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胃がんとピロリ菌の関係について

印刷ページ表示 ページ番号:0951780 2025年1月10日更新疾病感染症対策課

1 ピロリ菌について

ピロリ菌とは

 ピロリ菌は胃の粘膜に感染して胃炎を引き起こす細菌です。ピロリ菌は主に幼少期に感染し、生涯にわたって感染が持続し、慢性胃炎、胃潰瘍、胃がん等の病気を引き起こします。

感染経路

 感染経路は、環境因子、家族内感染などによると考えられており、口から感染すると推定されています。
 上下水道の整備など、衛生環境が整ったことにより、ピロリ菌感染者の割合は減少しています。特に若年層において感染率が著しく低下しています。

ピロリ菌との関連が考えられている主な病気

(1)ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎
(2)胃潰瘍・十二指腸潰瘍
(3)胃がん
(4)胃MALTリンパ腫
(5)特発性血小板減少性紫斑病 など

ピロリ菌検査

(1)血液または尿中抗体検査
 体の中にピロリ菌に対する抗体があるかどうかを調べる検査法です。簡便なので広く用いられていますが、除菌が成功した後でも陽性が続くこともあり注意が必要です。
(2)尿素呼気試験
 診断薬を服用する前後の呼気を集めてピロリ菌の有無を調べます。最も精度の高い検査法で、除菌前の感染診断と除菌療法後の除菌判定に推奨されています。
(3)便中抗原検査
 糞便中のピロリ菌を調べる精度の高い検査法で、現在ピロリ菌に感染しているかどうかがわかるので、ピロリ菌の感染診断と除菌判定に有用です。
(4)内視鏡検査で胃の粘膜を採取して診断する方法
 (a)組織検体中のピロリ菌を顕微鏡で観察する鏡検法、(b)粘膜を特殊な液と反応させて色の変化で判定する迅速ウレアーゼ法、(c)粘膜に付着したピロリ菌を培養し確認する培養法があります。

※注意点
 どの検査も100%正しいとは限りません。検査の選択や結果の解釈については、医師にお尋ねください。

除菌治療

 通常は3種類の薬を朝夕2回、7日間服用します。これを一次除菌といいます。一次除菌は、胃酸の分泌をおさえる胃薬(プロトンポンプ阻害薬、カリウムイオン競合型アシッドブロッカー)と2種類の抗生物質(アモキシシリンとクラリスロマイシン)を用います。
 除菌薬内服終了後、4週間以上あけて除菌の判定を行います。具体的には、尿素呼気試験や便中抗原検査を用いてもう一度ピロリ菌を調べます。約70~90%の方は除菌に成功します。
(日本ヘリコバクター学会「ピロリ菌感染の診断と治療<医師用>」、「ピロリ菌から胃を守れ!!慢性胃炎・胃がんのもとを断つ」より引用)

2 胃がんとピロリ菌の関係

胃がんの発生要因

 ピロリ菌の感染が胃がんのリスクであることは科学的に証明されています。

感染予防

 ピロリ菌は、ピロリ菌感染者の唾液を介して、多くは乳幼児に感染すると考えられており、大人から子どもへの食べ物の口移しなどは避けるようにしましょう。
 ピロリ菌除菌により、胃がんのリスクは低下するとされていますが、除菌をしても将来的な胃がんのリスクは残るため、定期的な検査の継続は必要です。

○ピロリ菌除菌について
 胃がんの発生要因の一つとされているピロリ菌への感染の有無を確かめるため、ピロリ菌検査を受けることができます。
 国立がん研究センターがん対策研究所は、胃がんの予防法の一つとして、「ピロリ菌感染の有無を知り、感染している場合は除菌を検討すること」を提言しています。
 併せて、除菌治療について、提言では以下の留意点を示しています。
 「除菌しても将来的に胃がんが発生するケースもあるため、定期的な検査の継続が必要です。また、人により起こりうる皮膚症状や他の疾病への影響など、不利益の側面に関する情報は不足しています。除菌治療を選択する場合は、利益と不利益を考えた上で主治医(専門医)と相談して決めましょう。」

○ピロリ菌検査・除菌の保険適用について
 以下に掲げる患者(※)のうち、ヘリコバクター・ピロリ感染が疑われる患者については、ピロリ菌検査を保険適用で行うことができます。また、検査で陽性になった場合は、除菌治療も保険適用となります。ただし、保険適用となるのは、一次除菌に失敗した場合に行う二次除菌までとなります。

 ※保険適用対象患者
  ・内視鏡検査又は造影検査において胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の確定診断がなされた
   患者
  ・胃MALTリンパ腫の患者
  ・特発性血小板減少性紫斑病の患者
  ・早期胃がんに対する内視鏡的治療後の患者
  ・内視鏡検査において胃炎の確定診断がなされた患者