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環境研究グループ(牛尿を飼料イネの追肥として利用する技術)

印刷ページ表示 ページ番号:0032342 2010年4月1日更新畜産研究所

牛尿を飼料イネの追肥として利用する技術

ねらい

家畜排せつ物法に基づき、畜産農家では家畜ふん尿を
適正に処理しなければなりません。特に、尿については
浄化処理が知られていますが、コストが高く、施設の維持管理も難しいため、
その処理が課題となっています。
そこで、当センターでは尿の有効な利用法として、
牛尿を飼料イネの追肥として利用する試験を行いましたので、
その技術をご紹介します。

メリット

1.流し込むだけでよく、施肥作業が省力化できます。
2.田植え直後から穂肥まで生育ステージにあわせた施肥が可能です。
3.水と混和することで悪臭の低減効果が期待できます。

尿の施用方法

尿は以下のような方法で施用します。非常に簡単な方法であり、労力はほとんどかかりません。

1.水田をひたひたの状態にしておく
2.尿をくみ取り、水田へ設置する
3.約1時間かけて尿と用水を同時に流し込む
4.尿を行き渡らせるため、約30分押水を行う
尿くみ取り
水田に設置
用水と同時に流し込み
押水を行う

試験データ

この方法を用いて飼料イネの栽培試験を行い、化成肥料を用いた慣行栽培と比較しました。なお、牛尿の施用は2回に分けて行い、合計の施用量は10aあたり約500Lでした。
牛尿施用量
イネは順調に生育し、収量においても投入窒素量を同じとした慣行栽培と遜色ありませんでした。また、今回の施用量では臭気の発生も僅かであり、飼料イネの成分や跡地土壌等にも影響はほとんどありませんでした。
乾物収量グラフ
牛尿を施用した水田の収穫時の様子

留意点

この方法は尿を水中に流し込むことで臭気の発生を抑えていますが、施用量によっては臭気発生の可能性があります。住宅地に隣接するような水田においては、一度に大量の尿を施用せずに、少ない量から施用してください。
 また、尿の過剰施用はイネの倒伏等の問題を生じる可能性があります。試験した施用量では問題ありませんでしたが、実際の利用に当たっては、各指導機関に相談して尿の施用量を決めることをおすすめします。