今議会を終えて
私からは2項目お話をさせていただきます。
まず、先ほど閉会いたしました。11月定例会についてでございます。
今議会では、県政全般について、幅広いご質問やご提言をいただきました。
教育県岡山の復活につきましては、地域の期待に応えられる魅力ある学校づくりに向けて、県立高校の教育体制の整備を進めてまいります。また、教員の子どもと向き合う時間の確保に向けて、引き続き、働き方改革を進めてまいります。
産業の振興につきましては、企業誘致に向け、空港南産業団地の整備や市町村営団地の開発支援などにより、産業用地の確保を図ってまいります。また、企業の稼ぐ力の強化に向けて、来月開催する「岡山テクノロジー展2018」をはじめ、販路開拓等を積極的に支援してまいります。
来年4月に開通30周年を迎える瀬戸大橋につきましては、先般、高度な架橋技術が認められ「日本の20世紀遺産20選」に選定されたところであります。一級の観光資源である瀬戸大橋と多島美を誇る瀬戸内海の魅力を発信し、観光誘客の拡大に取り組んでまいります。
今後とも、県政の基本目標である「生き活き岡山」の実現を目指し、全力を尽くしてまいります。
結婚支援システム「おかやま縁むすびネット」登録者数の1,000人突破について
次に、結婚支援システム「おかやま縁むすびネット」についてであります。
県は、本年5月より、「おかやま縁むすびネット」を運用してまいりましたが、このたび、登録者数が1,000人を突破いたしました。
運用開始7か月で、登録者数が1,000人を超えたことは概ね順調と考えており、ある程度、システムの認知度も上がってきたのではないかと考えております。
一方で、登録や閲覧の予約が1か月先まで埋まってしまう状況が続いております。
そこで、「いい(11)」「夫婦(22)」の語呂合わせで、1月から3月までの11日と22日を「特別縁むすびDAY」として臨時ブースを開設することといたしました。
これは、出会い・結婚サポートセンターにおいて、開所日であれば開所時間の拡大、休日であれば臨時開所し、より多くの方に利用の機会を提供しようというものでございます。
今後も、おかやま縁むすびネットの周知・広報に努め、さらなる利便性の向上を図っていくことで、結婚の希望をかなえていただきたいと考えております。
以上でございます。
質疑応答
記者)
知事が去年2期目に入られて、約1年経ち、産業振興とか教育県岡山の復活ということで、いろいろ力を入れてらっしゃると思います。特にこの1年間の実績をどういうふうに受け止めていらっしゃるか、また、今後の課題について、併せてお伺いします。
知事)
1年を考えてみまして、1期目で蒔いておいた種の刈り取りを始めた年だったのかなということを思っているところであります。例えば教育の方でいきますと、まずとにかく荒れの問題に取りかかって、これも土台固めですので、それ自体、何か華々しいことにはなかなかならないわけですけれども、最初の4年でようやく非行率半減、学級崩壊をほぼ心配ないレベルまで抑え込んだということもありまして、ようやく、本来の授業がよくわかって、例えば学力に結びついてくるですとか、いろいろな生徒のいい状態に結びついてくるという、成果も、一番わかりやすいのは、どうしてもテストということになるわけですけれども、直近で小学6年生の順位が19位、これも初めて20位以内に入って来たということでありますし、中学の方はちょっともうずいぶんモタモタしてたわけですが、久しぶりに30位台、34位になったということで、土台から土台から少しずつ良くなってきてるなという思いをいたしております。
あと、産業の方はずいぶん立地の発表が相次いだ年ということになりました。玉島ハーバーランドでは6件で、大型のものもありました。笠岡ですとか、これまでなかなか動かなかった、実際、笠岡埋め立ての用地については、15年以上もうんともすんとも全く動かなかったところがようやく動き出して、動き出したらトントントンと進んでいる状態だと。あと、真庭ですとか津山ですとかちょっと動きがなかったところもずいぶん誘致が進み出したなと思っております。5年間で2,100億円の投資をいただいて3,400人の雇用を生むことができたというのは産業の振興は順調に進んでるのかなと思っております。
あと、思い出に残ることで言えば、ヒアリのことですね。何でもそうなんですけれども、例えば桃とかを育てるときでも、桃の種、桃の木を植えておかないと桃はならないわけでありまして、方向性をセットして、仕込むわけですけれども、そしたら何かすごく温めれば、もしくは何か光をばーっと当てれば1日でうわっと花咲爺さんみたいにいくかというと、なかなかそうはいきません。きちんとした体制で毎日毎日じっくり取り組んでいくと、1か月経ったら1か月分の成果が出ると、そういう形になっていきます。
ところが、悪いことは一晩ですごい事になることがあります。例えば台風で実がドーンと落ちたとしたら、これまでの努力が水の泡になりますので、いいことに関しては、じっくりした努力の積み重ね、悪いことに対してはすぐ動くということが、これも大事なわけでありまして、ヒアリも、私はそういう思いで取り組みました。実際、定着してしまった国では大変な予算を継続的に出さなければいけなくなっている国が多いですし、では、それだけの巨費を投じたから根絶できるのかというと、そうはなっていない。とにかくこれは初動が大事。去年の三菱自工さんの問題、それから一昨年の鳥インフルエンザの問題もだいたい悪いことは、初動がものすごく大事でありますので、今回もヒアリについても、まだまだ油断はできませんけれども、国のマニュアルよりも、我々手厚く対応をしたこともあって、見つからなかったとの報告も受けておりまして、今のところ、それ以降の定着ですとか発見はないということでありますので、危機対応ということでは、無事に終わりそうな1年なのかなと思っております。
もう少し細かい話になってくるともういろいろ当然出てきます。やっぱり結婚支援と、1期目で蒔いた種を、2期目で回収し始めている、刈り取り始めているわけですけれども、2期目になって、本格的に蒔き始めた種もございます。
グローバル対応ですとか、もしくは、人口減少問題については1期目の終わりの方からはやってましたけれども、今でも先ほど申し上げましたように、仕込み中もしくは苗を育て中みたいなところでございまして、これは是非大事なことなので、しっかり頑張っていきたいと思っています。
そしたら来年どうなんだっていうことなんですけれども、これは2017年を迎えるときの思いとほぼ同じなんですけれども、先ほど言いましたように、何か一晩で花咲じいさんみたいなことはまず起きませんので、とにかく今の方向性をきちんと方向性に沿って、日々きちんとした努力をみんなで続けていくと。方向性のことに関して、もしくは新しい工夫が必要かどうかということについては、常に目を開いておくと、もう自分はこういう方向で決めたんだからメンツに関わるみたいなそんなことは思っておりません。常に、この方向でいいのかということはチェックをしつつ、この方向でいいということであれば、これまでどおりの努力をしますし、足さなければいけないということがわかった場合には足していくと。あと、何か突発的な危機が起きれば、それに素早く対応するということで、ぜひ、今、世界経済、日本の景気も、良い状態です。こういうときはとにかくヨットで言えば、いっぱいに帆を張って後からの追い風を受けてグイグイ前に進んでいくべきときでありますので、
ここはもう、どんどん前に進んでいく、そういった1年にしたいと思っています。
記者)
地方消費税のことでお伺いします。先日、来年度の税制改正大綱がまとまりまして、地方消費税の配分見直し等が決まりました。地方が手厚くなるといわれていますが、これについて知事のご所見をお願いします。
知事)
これは、どうあるべきかということと、岡山県にとってどうかという2つに分けてお話をさせていただきます。
この地方消費税の清算基準というのは、払った人にお返しするということですから、消費税とはそういうことなので、税収を最終消費地、まさに払った人に帰属させるという制度の趣旨を全うするために、どの指標を、どういうデータを使うのが公正なのかということであります。実際、物が売れた場所というのは、例えば、あまり他県と行き来のないところであればもうそのまま県内の人が県内で使ってるわけですから、その税収がその県に落ちる。全く誰も文句はないところであります。
問題になるのは、例えば埼玉県ですとか奈良県みたいに、その県はその県で居心地良く、皆さん住まれてるんですけれども、何か買い物、特に大きな買い物のときには、もう電車に乗って30分ぐらいで、隣の県の大きなデパートであったり、ショッピングセンターに行って買い物をされている場合には、その本来の趣旨とずれてきます。そういうときにどういうふうに補正をしていくのかというときに、日本の場合、ありがたいことに、アラブの国とか、どこかの国みたいに、普通の人と、また、トップ5%ぐらいの所得の人の消費額が200倍も500倍も違うみたいなことになってませんから、だいたいこの人口割でいけばそういう問題が起きないのではないか、というこの考え方は私は一定程度理解できるなと思っています。
私自身は、とにかくデータというのは、取得するにコストがかかることですから、新しくアンケートを取るぐらいだったら、今あるものをいかにうまく加工して、本来、欲しいデータを作っていくか見つけていくかということで言えば、これも悪くないですし、もしこれよりも良いやり方がわかってるんだったらそちらを取るべきであろうと、私はそれ自体あまり詳しくありませんので、そういった議論の中で出た結論なのかなと思っております 熱烈に支持していたわけでもありませんし、反対していたわけでもありません。とにかく、制度の趣旨に沿ってきちんとやってほしいなと思っていたところであります。あと本県の影響ということでありますけれども、ほとんどありません。我々はプラスマイナスキャンセルするような立場でありまして。
記者)
議会マターかもしれませんが、政務活動費に関して、今回、陳情が2件あったわけですが、いずれも継続審査ということで、やはり公費なわけですからしっかりしてほしいなという感じがします。知事としてのご所見をお伺いします。
知事)
おっしゃられたとおり、これはまさに議会マターになります。これは二重の意味で議会マターのようなところがありますが、議会に行った陳情、議会に関する陳情ということであります。
議会マターですので、私は議会にチェックをされる立場ですので、チェックをされる人間がチェックをする人について、どうこうということにはもともとならないということを申し上げた上で、おっしゃられたとおり、私も含めて、県庁職員も含めて、議会の皆さんも含めて、全て税金で活動をさせていただいております。ですから、納税者の皆さん、県民の皆さんが、「頑張ってくれてるな」というふうに思っていただくのが正当性の根拠であり、活動をしているエネルギーのもとでありますので、そこは自分自身も含めて、きちんと頑張らなきゃいけないなと思っています。
記者)
瀬戸大橋についてです。冒頭、瀬戸内海とあわせてというお話があったんですが、これから本格化していくと思います。30周年に向けてこんなことがしたい、盛り上げる気持ちのようなところを教えてください。
知事)
具体的にどういうイベントを考えているかというのはもう発表させていただいているとおりでありまして、今いろいろ仕込んでいるところなんですが、30年、私が大学生のときにオープンのブリッジウォークを家族と友人と参加をさせていただいて本当に感慨深かったことを思い出すわけですけれども。あれから30年経ったのかと。30年ですから、その内20年強を民間人としていかってたわけですよ。どういかってたかというと、ものすごいお金を入れてしまったということも、何とかもう少し安くできなかったのかと。これ民間人ですからね。思うと同時に、その1兆円を超える巨費を投じたら、それを回収するためにこんな料金になりますよという説明が全く経済学の原理を逸脱していると。サンクコストというのがわかってないのかと。わかってるんでしょうけれども。
そこで、未来志向で、ちゃんと活用するという料金体系にするともうその投資の回収を諦めたと公に宣言するのに等しいことになってしまいますので、どうしてその予算がついたんだとか、だれがGOを出したんだとか、そういう責任者問題にも多分なるんでしょう。
そういうきちんと活用するという観点からの料金設定になっていないことに関しては、
えらい大金かけたのももったいなかったけど、一番もったいないのは、それが5,000億でできるのか、一兆かかったのか知らないけれども、料金が高過ぎて使えないというのが、これ誰も使わなかったら、巨大なオブジェになってしまいますので。これは絶対使える料金にしなければいけないというふうに申し上げております。電車部分はマリンライナー1470円で、比較的手頃な料金で使えるので、本当にいい効果があった。車をぜひということでようやくこの数年前に料金が観光でも業務でも使える、要するに一般高速道路と同じキロあたり料金になりましたので、使える料金になってずいぶん台数も増えました。
本当の意味で、橋がつながったなということを思っておりまして、これからぜひ有効活用して、もっともっと両側の地域の発展、文化の振興に、もしくは人の交流に役立てていきたいと思うと同時に、できたときはあのバブル真っ最中で、円高すごかった頃ですよね。外国の友達を呼ぼうにも、日本はなかなかユニークなところでいいんだけれども、もう何から何までむちゃくちゃ高くってとても行けない、ということをよく聞きました。
今、いろんな事情があって、ずいぶん円高は是正をされましたので、いろんな方が来やすくなってきた。実際に外国人旅行者は急増をしています。そういう観点で見ると、
瀬戸内海も本当に多島美、それもただあるだけじゃなくて、船で5分10分移動するだけで、もう刻々と違った景色になる。これは実は本当に世界でも大変珍しい、美しい景色でありまして、そこにその技術の粋を集めた瀬戸大橋が架かっている。これこそ一級の観光資源だなと。これまで我々はあまり海を、橋を、観光資源としてPRしてこなかったと思います。それは後楽園でしょう、美観地区でしょう、みたいなことなんですけれども、本当に外国人の評判がいいものですから、当然国によって、微妙にニュアンス違いますが、これからしっかりアピールしていきたい。
あともう一つ。日本はなぜか諸外国と比べて海を観光に使ってきませんでした。そこは漁業する人の場所であって、みたいなことで。あと、クルーザーを使うのは何かえらいお金持ちがやってることということだったんで。実際、諸外国、もっともっと、船が観光に使われて、みんな海を楽しんでいる。ぜひ、その海に親しむ文化、我々の地域にも取り入れていきたいと思っています。
記者)
国の来年度予算がさきほど閣議決定しました。地方の基金が多くなってきているということで地方交付税に反映させるかどうかという議論があったんですが、結局今年度並みになったということで、それについてのご所見をお伺いします。
知事)
この一般財源総額が本年度並みに確保ができたということについては、一定の評価をしたいと思っております。
地方税収が上がるであろうということで、政府からくる金額についてはちょっと減るわけですが、我々とすれば、トータル、我々の活動を資金が確保できるかということが非常に大切でありますので。
あと、地方の基金が積み上がってるじゃないかということに関しては、ちょっとこれは我々のことを全然わかっていない議論だなと思っています。変なところをつついてきて、言う人の信用問題にもちょっと関わるのではないかと思うんですが。いろんな議論がありますが、大きく2つを私は思っておりまして、一つは、こんなに積みあがってるといううちの一部は国の指示で置いているものです。医療の充実のために1年ごとではなくてまず先渡しして基金を作っておきなさいね、それをこういうふうに使いなさいね、という、その制度設計上そういうふうになっている。しかも我々が決めた金額ではありませんよというものも多々ございます。あと、自分たち自身で積んでいるものもあります。県によっても多少違うでしょうけれども、これは我々が必死の思いで積み立てている、もう貯金とは言えないような、へそくりに近いようなものなんです。このへそくり、もしくは企業でいえば手持ち資金で、企業よりももっと切実なんです。どういうことかといいますと、私は企業経営者をしていましたので、きちんとファイナンスが回る、回らなかったら、これ黒字倒産になりますので。手形が落ちなかったら大変ですから。そのためにきちんと銀行とスケジュールを打ち合わせておく。また、自分たち自身の手元に、キャッシュ、これは当座預金でもどういう形でもいいんですけれども、持っておくとちょっと計算違いがあったときでも対応できるということになります。で、いい会社であれば、何かあったときでも、このメインバンクが「君のとこ、ちょっと計算違いしてるよ」と言ってすぐ融資に応じてくれる場合も多々あります。いい会社であれば。ですから、致命傷にはならないんですけれども。
私もここに来て初めて知ったんですが、県の場合、例えば、そういう県はずいぶん減りましたけれども、非常に財政状態が良いという健全な県であっても、何か例えば大きなプロジェクトがあって、その評価損は出ています。ただそれについては少しずつ解消することで、国と合意もできている関係者とも合意ができている、10年かけて解消しましょうということが、何らかの事情で1年で、これは会社でいえば特損で計上しなさいみたいなことがあるとします。企業でもあります。これはちょっと特損で落とそうということで、1年どんと赤字が出ますけれども、経常利益はちゃんと出てるんです。これは会計上の名目上のことですよと、多々、いい会社でもよくあることですけれども。
県でそれをやってしまいますと、これちょっと評価の仕方がおかしいと思うんですけれども、経常的に回っているという判断とは全く別で、特損を出してしまってその特損の幅がある一定以上を超えると、夕張と同じ扱いになってしまいます。みんなが、ここは通常は回ってるんだよな、これは非常に特殊な事情で、評価損が出たんだよなということを分かっていても、ルール上、破綻認定をされて、県の独自財政運営が一番極端な場合、禁止をされてしまうということになっていますので、これはとんでもない。とにかく、そういったさっき企業で何かあったときにすぐ融資を受けるとか、こっちを使ってあれをしてということが許されない。もし何かあったらそこで血流が止まって死ぬということですので。県の担当者はそういうことが起きないようにいろいろなことについて、関係者、国と協議もしますし、何かあったときにそんなことにならないように、もう必死の思いで貯めてるわけなんです。ですから、ちょっとそれをもって余裕があるだろうというふうに言われると何かのことで死んでしまう我々の立場を本当にご存じなんだろうかと私は思っております。
進行)
それでは以上をもちまして、知事定例記者会見を終了いたします。
知事)
今年も大変皆様方お世話になりました。来年も一生懸命頑張ってまいりますので、ぜひともよろしくお願いします。ありがとうございました。