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CLTの建築コスト調査を行いました!<平成30年度>
< CLT建築コスト等調査 >
新たな建築資材として注目されているCLT(直交集成板)の利用促進を図るため、平成29年度に続きCLT造で建築された建物と同等の建物を鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨造(S造)で建築した場合の建築コスト等の比較検討に取り組みました。
○ 事務所(2階建、延べ床面積315m2)
調査の概要
一般社団法人岡山県建築士事務所協会と連携し、CLT造で建築された2階建事務所(浅口市内)の事例を基に、昨年度と同様の手法で、RC造及びS造で建築した場合の建築コストの比較検討を実施しました。
また、今年度は新たに、現場作業人員数及び工事期間についても比較検討しました。
明らかになったCLT造の利点
- 躯体の重量が軽く、RC造等に比べ基礎工事が簡略化できる。
- 事前に製造工場で、プレ加工ができることから、現場作業人員数の削減や工期短縮に対応しやすい工法と考えられる。
- 内装を現(あらわ)し仕上げとすることで、躯体以外工事(内装工事)の一部が省略でき、コスト低減等で有利になっている。
1 建築コストの比較
(単位 : 千円/m2)
区 分 | CLT造 | RC造 | S造 | |
工 事 費 | 201 (100%) | 218 (108%) | 211 (104%) | |
仮 設 等 | 2 (100%) | 2 (100%) | 2 (100%) | |
基 礎 | 17 (100%) | 55 (323%) | 51 (300%) | |
躯 体 | 77 (100%) | 44 ( 57%) | 39 ( 50%) | |
躯体以外 | 64 (100%) | 76 (118%) | 78 (121%) | |
設 備 | 41 (100%) | 41 (100%) | 41 (100%) |
- 一定の条件のもとで、CLT造とRC造、S造を試算すると、ほぼ同額の結果となった。
※一定の条件 ・・・ (1)内装は木質仕上げ、(2)断熱はCLT造と同程度
2 現場作業人員数の比較
(単位:延べ人員数)
区 分 | CLT造 | RC造 | S造 | |
総 人 員 数 | 278 (100%) | 707 (254%) | 380 (136%) | |
基 礎 | 89 (100%) | 130 (146%) | 110 (123%) | |
躯 体 | 68 (100%) | 367 (539%) | 63 ( 92%) | |
躯体以外 | 88 (100%) | 177 (201%) | 174 (197%) | |
設 備 | 33 (100%) | 33 (100%) | 33 (100%) |
- CLT造を100とすると、RC造254、S造136となり、CLT造は、他工法と比べて、大幅に現場作業人員が少ない結果となった。
3 工事期間の比較
区 分 | CLT造 | RC造 | S造 | ||
工 事 期 間 | 6ヶ月 (100%) |
7ヶ月 (116%) |
7ヶ月 (116%) |
||
躯体 工事 期間 |
準備工程 | 約100日 | 約30日 | 約80日 | |
現場工程(建て方) | 約10日 | 約30日 | 約20日 | ||
躯体以外期間(内装工事) | 約20日 | 約40日 | 約50日 |
- CLT造は、躯体の建て方期間や内装工事期間等が短縮でき、他工法に比べて全体工期が1ヶ月程度短縮できる結果となった。ただし、CLT造では、躯体工事において施工図やパ ネル製作加工等に一定の準備期間(3ヶ月程度)が必要となることも確認された。
調査の結果はこちら ⇒ <H30>CLT建築コスト調査リーフレット [PDFファイル/2.06MB]
平成29年度調査結果はこちら ⇒ 平成29年度CLT建築コスト調査