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第138回 森林研究所の散歩道(カキノキ、コシダ編)
第138回 森林研究所の散歩道(カキノキ、コシダ編)
第138回の今回は、カキノキとコシダについて紹介します。
カキノキはカキノキ科カキノキ属の落葉高木です。中国原産とされており、本州から九州の暖温帯に分布します。低地から丘陵の林内及び林縁に自生します。
高さは10mほどになり、若枝には少し縮れた短毛が生えます。葉は広い卵形で光沢が強いため見分けやすいです。
秋に黄赤色に熟す果実は食用にしたり、柿渋を取り出したりして利用され、用途の違いから多数の園芸品種が存在しています。
鏡野町大町にある「大町の西条柿」は県下最大のカキノキで、推定樹齢は400年、樹高14m、目通り(目の高さ)周囲は3.4mにもなります。町指定の天然記念物になっています。
(出典)城川(2001)樹に咲く花 合弁花・単子葉・裸子植物.山と渓谷社.p184.
長岡(1997)野の花・街の花.講談社.p241.
林(2020)樹木の葉 実物スキャンで見分ける1300種類.山と渓谷社.p572.
貴島ら(1962)原色木材大図鑑.保育社.p117.
北村ら(2002)原色日本植物図鑑 木本編2.保育社.p105-106.
津山地方振興局(1991)津山の名木百選.津山地方振興局.p35.
写真1 カキノキ 写真2 カキノキの実
(写真1、2は2023年8月28日に撮影)
コシダはウラジロ科コシダ属のシダ植物です。世界中の熱帯及び亜熱帯に広く分布します。日本では、本州(関東地方以西)や四国、九州の日当たりのよい乾燥する林内に群生します。
地表近くを這う根茎や芽に褐色で関節のある毛があります。葉は常緑で、数年経っても枯死せず、1m以上になることもあります。
写真3のように、葉が数回叉状に分枝することで伸ばしていきます。昔はその葉柄で籠を作っていたそうです。
和名を漢字で書くと「小羊歯」と書き、小さいシダという意味になります。
(出典)牧野(1982)原色牧野植物大圖鑑.北隆館.p821.
大井(1965)改訂新版 日本植物誌 シダ編.至文堂.p23.
写真3 コシダ
(写真3は2023年8月28日に撮影)
所内の散策をされる際にはこれらの植物も一緒に探してみてはいかがですか。
また、植物の位置がわからない場合はお気軽にお尋ねください。