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第129回 森林研究所の散歩道(ヒメクグ、カヤツリグサ編)
第129回 森林研究所の散歩道(ヒメクグ、カヤツリグサ編)
第129回の今回は、ヒメクグとカヤツリグサについて紹介します。
ヒメクグはカヤツリグサ科カヤツリグサ属の多年草です。北海道から九州にかけて分布し、水田や池の縁などの湿地に普通に生えています。
赤褐色の鱗片に覆われた地下茎が横に伸び、節ごとに1本の茎を立てます。高さは10~20cm程度と小さいため、「姫クグ」(クグはカヤツリグサ類の古い名前)の名前が付けられました。
写真2のように、特徴的な球形の花序をつけます。多数の小穂が集まって形成しています。
全体的に香気があるようです。特に葉を揉むとより香りを感じやすいそうです。
(出典)林(1983)日本の野草.山と渓谷社.p656.
長田(1981)原色野草観察検索図鑑.保育社.p437.
牧野(1982)原色牧野植物大圖鑑.北隆館.p674.
雑草管理教育研究センター.雑草管理に関するQ&A.http://cwwm.mine.utsunomiya-u.ac.jp/question/weeds_qa
写真1 ヒメクグ 写真2 ヒメクグの花
(写真1、2は2023年7月19日に撮影)
カヤツリグサはカヤツリグサ科カヤツリグサ属の1年草です。本州から九州に分布し、田畑のあぜや道ばたなどで普通に見ることができます。
この属には特有の三角形で節の無い茎を持っています。高さは40cmほどになります。
茎頂から5~10本の枝を出して、多くの黄褐色の小穂をつけます。小穂は10~20個の小さな花からなり、それぞれの枝に3群になるように分かれてつきます。そのため、花序は掌状につく3つの分花序からなっています。
和名の由来は、三角形の茎を両端から半分に裂いて、蚊帳を吊ったような四角形を作る遊びによります。別名であるマスクサも同じ由来で名付けられました。
本種もヒメクグと同じように香気があるそうです。
(出典)片桐(1985)山野草.西東社.p351.
林(1983)日本の野草.山と渓谷社.p656.
長田(1981)原色野草観察検索図鑑.保育社.p430.
牧野(1982)原色牧野植物大圖鑑.北隆館.p669.
写真3 カヤツリグサ 写真4 カヤツリグサの花
(写真3、4は2023年7月19日に撮影)
所内の散策をされる際にはこれらの植物も一緒に探してみてはいかがですか。
また、植物の位置がわからない場合はお気軽にお尋ねください。