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第135回 森林研究所の散歩道(ノコンギク、ミツバアケビ編)
第135回 森林研究所の散歩道(ノコンギク、ミツバアケビ編)
第135回の今回は、ノコンギクとミツバアケビについて紹介します。
ノコンギクはキク科シオン属の多年草です。本州、四国、九州に分布し、山内の草原に多いです。
地下茎が横に這うことで繁殖します。茎は直立し、よく分枝します。葉は両面に毛がありざらざらしています。8~11月に青紫色の頭花を茎の先に付けます。
非常に変異性が高く、多くの変種や品種が存在します。
ヨメナに非常によく似ていますが、葉の毛と種子に冠毛がある点で見分けることができます。
和名は漢字で野紺菊と書き、そのまま野に生える紺色のキクという意味です。
若芽や花などは食用になります。
(出典)林(1983)日本の野草.山と渓谷社.p47.
佐竹(1981)日本の野生植物.平凡社.p196.
長田(1981)原色野草観察検索図鑑.保育社.p141.
牧野(1982)原色牧野植物大圖鑑.北隆館.p556.
写真1 ノコンギク 写真2 ノコンギクの花
(写真1、2は2023年10月6日に撮影)
ミツバアケビはアケビ科アケビ属の落葉つる性木本です。北海道から九州の温帯に分布しています。林縁や明るい林内で普通に見られます。
高さは最大で15mほどに成長します。つるを巻く向きは決まっており、必ず右巻きで巻き付いていきます。
アケビより寒い地域でも成長することができ、稀に葉は越冬することがあるようです。写真4のように本種は3出複葉であり、掌状複葉であるアケビとは異なります。また本種は波状の鋸歯があることも違いになります。
写真3のように10月に紫色に熟す果実には特に違いが無く、中の果肉は白く甘いです。他にも新芽や若葉、果皮までもが食用となります。
和名の「ミツバ」の部分は3出複葉であることから、「アケビ」の部分は楕円形の果実が縦に割れることから「開け実(アケビ)」とそれぞれ命名されたようです。
本種とアケビの木質化し硬くなった太いつるを木通と呼び、利尿薬などに利用されています。
(出典)太田ら(2000)樹に咲く花 離弁花(2).山と渓谷社.p152.
千葉(1985)岡山の樹木.山陽新聞社.p199.
林(2020)樹木の葉 実物スキャンで見分ける1300種.山と渓谷社.p143.
奥田(1982)岡山の薬草.山陽新聞社.p38.
写真3 ミツバアケビの実 写真4 ミツバアケビの葉
(写真3、4は2023年10月6日に撮影)
所内の散策をされる際にはこれらの植物も一緒に探してみてはいかがですか。
また、植物の位置がわからない場合はお気軽にお尋ねください。