ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織でさがす > 教育委員会 > 文化財課 > 津島ミュージアムだより 第十一回「大型重機の投入 ~弥生前期水田の検出に向けて~」

本文

津島ミュージアムだより 第十一回「大型重機の投入 ~弥生前期水田の検出に向けて~」

印刷ページ表示 ページ番号:0935499 2024年9月11日更新文化財課

第十一回 大型重機の投入 ~弥生前期水田の検出に向けて~

 大型重機の投入 ~弥生前期水田の検出に向けて~

 弥生時代後期から古墳時代後期にかけての集落跡の発掘調査は、遺構密度が高かったため、予定より少し遅れた8月下旬にようやく完了しました。残る調査対象は、約50センチ下層に広がる弥生時代前期の水田となりましたが、従来のような人力による掘り下げでは、水田の検出を期限内に完了することは大変困難な状況でした。そのため、大型重機で間の土層を掘り下げることとしました(もちろん、この土層が無遺構・無遺物層であることを十分確認したうえでの決断でした)。

 しかし、実際には多くの課題がありました。
 ・課題(1):津島遺跡の前期水田は、上に堆積する高さ約2メートルの土砂によって圧縮されているため、粘土質の水田層は厚さ4センチ前後と薄いこと
 ・課題(2):田面より数センチ高くつくられたアゼ(畦畔)がとても脆弱であること

 これらの理由から、重機の自重や掘削圧力を考慮しても、掘り下げ深度は水田よりも10センチ上で止める必要がありました。調査員とオペレーターで意思疎通をはかり、なんとか次の作業のために最良の状態を整えることができました。
 
 ここまでくると、水田の検出は慣れたものです。津島遺跡の前期水田の場合、アゼを含めた水田層はすべて黒色粘土で、この水田を覆うのが灰色土であったことから、この灰色土を徐々に掘り下げていくと途中で灰色のなかに黒色土の頂部が見つかります。これがアゼのてっぺんです。アゼは直線的につくられることが多いことから、これを目安に黒色粘土を探すように覆った灰色土を丁寧に取り除いていけば、おのずとアゼで区切られた水田面が出現するのです。

 こうして、物理的にも期間的にも困難であった前期水田の調査は、調査方法の工夫により、10月下旬には予定どおり完了することができました。

(ミュージアムスタッフS)

 

大型重機による慎重な掘り下げ 大型重機による慎重な掘り下げ

 

無事検出できた前期水田 無事検出できた前期水田