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第133回 森林研究所の散歩道(ハマヒサカキ、ヒカゲノカズラ編)

印刷ページ表示 ページ番号:0882619 2023年11月10日更新森林研究所

 

第133回 森林研究所の散歩道(ハマヒサカキ、ヒカゲノカズラ編)

 

 第133回の今回は、ハマヒサカキとヒカゲノカズラについて紹介します。

 

 ハマヒサカキはサカキ科ヒサカキ属の常緑低木です。日本や朝鮮南部、中国に分布します。日本では愛知県から沖縄県にかけての暖温帯と亜熱帯の海岸林でやや稀に見ることができます。

 写真1のように生垣や街路樹、庭木としても植えられています。自生する場合は群生することが多いです。その場合は最大で6mと大きく、海風に当たるからか風衝樹形になるようです。

 基部から芽を出して叢生し、葉は硬く、反っているため立体感があります。また、葉は枝に沿うように並ぶため独特の見た目になります。

 11~12月の真冬に直径5mmほどの鐘状の小さな花を下向きに付けます。花は独特の強いガス臭がするようです。その後すぐにブルーベリーのような黒紫色の小さい液果を付けます。

(出典)太田ら(2000)樹に咲く花 離弁花2.山と渓谷社.p190.​

    千葉(1992)岡山の樹木.山陽新聞社.p164.

    林(2020)樹木の葉 実物スキャンで見分ける1300種類.山と渓谷社.p571.

    北村ら(2002)原色日本植物図鑑 木本編2.保育社.p144.

    森林総合研究所 関西支所.ハマヒサカキ.https://www.ffpri.affrc.go.jp/fsm/business/jumokuen/06_ha/hamahisakaki.html (2023年10月17日閲覧)​

 ハマヒサカキ ハマヒサカキのつぼみ

         写真1 ハマヒサカキ           写真2 ハマヒサカキの花

(写真1、2は2023年9月27日に撮影)

 

 ヒカゲノカズラはヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ属の常緑多年草です。日本や中国、マレーシア、インド、ポリネシア、北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカと世界に広く分布しています。国内では北海道から九州の比較的明るい山麓に自生します。

 茎は緑色をしており、地上を這うように2mまで伸び、よく分枝します。写真4のように葉は輪生、またはらせん状に密生します。子のう穂は黄色く長細い棒状で、細い茎の上に直立します。

 和名の漢字で日陰の蔓と書き、陰地に生えるとありますが、写真3のように、明るい場所に自生するためどうしてこの名が付けられたのかは分かりません。

 初めに本種は多年草と書きましたが、実際は小葉類に分類されるシダ植物になります。種子植物が誕生する前から存在していた非常に古い存在で、根を持っておらず、地下に特化した茎を用いて生活をしています。

 ヒカゲノカズラの胞子は石松子(せきしょうし)と呼ばれ、昔は薬に用いられてきたようです。現在では人工授粉に使用する花粉の増量剤としての用途があるようで、インターネット上で購入することができます。また、京都にある伏見稲荷大社では1月5日に行われる大山祭において、長い輪に仕立てたヒカゲノカズラを首からかけて神蹟を参拝するようです。

(出典)牧野(1982)原色牧野植物大圖鑑.北隆館.p814.

    大井(1965)改訂新版 日本植物誌 シダ編.p10.

    伏見稲荷大社.祭礼と行事 大山祭.https://inari.jp/rite/?month=1月#156 (2023年10月19日閲覧)​

    大阪市立大学.ヒカゲノカズラは4.2億年前の体制を保った世界最古の”生きた化石植物”だった.https://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&cad=rja&uact=8&ved=2ahUKEwi00LOgnoGCAxUiZvUHHVOuAA0QFnoECBEQAQ&url=https%3A%2F%2Fwww.osaka-cu.ac.jp%2Fja%2Fabout%2Fpr%2Fpress%2F2020%2F200828&usg=AOvVaw3zqqDXDI-Q2PvjA8ZALPeX&opi=89978449 (2023年10月19日閲覧)

 ヒカゲノカズラ ヒカゲノカズラ(拡大)

     写真3 ヒカゲノカズラ       写真4 ヒカゲノカズラ(拡大)

(写真3、4は2023年9月27日に撮影)

 

 所内の散策をされる際にはこれらの植物も一緒に探してみてはいかがですか。

 また、植物の位置がわからない場合はお気軽にお尋ねください。