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標点 平成22年10月号(通巻733号)

印刷ページ表示 ページ番号:0078189 2010年10月1日更新教育政策課

廣田課長

 一期一会

 県教育庁生涯学習課長    廣田   貢

 あの時あの人に出会えなかったら今の自分はない。そう思える大切な出会いが誰(だれ)しもある。十年前、「学校を子どもたちの心がはずむ場、人がつながる場にしたい」という夢を抱き文部省に入った私にも三人の忘れられぬ人との出会いがあった。
 中学三年間を通じクラス担任だった恩師。厳しくも愛情をもって生徒と向き合い、一つひとつの言葉に魂を込めて語る恩師の姿を見ながら、いつしか私も子どもの学びに関われたらと教師を夢見た。次に、高校時代の親友の父。建築家だった彼は、家に遊びにいった私をつかまえては目を輝かせて建築の魅力を語ってくれた。イメージが現実化するダイナミックさ、新たな価値の創造……いつしか私も人々の思い出に残り続ける建物をつくってみたいと建築家を夢見た。そして、大学の研究室の教授。まちづくり専門の教授は常日頃から口にした。「大事なんはまち育て。人が育つことによってまちも育っていくんや。」「人がつどい、心をかよわせ、つながりあうまちを育てていくことが大切や。」―教授の言葉に耳を傾けまちの人たちと接する中で、ふと子どもたちの学びに関わりたいと思った中学時代の夢が再沸してきた。
 こうして、私の夢は「子どもたちが毎日笑顔でつどい、心をかよわせ、つながりあう場・学校を育てていきたい」という夢に辿(たど)りつくのである。
 学校施設に関わる職場に就き十年目を迎え、様々な人の御縁と御恩により、岡山県の生涯学習に携わることとなった今、地域で子どもを育てる取組にかかわっている。
 次代を担う子どもたちが健やかに成長していくためには、社会全体で子どもを育(はぐく)み支えていく必要があり、学校に地域の力を注いでいく取組が不可欠である。地域の方々の知識や経験等を活かして学校の教育活動等を支援する「学校支援地域本部事業」や「放課後子ども教室推進事業」などは、まさに学校と地域社会を結び付けるシステムとして有効であり、様々な学校で効果を発揮している。
 学校に地域の方々がかかわることで、子どもたちは多くの人々と出会う。学校という場が学習や生活の場にとどまらず、人と出会いつながる場となっていく。
 「そのときの出逢(であ)いが人生を根底から変えることがある、よい出逢いを」―中学時代の恩師が卒業時にくれた相田みつをの詩である。これからの未来をつくる子どもたちが夢や希望を持って育っていくために、みずみずしい感受性を震わせるほどの大切な出会いをしてほしい。そして私も出会ってよかったと思われる大人となれるよう、夢の実現に全力で邁進(まいしん)したい。