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市町村合併の推進についての意見

印刷ページ表示 ページ番号:0057936 2010年3月9日更新市町村課

市町村合併の推進についての意見(地方分権推進委員会)

市町村合併の推進についての意見(地方分権推進委員会)     
                         
                             平成12年11月27日
                             
はじめに
 地方分権推進法は、5年間の時限法であり、本年7月2日にその期限が到来することになっていたが、地方分権推進法の一部を改正する法律の成立により、地方分権推進法の有効期間が1年間延長され、これに伴い、当委員会の任期も1年間延長されることになった。
 当委員会は、これまでの監視活動の結果を踏まえ、本年8月、地方分権推進法第10条第2項の規定に基づき、内閣総理大臣に意見を提出した。その際、内閣総理大臣から当委員会に対し、引き続き監視活動に取り組むとともに、市町村合併の推進、地方税財源の充実確保などの課題について、更に検討するよう、要請がなされた。
 このうち、市町村合併の推進については、基礎的な地方公共団体が地域における行政を一貫して自主的、自立的に実施できるようにするため、国は自主的合併の促進に努めてきた。当委員会は第2次勧告において、かかる観点から市町村合併を取り上げたところであり、当委員会の第2次勧告を受けた地方分権推進計画に基づき、地方分権推進一括法により「市町村の合併の特例に関する法律」(以下「合併特例法」という。)が改正され、住民発議制度の拡充、都道府県知事による合併協議会の設置の勧告、普通交付税の算定の特例の期間延長、合併特例債の創設、地域審議会の設置等の諸措置が講じられている。また、自治省から各都道府県知事に対して、「市町村の合併の推進についての指針」(以下「指針」という。)が示され、市町村の合併の検討の際の参考や目安となる市町村合併のパターン等を内容とする「市町村の合併の推進についての要綱」(以下「要綱」という。)を平成12年中のできるだけ早い時期に作成するよう要請がなされ、その作業が進められているところである。一方、政府においては、21世紀のわが国社会について新たな行政システムを構築する必要から市町村合併の推進を含む行政改革大綱の策定に取り組んでいるところである。
 こうした状況を踏まえ、当委員会は、本年9月以降、市町村の合併の着実な推進を図っていくための方策などについて、関係地方団体、地方公共団体の首長、経済団体、学識経験者等広く各界各層の人々の意見を聴取しながら精力的に検討を進めてきたところであり、今般、市町村合併の推進について、地方分権推進法第10条第2項の規定に基づき、内閣総理大臣に対して意見を述べるものである。
 政府においては、この意見を尊重し、適切に対処されるよう要請するものである。
 
Ⅰ 市町村合併の意義
1 市町村合併の必要性
(1) 地方分権の推進
 少子・高齢社会の到来に対応し、社会の活力を維持・向上させ、自己決定と自己責任の原則に基づく真の分権型社会を構築していくことが重要である。したがって、これまでの地方分権の推進の成果を十分に活かし、高度化、多様化する行政需要に対応するためには、市町村合併を通して基礎的自治体の自立性と行財政基盤の充実強化を図る必要がある。
(2) 市町村行政の広域化
 住民の日常社会生活圏や経済活動の広域化の進展に伴い、広域的な見地から行政を展開することが益々必要になってきている。特に、介護保険制度の施行やごみ処理の問題等広域的な対応が従来に増して求められてきていることにかんがみれば、基礎的自治体としての市町村が合併を通して圏域の拡大を図ることは必要である。
(3) 国・地方の財政状況への対応
 我が国の財政は、平成12年度末の国・地方合わせた債務残高は約645兆円に達し、その内に占める地方財政の借入金残高は、平成12年度末には180兆円を超えると見込まれているなど極めて厳しい状況にある。その中で、少子・高齢化が急速に進行しており、医療、福祉等の社会保障関係費の増大など財政需要の一層の増大が見込まれている。
 こうした国・地方を通ずる厳しい財政状況の下、市町村が、現在の行政サービスの水準を将来にわたって維持していくためには、まず、自らの努力として、市町村合併による簡素で効率的な地方行政体制の整備が必要であると考えられる。
(4) 担税者としての国民の意識への対応
 厳しい地方財政状況の下、地方税の充実確保を図っていくうえで、担税者、生活者としての国民の幅広い理解を得なければならない。そのためには、民間企業等において経営合理化策等が講じられている社会経済情勢や、現行の地方行財政運営の仕組みに対して国民の中には厳しい意見もあることなどにかんがみ、これを見直し、地方公共団体において、徹底した行財政改革を実施するとともに、市町村合併を強力に推進する必要がある。
 
2 市町村合併の効果
 市町村合併のメリットとしては、①広域的視点に立ったまちづくりの展開や施策の広域的調整が可能になること、②行政サービスの拡大や公共施設の広域的利用等による住民の利便性の向上、③専門的知識を持った職員の採用・増強や専任の組織の設置が可能になること、④行政組織の合理化、⑤公共施設の広域的・効率的な配置などが挙げられている。
 他方、市町村合併については、その必要性は十分に認識されているものの、合併のデメリットとして、①行政との距離が遠くなることによる住民の利便性の低下、②住民の意見の施策への反映やきめ細かなサービスの提供が困難になること、③合併後の中心部と周辺部との地域格差の発生、④地域の連帯感の喪失、⑤サービス水準の低下や住民負担の増加などが指摘され、市町村や住民が合併に対して消極的になっている場合もある。これらのデメリットとして挙げられている点については、合併についての関係市町村の協議の中で十分な検討を行い、合併についての行財政措置を十分に活用することなどによって、その解消を図る必要がある。
 
Ⅱ 市町村合併の推進方策
 合併特例法の期限である平成17年3月までに十分な成果が上がるよう、既に講じられている措置に加え、新たに次の措置を講ずることとする。なお、合併特例法の財政措置は、原則として法の期限内に合併するものについてのみ適用されるものであることを関係者は認識して取り組む必要がある。
 
(1) 合併支援体制の整備
 市町村の合併に対する取組を総合的に支援するため、政府部内において「市町村合併支援本部」(仮称)を設置することとし、国民への啓発とともに、市町村合併の推進の観点から、国の施策に関し、関係省庁間の連携を図る。
(2) 住民発議制度の拡充と住民投票制度の導入
 合併協議会の設置を求める住民発議が行われた場合には、住民発議に係る議会の議案審議に際して請求代表者の意見陳述を認めることとし、合併協議会が設置される場合、合併協議会そのものへの参加も認めることとする。
 また、住民発議が行われても合併協議会設置に至らない場合が多いことにかんがみ、住民の意向がより反映されるよう、住民発議による合併協議会設置の議案が議会で否決された場合に、合併協議会の設置を求める住民投票制度の導入を検討する。
 なお、住民発議により合併協議会が設置された場合には、一定期間内に市町村建設計画を作成するものとする。
(3) 合併推進についての指針への追加
 各都道府県が要綱を作成しつつある状況を踏まえ、国は現在の指針に、合併協議会設置に係る知事の勧告の基準を示すことや、各都道府県に知事を長とする市町村合併のための全庁的な支援体制を整備することの要請などを追加する。
(4) 財政上の措置
 合併特例法の期限内に合併する市町村に対し、合併後の財政需要に対する交付税措置を一層充実する。
 また、地方税の不均一課税の適用期間の延長その他合併に伴う税制への配慮を検討する。
(5) 旧市町村等に関する対策
 国は、住民サービスの維持向上を図り、住民の意向がより反映されるよう、地域審議会の活用、当分の間旧市町村の意向が議会において反映される措置、災害等緊急時の役場機能の維持など旧市町村等を単位とする多様な仕組みを検討する。
(6) 情報公開を通じた気運の醸成
 国は、都道府県知事に対し、要綱の周知を図るよう要請するとともに、市町村に対し、住民が市町村合併の是非について的確な判断ができるよう行財政情報の公開を徹底するよう要請する。
 
おわりに
 昨今、地方交付税による財源保障が市町村合併の推進を阻んでいるとの声があることも事実であるが、国・地方を通じた厳しい財政状況を考慮すれば、むしろ財政構造改革の論議の中で地方交付税制度の一層の簡素・合理化を検討すべきであると考える。
 当委員会としては、合併特例法の期限である平成17年3月までに、既に講じられている措置及び今回の措置により、市町村合併に十分な成果が上がるよう、市町村の関係者にあっては、すべての市町村において自らの問題として合併に向けた取組を速やかに開始され、国・都道府県の関係者にあっては、市町村合併の推進を支援するため最大限の努力を払われることを強く期待している。
 また、合併協議が整った市町村についての合併の是非を問う住民投票制度の導入の検討や、基礎的な地方公共団体としての市町村制の在り方を総合的な見地から再検討することも、今後の課題として挙げられる。
 最後に、市町村合併が飛躍的に進展することになれば、広域的自治体としての現在の都道府県の在り方の見直しも視野に入れ、地方自治の仕組みについて、中長期的に本格的な検討課題として取り上げていくことが必要になることを指摘しておきたい。
 なお、当委員会は、残された任期の中で、引き続き監視活動に取り組むとともに、地方税財源の充実確保などの課題について更に検討を進めていく方針である。