令和7年度当初予算案の概要について
私からは、2項目、お話をさせていただきます。
まずは、令和7年度当初予算の概要についてでございます。
令和7年度当初予算については、各部局からの要求状況を、先月15日にご説明させていただきました。今月13日に、当初予算案としてとりまとめますが、それに先立ち、現時点での歳入見込みなどの概況をご説明いたします。
資料1ページ「1 予算要求額」をご覧ください。
令和7年度当初要求額については、先月15日に発表したものであり、一般会計の総額は、7,767億円と、前年度比3.5%、262億円の増となっております。
次に、「2 歳入見込み」であります。
今回見積もった歳入の主な内容についてであります。
まず、県税については、前年度比8.8%、233億円増の2,886億円を見込んでおります。これは、物価高騰の影響などによる地方消費税の増が主な要因であります。
地方譲与税については、全国的に好調な企業業績を受けた特別法人事業譲与税の増が見込まれることなどから、前年度比9.9%、37億円の増を見込んでおります。
地方特例交付金については、国の定額減税による個人県民税の減収補填が終了することなどから、前年度比78.3%、36億円の減を見込んでおります。
地方交付税と臨時財政対策債を合わせた地方交付税等については、令和7年度地方財政対策や、県税をはじめとした歳入の状況などを踏まえた結果、前年度比2.5%、44億円の減を見込んでおります。なお、地方財政対策を踏まえ、令和7年度においては、臨時財政対策債を計上しない見込みであります。
その他の一般財源のうち財政調整基金については、令和4年度及び6年度の税収増に伴う交付税精算に対応するための積立分から76億円を取り崩すものであります。
特定財源については、補助公共事業の増に伴う国庫支出金や県債の増などにより、全体で、前年度比5.2%、81億円の増を見込んでおります。
以上により、歳入全体では、前年度比3.6%、264億円増の7,691億円となっております。
資料2ページ「3 一般会計予算の状況」をご覧ください。
歳出要求額と、歳入見込みとの差額が76億円となっており、この差額については、通常分の財政調整基金の取崩しにより対応する予定としております。
次の「4 主な増減要因」及び資料3ページについては、後ほどご参照ください。
資料の説明は以上でございます。
本県の財政状況は、今後も厳しい状況が続くものと認識しておりますが、そうした中にあっても、第4次生き活きプランの新たな柱である少子化対策をはじめ、必要な事業をしっかりと予算化し、市町村等とも一層連携を図りながら、着実に取り組むことで、本県の持続的な発展につなげてまいりたいと存じます。
岡山県スポーツ特別顕賞の授与について
次に、岡山県スポーツ特別顕賞の授与についてでございます。
このたび、昨年9月に開催された世界ソフトテニス選手権大会の男子シングルスにおいて日本勢初優勝された上松 俊貴選手に岡山県スポーツ特別顕賞を授与することといたしました。
上松選手は、同大会で男子国別対抗団体戦の3連覇にも貢献し、混合ダブルスでは過去最高の準優勝に輝きました。
このたびの上松選手の活躍は、県内アスリートに対する刺激はもちろんのこと、県民に大きな感動や、希望を与えてくれたところでございます。心から敬意を表したいと思います。
なお、授与式は2月12日に行う予定です。
私からは、以上でございます。
質疑応答
記者)
当初予算案のことで伺います。収支見通しで、本年度も不足分が出ているということで、財政状況のご認識と、それから13日の本予算で知事査定も入ってくるわけですけれども、そこに向けてどういったものかお聞かせください。
知事)
財政状況どうかと。これ二つの面があります。一つは税収が好調であるということで、昨年度もそうでありましたけれども、本当にありがたいことだなと思っております。これ二つありまして、物価が上がるようになってきたことで消費税が増収になると。あともう一つは企業業績が良いと。岡山県の場合、元々ある企業の業績も良いですし、ずいぶんこの10年でいろいろな企業にも(岡山県に)お越しいただいた。そういった企業の税収のおかげでずいぶん歳入が増えている。これ本当にありがたいと。ただ社会保障関係費、これもう毎年毎年増えています。1回増えただけぐらいだったら、1回増えただけでもよく根雪というふうに言うのです。一番ありがたいのは、30億(円)増えるけれども、翌年は戻るからということだと、30億(円)だけで済むわけですけれども、それがずっと続くと、実は30億(円)が毎年かということなのですけれども、30億円ずつ増えていくということですので、私が12年前(知事に)就任をしたときと比べて、社会保障関係費がもうこの全体の中でどんどんどんどん、額においても比率においても増えてきてしまっている。それは本当にずいぶん予算を圧迫している。また公共施設の老朽化、この対応で我々ずっと、一部地域を除いて更新のための予算については、前年度10%増ということを多くの年で認めてきた。これも、1回伸びるだけじゃなくて、どんどん伸ばさざるを得ないような状況になっていると。この1年、2年が物価高騰、または賃上げの影響によって、行政運営コストが増えている。せっかく税収が増えているわけですけれども、こういった構造的な要因によって、楽になったということになっていない。そもそも単年度楽になったとしても、後ろ側にはかなりの借金がまだまだ残っていますので、岡山県庁で予算を立てるのは楽になったなっていうことになるのは、やはりまだまだずいぶん先なんだなというのが私の実感でございます。知事査定については例年申し上げていますように、要求段階で、ずいぶんもう夏頃からずっといろいろな議論を重ねてきていますので、私の思いですとか、県議会を通じていただいた県民の皆さんの思い、各種団体それぞれの皆さんからいただいたアイデア、思いについて、ずいぶん我々とすれば練り込んだつもりではありますけれども、それでもここはやはり象徴的に額は大きいかどうかわからないけれども、増やしたいと思うことについて、もう一度レビューをしていきたいと思っています。
記者)
知事査定の部分で、とりわけ知事が一番力を入れている少子化対策について、こういう部分で加えていきたいみたいな思いがありましたらお願いします。
知事)
少子化対策については知事査定でどうこうという以前に、もう全庁を挙げて取り組むべき問題だと思っています。もっと大げさに言えば、私この問題の大きさ、将来に対する影響の深さを思えば、県民を挙げて取り組むべき大問題だと思っています。我々、ただでさえ厳しかったところにコロナがあって、それが婚姻の減、また出生数の減に拍車がかかっている。これ国全体でもそうですし、岡山県としても同じような割合で影響を被っています。たった5年前、10年前、コロナ前に予想されていた、このまま人口減が進むと出生数の減が進むと、出生数はこれぐらい減ってしまうというふうに言われていた、2040年(代)にはこんなレベルになるであろうというふうに言われていたものが、あともう2年か3年でその水準になろうとしているというぐらい、コロナが始まって以降の出生数の減は恐ろしいぐらいのスピードで進んでいますので、これについて、この予算でできるだけいろいろなものを盛り込んだつもりですし、これからもまだまだ打てる手、考えられる手は打っていかなければいけないと思っています。知事査定にも反映させたいと思っていますけれども、知事査定だけでどうこうしようと、そういうレベルの問題ではないと思っています。知事査定のときには、あまりエリアを絞らずにいろいろなことについて、私が、量からするとそうなのだけれども、ここは気にしているよということで、さらにちょっと付けるみたいなことを、エリアを絞り込みすぎずに考えてみたいと思っています。
記者)
先月、県が友好関係を結んでいる韓国の慶尚南道を訪問された所感をお伺いします。
知事)
今回、私初めて慶尚南道に訪問(1月16日~18日)をさせていただきました。朴完洙(パク・ワンス)知事とも面談をさせていただきまして、協定書にも署名をいたしました。またその当日の夜、夕食会に招いていただきまして、同行した県庁の幹部、それから慶尚南道の幹部、またこちら側からは久徳議長、またあちら側の議長が急遽体調不良ということで副議長も出席をされまして、もう大変和やかに、朗らかに会談が進んだところでございます。いろいろ協力できることはいっぱいあるよねと、いろいろなことで交流を深めていこうということで、大変盛り上がったところでございまして、元々、朴知事は去年の年末、岡山を訪問してくださる予定でありまして、ご案内のとおり、まだまだ韓国の政治状況が予断を許さないわけでありますので、具体的にいつ朴知事が岡山に、日本にお越しになられるかという話にはならなかったわけですけれども、私とすれば、いつでも状況が整えば、お迎えをしたいと考えていますし、今回、いろいろ遺跡を見学させていただいたり、あと港湾施設、これむしろ慶尚南道の隣の釜山の港湾施設ですけれども、非常に素晴らしい24時間全自動の施設を拝見したり、航空機の生産ラインを見せていただいたりしました。本当に韓国も頑張っているなということで、我々もいろいろな近隣諸国から学ぶことも多々あるということを思って帰国をしたところでございます。
記者)
来月で芸備線の第1回再構築協議会が開催(令和6年3月26日)されて1年になるのですけれども、改めて現在の所感を教えてください。
知事)
再構築協議会(おいて)、議論が進んでいるところでございます。今どういうふうに(芸備線の)利用促進をしていくのかということについて、かなり深い議論がされていると(聞いております)。いろいろな実験もこれからするのだということも聞いているところでございます。ぜひ、どういう結論に達するにしても、きちんとお互いデータを共有した上で、場合によってはいろんな実験をしてみなければ、なかなか納得のいく結論には達することはできないと思っています。これはこうだろうと言われても、いや、これはやりましたか、この可能性は見ましたかという(意見が出てくるので)、やってみてやはり難しいということであれば、ずいぶん納得の仕方も違うのだと思います。3年以内ということでありますけれども、その期限内にしっかり議論、もしくは実験、努力をすることによって、どういう結論に達するとしても双方納得しやすい、合意しやすい状況が出てくると私は信じています。
記者)
ファジアーノ(岡山)に関連して、J1のホーム開幕戦(2月15日))が10日あまりと迫っている中で、開幕カードもチケット即完売という状況で非常に喜ばしいかと思うんですが、一方で受入体制、チームの方も初のJ1という中で、なかなか今後もこういった受入れの部分、体制の部分で非常に難しい面も出てくるかと思うのですけども、県としてのチーム、クラブに対しての支援の部分とか、対応への向き合いとか、そのあたりというのは知事どのようにお考えでしょうか。
知事)
これから始まる次のシーズンについては、ファジアーノ(岡山)はJ1で戦うわけですので、J1は20チームあるということは、自分とは戦わないわけですから、19試合、ホームの試合、それからアウェーの試合があるということになります。我々岡山県民はJ1の試合を岡山にいながらにして19試合、見ることができる。新聞、テレビで見ていたあの有名なJ1のチーム、また選手が岡山に来てくれる。そのプレーを岡山で見ることができるということでございます。2月1日から愛称が「JFE晴れの国スタジアム」に変わったスタジアムで、みんなでファジアーノ(岡山)を応援することができるわけでありますけども、これまでよりもずいぶんアウェーの応援の数も増えると言われていますし、また、岡山の人もやっぱりね、J2の試合もいいのですけど、やっぱJ1の試合って我々ね、多くの人は見たことないわけですから、見たいと思う人も多いわけでありまして、予想どおりチケットはすぐに完売ということになりました。今まず心配されているのが、特にアウェーの席でトイレが足りなくなるのではないかということでしたり、(観客が)ぎっしり埋まったときに、ここが問題なのではないかみたいなことは、上がっているわけでありまして、このスタジアムは県営のスタジアム、県が管理しているわけですので、我々としてもできることはきちんと対応したいと思っています。ただ、大きな工事が関わることになれば、それは当然すぐにはできないわけでありますし、現実的にできることについては、すぐできることは限られているけれども、その中で最大限対応したいと思っています。
記者)
埼玉県八潮市での下水道管が原因の陥没事故を受けて、岡山県ではどういった現状で、どのような対応をしていきたいというような方針はありますか。
知事)
下水道が毎年老朽化をしているということは、とても他人事ではないと思っています。ご案内のとおり、下水道管については大半が市町村管理ということでありますけれども、まず県が管理している下水道もございます。児島湖流域下水道なのですけれども、これについては5年に一度、テレビカメラなどによりまして、点検調査を実施しているところでございます。直近の調査結果から、速やかな措置が必要な箇所はないという結論が出ています。ただ、そうなのですけれども、あともう一つごめんなさい、国から緊急点検の要請が出ています。我々の持っている下水道管はその(点検)対象になっていないわけなのですけれども、なっていないのですけれども、その(点検)対象になる基準に近い、大規模なものもありますので、幹線の下水道は、なので義務ではないのですけれども、管路について、これから速やかに点検を行う予定にしております。あとそれ以外のもの、市町村管理のものについては、それぞれの市町村が点検等をこれから適切に対応するということを聞いておりますけれども、詳しいことについては、私は今存じ上げておりません。
記者)
アメリカのトランプ大統領が25%関税ということで、メキシコや中国では10%の関税を課したり、特に中国は岡山の企業との貿易も多いと思うのですけど、そのあたり経済的な影響などはどのようにお考えでしょうか。
知事)
率直に心配をしています。二つの点で心配をしております。わからないことだらけなので、あまり軽々に申し上げられないわけなのですけれども、経済学部に入ると、最初の1年目に、自由貿易の利益について学ぶことになります。これは時々誤解をされるのですけれども、自由貿易をするとどっちかが得をして、どっちかが損をするんだと。もしくはそこまで単純な損得じゃないけれども、いろいろなものを輸出入した結果、黒字の国は儲かった国、赤字の国は損した国という、これも本当によくある誤解なのです。これ全くの誤解でありまして、双方ともにその貿易をしないよりも得をしているのです。逆に言えば、得してないのだったら(貿易を)していないわけですので。そういう我々、今のこの生活も貿易があるから成り立っているということはもう多々ありまして、もしもう一度、自給自足で日本の国の中だけで完結をさせなさいというと、明らかに我々の生活水準は大きく落ちます。これもう間違いありません。そういうことで関税を上げて、それぞれの貿易を制限すると、実は関わった、貿易量が減った全ての国が損をするということですので、これはもう本当に心配をしています。無駄が多く出ますので。あともう一つ、別の心配は第一次世界大戦の戦後処理がうまくいかなかったので、第二次世界大戦が起きた。第一次、第二次世界大戦というのは一続きのものだというのはよく最近も言われることでありますけれども、第一次世界大戦は何で起きたのだという、いろいろな説が、いろいろな原因があるわけですけれども、そのうちの大きなものはブロック経済、自分たちの経済だけは守るぞということで、自由貿易を閉ざしていったということが、非常に大きなきっかけになったということが言われています。お互い貿易をして、密接に繋がっている相手とはなかなか戦争にはなりづらいと。相手を叩くことによって自分も大変なダメージを受けるわけですけれども、その貿易を閉ざすことで、平和の基盤が崩されると。貿易を止めると必ず戦争になるというほど単純なものではありませんけれども、第一次世界大戦が起きた経緯、これ「八月の砲声」ですとか「夢遊病者たち」とか有名な本がありますけれども、そういう本を読むと、いや少し今起きていることは、100年前に起きたことに少し似てきているような気もして心配です。
司会)
それでは以上をもちまして、知事定例記者会見を終了いたします。
知事)
ありがとうございました。