝えるということですけども、あらためて県庁内の保育施設整備の狙いを教えてください。

知事)
 実は私、1期目のときだったと思いますが、もしかしたら2期目だったかもしれませんが、かなり早い段階からこれやろうよというふうに言っていたのですけれども、なかなか実際には問題がありまして、ちょっとこれはやめた方がいいですよという、要するに反対にあって諦めてきたのですけど、今回押し切ったというような形です、はっきり言って。私はいろいろな効果があると思っています。先ず隗より始めよということですが、私、実は天満屋の社長をしていたときも、天満屋で保育所を作ろうと。社内で保育所というか、保育できるところを作ったら従業員の皆さんはずいぶん働きやすくなるのではないかということで結構押したのですけれども、やはりここのこれをクリアしないといけない、実際に保育士さん集まるかどうかとか、いろいろなことで結局断念をしたわけなのですけれども、今回はもう少しやらせてもらうということで、(県庁内に保育施設を整備)することにしました。自分たちでやってみて初めて、保育所を運営するとこんな苦労があるのだ、もしくはこんないいことがあるのだということが、本当の意味でよくわかると。自分たちはわかっていないのに、我々は企業に、企業内保育所いいですよ、ぜひやってください。もうそれによって、働く人がすごく子育てしやすくなるのですよと言っているのですけれども、自分たちでそのリスク取ってないということですので、ぜひ私はこれはやりたいと、やってみたいというふうに考えています。

記者)
 自分たちでやることによって、民間企業の方にメリットですとか、より実効的に、説得力を持って発信していきたいということでしょうか。

知事)
 自分たちでやってみて、やっぱり本当保育士さんは大変なんだなとか、もしくは保育士は募集できないのだなとか、いろいろなことが、我々、さんざん聞き取りですとかで知っているはずなのですけれども、やっぱり自分でやってみるというのが本当に大事だなと。あともう一つ、さっき言いましたけれども、経営者の皆さんを説得するということなのですけれども、説得するにあたって、お前たちリスク取ってなくて実際にはこれコスト上がるのだよ、大変なのだよ、リスクもあるのだよというときに、やはり自分たちはそういうことに関わらずにお願いしているよりも(実際に経験してみて)という思いもあります。

記者)
 教育に関して、予算でも今回、知事が先ほど説明でもありましたように、不登校対策や教員の負担軽減のところに今回の重点を入れられていると思います。新たに今回教育大綱も変わりますし、いろいろな教育を取り巻く課題が出ている中で、知事が掲げる教育県岡山を推進していくためには、今後どのように教育について施策を展開していきたいと考えますか。

知事)
 1期目のときはもう、(学校の)荒れの問題がすごかったわけですよね。これをどうにかしないと、そもそも授業が行われていない、学級崩壊のクラスがいっぱいあったわけですから。それについては学校警察連絡室(現:健全育成対策室)を中心に、本当に皆さん頑張っていただいて、ずいぶん落ち着いてきたと。2期目のときに、1期目のときに(学校の)荒れの問題と不登校の問題、同時に取り組んでもよかったわけなのですけれども、まず(学校の)荒れに集中的に取り組んだということもあって、2期目になってようやく不登校対策をどうするのだろいうことで、(岡山型長期欠席・)不登校対策スタンダードを作っていただきまして、非常に全国的にも評判のいいマニュアルですけれども、それを使って対策をやっていくのだということで、成果は出たのです。どういう成果が出たかというと、全国平均よりも出現率が高かった岡山県の不登校出現率が、全国平均よりも下がったという点で、ぐっと不登校出現率は下がったのですけれども、ただもうご案内のとおり、この5年なのか10年なのか、ずっと不登校出現率が全国的に急速に増えています。コロナがまたすごいきっかけになったように見えますけれども、その流れに岡山県も乗ってしまっています。ですから、全国と比べると低くはなったのだけれども、岡山県自体も出現率が上がってきているということですので、これ本当に大きな問題なのです。不登校になってしまった子どもからすると、例えば中学校のときに2年間学校に行かなかったら明らかに学習が遅れますし、そのもし何かのことで勉強については追いつくことができていたとしても、集団生活の中で規則正しい生活をする、もしくは人間関係の葛藤の中からいろいろな対処方法を学ぶとか、もしくは一生の友だちを作るとか、そういったことはやはり家で自分の部屋に閉じこもっていてはなかなかできるものではありませんので、いかに少しずつでも自分の部屋から家の外に出て、できれば学校だとかみんながいる場所まで行って、最終的には教室に戻ってきちんと授業、課外活動に参加するというところまで、できるだけ早く戻ってもらえるようにいろいろな工夫をしていきたいと。My Place(教育支援センター)を作ったりとか、今回いろいろなメニューを作成したわけですけれども、正解はないようでありまして、こういうときにはこの特効薬を使えば(教室に)戻ってくるっていうことがないにしても、全国でいろいろなパターンについて悩み実験をし、少しずつわかってきているものがある。そういったことを取り込んで、ぜひ我々としてもベストを尽くしたいと思っています。誰も取り残さないというのがすごく大事ですし、またそれぞれの能力、特性を生かしてあげたいと思っています。英語教育もそうですし、STEAM教育の話もしました。日本の場合、少し理系の方が非常に今弱くなっているというのはよく指摘されることですし、あと日本の場合、部活動が非常にバラエティーに富んでいるというのは、これよく世界的にも素晴らしいと指摘をされるところでありますけれども、それは教員の大きな負担になっています。今、教員志望の学生がずいぶん減ってきているのは、これは事実なのですけれども、いかに子どもたちにとっての素晴らしい環境を維持しながら、教員の先生の自己犠牲、負担を減らしていくかと。この難しい状況で、しかも少子化がどんどん進んできていますので、これまで回っていた、例えば学校で以前だったら、バスケットボールのチームが組めたのが、もうチームが組めなくなってきているとか、そういうことがもういろいろなところで起きていますので、それをどういうふうに解決していくのか、そういったことにもこれから注力をしていかなければいけないと思っています。

記者)
 予算案の観光振興のことで、ポストコロナのインバウンド回復が、岡山県は他県に比べたら少し遅れているような状況があるかと思いますけれども、今回の予算案でもインバウンドの誘客に向けた取組をたくさん盛り込んでいますが、まず今の岡山県のインバウンド誘客現状のご認識と、今回の予算に込めた思いを教えてください。

知事)
 観光予算は、私はもうずっと重視をしているところでございます。今回の当初予算の観光予算13億円ということで、前年よりもまた少し増加しているということなのですが、元々少なかった観光予算が、今(私が知事に就任して)12年経って、私の認識で言えば3倍ぐらいになったという思いなのですけれども、本当に観光というのは、裾野が広いというか波及効果が大きいのですよね。ここでも何度かご説明しましたけれども、1人の人が他の県、もしくは他の国から岡山県に観光に来てくださる場合、泊まって、お昼ご飯、夜ご飯とか朝ご飯とか食べてくださると、食べるものは大抵、地場のものを食べてくださるわけで、農林水産業にも良い効果がありますし、お菓子とか果物でも岡山の美味しいものを食べて、こういう美味しいものがあったのだということであれば、例えばその人が東京に戻ってからも、桃はできればスーパーで岡山産の桃を買おうかとか、お客様の方から岡山に来て、なんか本当だったら我々がサンプルを配って歩かないといけないのに、有料でサンプルを食べてくださって、それで気に入ったら(地元に)戻ってからも買ってくださるという、もうすごくありがたいことなのですよね。鉄を作るとか自動車を作ると言ったら、多分数千億円の初期投資が要るのだと思うのですけれども、観光の場合、ホテルとか旅館を作ると言ったら数十億円の投資かもしれませんけれども、喫茶店だとか、お菓子を並べて売るとか、抹茶をお出しするようにしたのだとかというのは、初期投資は非常に軽く済みますし、また、県南の交通の便の良いところでないと成立しない産業といくつもありますけれども、新見市だろうが美作市だろうが、観光客が来てくれれば、そこで売り上げを立てることができるわけでありまして、かつまた、アメリカからのお客さんはもうこういうのが大好きだよとかいうことがあっても、例えば台湾の人は全然また好みが違うとか、中国の人はずいぶんまた好みが違うということで、全部取らなくても、岡山県のこのお菓子というのは、この国の人にはすごい受けがいいのだというので結構十分だったりするのですよね。非常に幅が広いというか、ここで勝たないと死んでしまうというのではなくて、いろいろなやり方があるので、本当に観光産業というのが、いろいろな人にチャンスが、いろいろな場所に恩恵を及ぼすことができる素晴らしい産業だなと思っています。そして規模も結構大きいのですよね。私が就任したときの観光産業と農林水産業の産出額がほぼ一緒ということで、自分自身もびっくりしたのですけれども、私の感覚的には農業の方が何倍も大きいと思っていたのですけれども、13年前の時点でほぼ一緒、1,400億円ぐらいでほぼ一緒だったわけですけれども、そこから農林水産業は、10数%伸びました。1,700億円弱(※1,600億円弱前後を訂正)ぐらいに伸びたのですけれども、観光の方はインバウンドがすごく伸びたということもあって、確か2,200億円ぐらいですので、やっぱり伸び方が大きいのですよね。これからも伸びるということが、日本人の人口は伸びていないので、なかなか日本人に対する売り上げがこれから伸びるというのは難しいのだと思うのですけれども、外国人観光客に対する売り上げがどんどん伸びていますので、これからも大変楽しみにしていますし、外国から見ると日本(の物価)が今すごく安い状態ですので、結構強気の単価を出しても受け入れてもらえるということがございます。これまでどっちかというと我々デフレ対応に慣れてきた、何とか利益を削って、コストを削って安く提供しようということだったのですけども、自信のあるものであれば、そこそこの(高い)値段を出しても受け入れられる可能性があるということですから、ここも楽しみだなと思っているところでございます。(他県に比べてインバウンドの)戻りが悪いのではないかということについて、一つはそれぞれの国際便の戻りが悪いと。例えば香港線はまだ戻っていませんし(運休状態)、ソウル便についても一時期週9便あったものが、まだこの程度(週4便)にしかなっていないということなのです。CIQ(税関:Customs、出入国管理:Immigration、検疫:Quarantine)の問題だったり、グランドハンドリングの人手不足が問題で、全国的な問題が岡山桃太郎空港についても波及をしている。正直言って私自身は、国管理空港が優遇されていると思っています。CIQの再開については、国管理空港の再開指示から地方管理空港の再開指示が出るまで3ヶ月のタイムラグがありまして、これもうやはり、国管理空港の方が国から見ると大事な空港ですから。まず基幹的な空港を整備するよということで、そこはね、受け入れられるようになった時にワーッと戻って、我々(の地方管理空港である岡山桃太郎空港は)後回しにされたということなのですけれども。(国管理空港である)広島空港とか高松空港と比べると、管轄が違いますから。我々も元気に後から追いかけていって、ぜひまた毎年高い水準で外国人観光客を含めて観光客を呼び込んでいきたいと思います。森の芸術祭なんていうのはもうその努力の一環でありまして、今年は瀬戸芸もありますし、芸術交流もありますので。我々自身(岡山県が行う事業)で言えば美作三湯芸術温度もあります。いろんなイベントを、(大阪・)関西万博も含めて盛り上げていきたいと思います。

記者)
 瀬戸芸も万博もあって、その中で万博は多分他県も多分誘客にすごく力を入れられると思いますが、やはり岡山県は万博会場に近いというところで他の県よりアドバンテージがあるかと思うのですけれども、瀬戸芸ももちろんありますし、そういう中であらためて今回の予算案に込めた思いを教えてください。

知事)
 大阪・関西万博は我々自身で出展もしますし、西のゴールデンルートアライアンスということで出展もしますし、兵庫県と組んで出展をする時期もありますし、いろいろな機会を捉えて(誘客を)取りに行く。ヨーロッパから岡山に直接(観光客を)引っ張るというのはものすごい力技で非常に難しいし、できたとしても売り上げよりもコストの方が上回るのではないかみたいなことは簡単に起きるのですけれども、元々、大阪に来てくれた人に、1泊岡山に泊まりませんか、2泊岡山に泊まりませんかという方がよほど楽ですので、そういったツアーについては我々もぜひ(観光客を)取りに行きたいと思っています。

記者)
 少子化対策について、今年度の(予算が)199億円だったのが、(来年度)216億円と増額もした上で、新規拡充事業が結構増えていますが、今年度でどのような手応えや効果を感じて、そのような今回の予算になったのかっていうところと、今後どのように検証していきたいかというところを教えてください。

知事)
 今、来年度の予算の話をしていますけれども、今年度も結構頑張ったつもりではあるのですよね。例えば縁むすびネットの登録料無料を(今年度も)1年延長して今迎えているわけですけれども、それによってずいぶん会員数が増えて、成婚のペースも上がってきたと、そういうこともあって、つい先日(10月下旬)300組目の成婚ということになったわけですけれども、これはもうせっかく勢いがついているのだったら維持しようということで、もう1年登録無料を延長することにしたわけですし、保育士さんがなかなか集まらないという声を特に市町村から聞いています。保育士さんが集まっていないと、せっかく結婚をしてくれて、子どもを産んで子育てしようというお母さん、お父さんが、家の近くの行きたい保育所に入れるかどうかわからないなと言ってやきもきすると、それ自体ストレスなのです。最終的に何とかなったとしても、(保育所に入れるかどうか)心配している数ヶ月間がもうすごく辛い期間になって、やっぱり子育ては大変なのだな、2人目、3人目はなかなか難しいな、みたいなことに繋がりかねないということで、ぜひ、我々とすれば当たり前ですけれども、子育ての経験をできる限り良い経験、楽しい経験だと感じてもらいたい。そのためには、保育士確保というのは市町村の仕事だけではなくて、我々にとっても非常に大事な仕事なのだ。岡山県内で保育士の資格を取って学校を卒業する人の中で、保育士として就職してくださる方の率が低いのですよね。もしくは県外で就職すると、県外で保育士ならいいですよ。保育士で(は)ない就職をされる方が結構多い。もしくは、潜在保育士、資格を持っているのに、今でも別のお仕事をされている方に、いかに保育士に戻っていただく、入っていただくかというあたりで、今年度は新規事業が確か11でしたっけ、ずらっと並べて、今猛烈に取り組んでいるところです。一部、手応えを感じているのですけれども、まだこれのおかげでもう本当に保育士がぐっと岡山県のそれぞれの地域に集まるようにはなっていませんので、継続して頑張っていこうと思っています。手応えを掴みつつあるけれども、これで大丈夫だという思いとは程遠いというのが今の私の実感でありました。これはもう本当に大事なことですので、とにかくやると。しつこくやると。皆さんから景色が変わってきたというふうに声が上がってくるまでやるし、上がってきたからすぐ辞めるというわけでもないと。もうとても大事なことなので、これからもぐっと力を入れて取り組んでいこうと思います。

記者)
 ファジアーノのスタジアムのことについてお尋ねします。今回の予算に反映されている部分があるのかということと、あらためて知事のスタジアムに対するスタンスをお聞かせください。

知事)
 特に予算で入れているということはございません。ただ、予算には入れていませんけれども、すぐもう15日(にホーム開幕戦)ですから。明後日ですか、京都サンガが岡山に来られるわけですよね。アウェーの応援が多分すごいことになるのだろうと。トイレがとりあえず(足りないのではないかと)心配だということで、トイレを増設するとかということは、この予算とは関係なしに対応するという、いろいろなことは今考えているところでございます。必ずしも予算ということで出てきているわけではないと。あとサッカースタジアムに対するスタンスなのですけれども、この数週間で急に変わったということはありません。ここで申し上げているとおりなのですけれども、少しこの前ね、ファジアーノ岡山の激励会でした挨拶が、各局ですごく前向きに捉えられて、実は私もびっくりしているくらいでありまして、言っていることは(これまでと)一緒なのです。これまでとにかく県民の皆さんの税金、これは私のお金じゃなくて、県民の皆さんのお金ですので、どう使うかということについては、県民の皆さんの思い、盛り上がりというのは非常に大事ですよ、当たり前ですけれども。私は予算を提案する権限はあるのですけれども、承認する権限は55人の県議の先生方にありますので、県議の先生方がそうだよな、俺もこれ大事だと思う、もしくは自分の支援者とか自分がいつもコンタクトを取っている人からも、これ何とか頼むと。他のもの、例えば道路とか橋とか、いろいろなことが少し遅れることになっても、これを優先して欲しいという声を続々聞いているということになると、ずいぶん違ってくるわけだけれども、県民が盛り上がれば可能性があるし、盛り上がらなければ可能性は低いという、そういうことで(これまでとスタンスは)変わっていないということであります。いろいろな問題があるのですけれども、我々とすれば、きちんと研究はしていきたい。他の地域のスタジアムがどういう形でできているのか、どういう使われ方をしているのか、どういう可能性があるのか、そういったことについてはきちんと研究をしながらも、我々自身はニュートラルでいるべきだと考えています。

記者)
 当初予算にもし名称なりネーミングなりを付けようとすれば何でしょうか。

知事)
 特に名前はありません。(7,768億6,100万円なので)もうあと少しで、7が並ぶことになるなというのはちらっと思いますけど、あんまり関係ない話です。失礼しました。

司会)
 それでは以上をもちまして、知事定例記者会見を終了いたします。

知事)
 ありがとうございました。

2012年の記者会見