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BSEへの正しい理解を!

印刷ページ表示 ページ番号:0644059 2020年4月1日更新生活衛生課
 日本国内で発生したBSE(牛海綿状脳症)と、現在行われている対策について正しく御理解いただき、安心して牛肉をお召し上がりください。

Q&Aのコーナー

Q BSEってどんな病気?

 BSE(bovine spongiform encephalopathy)は、1986年にイギリスで初めて報告された牛の病気です。BSEに感染した牛は、4~6年間は特に変わることなく普通に過ごしますが、その後、異常な行動や運動失調などの症状を示すようになり、発病後2週間~6ヶ月で死亡します。この牛の脳組織を顕微鏡で見ると、空胞ができて海綿状(スポンジ状)になっていることから「牛海綿状脳症」と名付けられました。

Q BSEの原因は何?

 現在のところ、「プリオン」というすべての動物の神経の働きを支えているタンパク質が何らかの原因で異常な構造になったことを原因とする説が有力です。異常化したプリオンが神経細胞に入ると、正常なプリオンを異常なプリオンに変えることがあります。通常、体内でできた異常なプリオンは病気を起こすことなく分解されてしまいますが、一度にたくさん作られると、正常なプリオンの働きができなくなり、神経系の病気になってしまうと考えられています。
 異常なプリオンは、熱や薬品などに強く、煮たり焼いたりという普通の加熱調理では不活化されません。

Q BSEはどれくらい発生しているの?

 1986年にイギリスで初めて報告されてからこれまでの間に、EU諸国を中心に世界30ヶ国で19万頭以上のBSEが確認されています。そのうち96%以上がイギリスでの発生です。
 日本では、2001年9月21日に1頭目のBSEが確認され、現在までに計36頭の発生となりました。
 BSE発生国からの牛肉については、発生当初、輸入が禁止されていました。現在では30ヵ月齢以下と証明される牛由来であることや、特定部位(異常なプリオンが貯まる部分:頭部(舌・ほほ肉を除く)、脊髄及び回腸遠位部)を除去すること等を条件に輸入が行われています。
 輸入牛肉対策等についての詳細は以下の厚生労働省HP、「牛海綿状脳症(BSE)について」よりご確認いただけます。

Q どのようにしてBSEは広がったの?

 BSEは、牛同士が接触したり空気を介してうつることはなく、BSEにかかった牛から作られた肉骨粉(食肉処理の過程で得られる肉、皮、骨等の残さから製造(「レンダリング」という。)される飼料原料)を含む飼料を与えたことにより感染が広がったと考えられています。
 現在、日本を含むBSE発生国では、牛から作られた肉骨粉を牛の飼料として与えることが禁止され、牛から牛への感染を防ぐ体制がとられています。

Q ヒトや他の動物にはうつらないの?

 ヒトにも以前からクロイツフェルト・ヤコブ病などの海綿状脳症がありましたが、近年、従来のクロイツフェルト・ヤコブ病とは異なる特徴を持つ「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)」が確認され、その原因としてBSEとの関連が指摘されています。
 英国保健省の報告(2005年6月7日)では、イギリスで156人、フランスで13人、アイルランドで2人、イタリア、オランダ、カナダ、米国で各1人ずつvCJDになった人が見つかっていますが、いずれもBSE高発生国であるイギリスに関係の深い人たちで、OIE(国際獣疫事務局)が危険度の高いものとして指定しており、BSEにかかった牛の脳などを食べたことが関係しているのではないかと考えられています。
 日本では、2005年2月に国内で初めてvCJDの患者が確認されました。この患者は1989年頃の英国滞在期間中に異常なプリオンに暴露された可能性が有力とされています。
 また、豚や鶏といった家畜がBSEに感染した事例は報告されていません。羊、ミンク、猫、鹿などには同じような海綿状脳症が知られていますが、これらはBSEとは異なるプリオン病であるとされており、現在までヒトへの感染の報告はありません。

Q 牛肉や乳製品、加工食品などは大丈夫なの?

 BSEは、これまでに行われた研究の結果、脳、眼、脊髄及び回腸遠位部以外の部分からの感染はないとされており、BSEにかかった牛でも食肉や牛乳には感染性がないことが分かっています。
 また、牛を原料とした加工食品の製造者に対しては、原材料に牛の脳、眼、脊髄及び回腸遠位部が使用されていないか点検するとともに製造方法について確認し、加工食品に異常なプリオンが混入することのないよう指導を行っています。
 BSEにかかった牛の肉等が流通することはありませんので、安心してお召し上がりください。

Q BSE検査はどのように行われているの?

 岡山県内には牛を処理している「と畜場」が2ヶ所あり、と畜検査員(獣医師の資格を持った検査員)が一頭ずつ食用に適するかどうか厳正な検査を行っています。
 BSE検査は2001年10月18日に全ての牛を対象としてスタートしました。その後、段階的に見直しが行われ、2017年4月1日より健康牛を対象としたBSE検査は廃止されました。現在は、24か月齢以上の牛のうち、生体検査において、神経症状が疑われるもの及び全身症状を呈する牛について、と畜検査員が疾病鑑別のために検査が必要であると判断した場合にBSE検査が実施されています。

Q 県が行う検査と国が行う検査はどこが違うの?

 エライザ(酵素抗体)法、ウエスタンブロット法、免疫組織化学検査のいずれの方法も高感度で異常なプリオンを検出する方法ですが、県で行う第1段階の検査は、最も見逃しがなく一度に多数の検査が可能であるという理由からエライザ法を採用しました。
 しかし、エライザ法は見逃しがない反面、BSEでない場合でも陽性として検出することもあるため、エライザ法で陽性と判定された場合には、国の検査機関でさらに精度の高いウエスタンブロット法と免疫組織化学検査で本当にBSEであるか確かめるという体制になっています。
検査機関 検査法 検査の原理
岡山県食肉衛生検査所
岡山市食肉衛生検査所
エライザ法 タンパク質分解酵素で正常なプリオンを分解させた後、残存した異常なプリオンを抗体と反応させて発色の度合いを測定する。
国立感染症研究所
北海道大学
ウエスタンブロット法 タンパク質分解酵素で正常なプリオンを分解させた後、含まれるタンパク質を大きさ・構造の違いにより電気的に分け、抗体と反応させてタンパク質の分離状態を確認する。
国立感染症研究所
帯広畜産大学
免疫組織化学検査 脳組織を異常なプリオンに反応する抗体で染色して観察する。