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第127回 森林研究所の散歩道(カヤ、ゲンノショウコ編)
第127回 森林研究所の散歩道(カヤ、ゲンノショウコ編)
第127回の今回は、カヤとゲンノショウコについて紹介します。
カヤはイチイ科カヤ属の常緑高木です。東北南部~九州の温帯に分布し、丘陵や山地の林内に自生します。基本的には散生しますが、多雪地では群生することもあるようです。
成長は非常に遅いですが、高さ25m、直径2mにまでなります。成長が遅い代わりに寿命は長いそうです。
葉をちぎるとグレープフルーツのような香りがします。仮種皮に包まれたアーモンド形の種子は夏頃から急激に成長します。種子は食用や薬用として用いられ、食用油も採れるようです。
材は碁盤や将棋盤として非常に優秀で、特に宮崎県の日向や奈良県の春日山産が名高いそうです。
(出典)林(2020)樹木の葉 実物スキャンで見分ける1300種類.山と渓谷社.p89.
城川(2001)樹に咲く花.山と渓谷社.p660.
千葉(1984)岡山の樹木.山陽新聞社.p239.
北村ら(2002)原色日本植物図鑑 木本編(2).保育社.p452-453.
貴島ら(1962)原色木材大図鑑.保育社.p2
写真1 カヤ 写真2 カヤの実
(写真1、2は2023年7月18日に撮影)
ゲンノショウコはフウロソウ科フウロソウ属の多年草です。北海道~九州に分布し、山野に自生します。
葉は3~5つの深裂を起こして、紅紫色の花をつけます。
古来から胃腸の民間薬として用いられており、その薬効には「現の証拠」があるとされ、そのまま和名に用いられています。
他には、果実の裂開した形状が神輿の屋根に似ているため、ミコシグサの別名も持っています。
かつては都市近郊にも生息していましたが、近年は北アメリカ原産のアメリカフウロが本種を追いやるように広がっています。
(出典)長田(1981)原色野草観察検索図鑑.保育社.p280.
林(1983)日本の野草.山と渓谷社.p371.
片桐(1997)山野草.西東社.p333.
写真3 ゲンノショウコ 写真4 ゲンノショウコの花
(写真3、4は2023年7月19日に撮影)
所内の散策をされる際にはこれらの植物も一緒に探してみてはいかがですか。
また、植物の位置がわからない場合はお気軽にお尋ねください。