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津島ミュージアムだより 第十回「発掘調査区の環境保全 ~より良い発掘調査のために~」

印刷ページ表示 ページ番号:0930746 2024年8月9日更新文化財課

第十回 発掘調査区の環境保全 ~より良い発掘調査のために~

 発掘調査区の環境保全 ~より良い発掘調査のために~

 安全で効率の良い発掘調査を進めるため、発掘調査の現場ではさまざまな環境保全対策を講じました。今回は、津島遺跡で実際に行われた3つの対策をご紹介します。

(1)排水対策
 津島遺跡は雨水や湧水が溜まりやすい沖積平野上に立地しています。現在陸上競技場が建っている場所の発掘調査区は、降雨時には周辺から流入する水の量が非常に多かったため、時には排水が間に合わず、冠水して調査区全体が広大なプールのようになることもありました。また、調査中の川底からは常に地下水が湧き出しており、これも24時間体制で排水する必要がありました。発掘された遺構は一度水に浸かってしまうと浸食され、遺構自体が溶けてなくなる恐れもありました。こうした浸水被害を防ぐために、調査区の四方に排水溝を整備したほか、陸上競技場グラウンド側には直径30センチにもなる太い排水管を通して排水を行いました。

(2)防乾対策
 遺構を検出する際には、検出面の乾燥は禁物です。なぜなら、検出面が乾燥すれば表面は白く硬化し、掘り下げ直後であれば判別できる土色や土質の違いが分からなくなってしまうからです。これを防ぐためにも、検出面は常に湿度を保つ必要がありました。そのために行っていたのが養生シートによる厳重な被覆です。特に夏季の調査は、必要最低限の場所のみシートを開けて実施していました。

(3)凍結防止
 厳寒期の調査では地面が凍結し、霜柱が立つこともよくありました。凍った地面が気温の上昇で溶けると、表面の数センチ分はベタベタの泥土となってしまうため、遺構の検出は困難を極めます。そこで、毎日の調査終了時に養生シート複数枚を使って遺構を覆い、夜間の凍結を防ぎました。

(ミュージアムスタッフ S)

 

冠水した陸上競技場調査区 冠水した陸上競技場調査区

 

効率よく順調に進む遺構検出 効率よく順調に進む遺構検出