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第136回 森林研究所の散歩道(ムラサキカタバミ、カクレミノ編)
第136回 森林研究所の散歩道(ムラサキカタバミ、カクレミノ編)
第136回の今回は、ムラサキカタバミとカクレミノについて紹介します。
ムラサキカタバミはカタバミ科カタバミ属の多年草です。南アメリカ原産で、関東地方以西に広く野生化しています。道ばたで見ることができます。
葉はすべて根元からでる根生葉で、3つの小葉からなります。葉のふちには毛がまばらに生えます。
6~9月には、淡紅色の花を咲かせます。花には濃い色のすじがあり、つぼみの際には花弁はねじれて重なります。
株元に多数のりん茎を生じさせ、それが散らばることで繁殖します。本種の繁殖は無性的に行われ、果実も種子もできません。
一度侵入すると駆除が困難な強害草とあり、注意が必要です。
(出典)片桐(1997)山野草.西東社.p76.
林(1983)日本の野草.山と渓谷社.p368.
長田(1976)原色日本帰化植物図鑑.保育社.p205.
長田(1981)原色野草観察検索図鑑.保育社.p279.
写真1 ムラサキカタバミ
(写真1は2023年7月24日に撮影)
カクレミノはウコギ科カクレミノ属の常緑低木です。関東から沖縄の暖温帯、亜熱帯に分布しています。沿海地の照葉樹林内に自生します。岡山県では南側で見ることができます。
ほうきを逆さまにしたような樹形で、高さは3~8mになります。葉の形に変異が多いことが特徴で、不分裂葉~3裂葉があります。成木や枝先の葉には不分裂葉が多いですが、幼木では3深裂する葉や5裂する葉もあり、成木には無い鋸歯が出る葉もあります。当研究所内のカクレミノは大きくなっていますが、写真2、3の中にも分裂葉が点在しているので探してみてください。
雌雄同株で、7~8月には枝先に球形の集散花序を出し、淡黄緑色の小さな花を多くつけます。
和名の由来は、葉の形を隠蓑(かくれみの)という着ることで姿を隠せる蓑に見立てたことによります。
(出典)太田(2000)樹に咲く花.山と渓谷社.p690.
千葉(1989)岡山の樹木.山陽新聞社.p96.
林(2020)樹木の葉 実物スキャンで見分ける1300種類.山と渓谷社.p774.
岡山県農林部林政課(1986)岡山県樹木目録.p46.
写真2 カクレミノ 写真3 カクレミノの花
(写真2,3は2023年7月24日に撮影)
所内の散策をされる際にはこれらの植物も一緒に探してみてはいかがですか。
また、植物の位置がわからない場合はお気軽にお尋ねください。