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RSウイルス感染症について
RSウイルス感染症について
RSウイルス感染症は、RSウイルス(respiratory syncytial virus)による急性呼吸感染症です。RSウイルスは世界中に分布しており、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の児が感染するとされています。
国内では、これまで夏頃から患者が増加傾向となり秋にピークが見られていましたが、コロナ禍以降は、春から初夏に増加傾向となり夏にピークが見られるようになっており、流行時期が早まっている可能性があるため、発生動向には注意が必要です。
症状は、発熱や鼻汁などの軽いかぜ様の症状から肺炎まで様々です。RSウイルスは、生涯にわたって感染を繰り返しますが、多くの場合は軽い症状で済みます。ただし、初めての感染時には重症化しやすく、特に生後6か月以内の乳児では、重症化により入院にいたるケースもあります。初感染の乳幼児の約3割は、せきが悪化し、喘鳴、呼吸困難が生じるとされています。また、慢性呼吸器疾患等の基礎疾患を有する高齢者が感染した場合には、急性の重症肺炎を引き起こすことが知られています。
感染経路は、接触感染(ウイルスが付着した手指や物を、触ったり、なめたりすることによる)と飛沫感染(感染している人の「せき」や「くしゃみ」、会話などの際に口から飛び散るしぶきを浴びて吸い込むことによる)です。
感染を拡げないために
・手に付着したウイルスによる感染予防のために、石けんと流水による手洗いで、ウイルスをしっかりと除きましょう。
・アルコール製剤による手指消毒も有効です。
・皆がよく触れる場所や器具(おもちゃ)等の消毒を行いましょう。
・せきなどの呼吸器症状がある場合は、マスクを使用できる年齢の子どもや大人はマスクを着用することが大切です。
かかったときは
特別な治療法はありませんが、基本的には対症療法が行われます。
呼吸が苦しそう、食事や水分摂取できないなどの不安な症状が見られる場合は、早めに医療機関にご相談ください。
予防方法は
・小児における予防
特に生後6か月以内の乳児では、初感染時に、せきなどの悪化により喘鳴、呼吸困難などの下気道疾患による重症化リスクが高いことが知られており、入院にいたるケースも少なくありません。その予防を目的としたワクチンが2024年6月以降、全国の産婦人科等で任意接種可能となっています。このワクチンは、妊婦に接種することにより、母体で産生した抗体を胎盤を通じて胎児へ移行することで、出生後の乳児のRSウイルスによる下気道疾患を予防するとされています。
また、早産児等、対象となる一部の新生児や乳幼児の予防には、保険適応となるモノクローナル抗体製剤もあります。RSウイルス感染症の流行初期に、乳幼児に投与し始め、流行期も引き続き1か月毎に筋肉注射することにより、重篤な下気道炎症状の発症の抑制が期待できます。
・高齢者における予防
慢性呼吸器疾患等の基礎疾患を有する高齢者が感染した場合は、急性の重症肺炎を起こすことが知られています。その予防を目的としたワクチンが、60歳以上を対象として任意接種可能となっています。
県内の発生状況について
県内のRSウイルス感染症の発生状況は、岡山県感染症情報センターのホームページでお知らせしています。