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第126回 森林研究所の散歩道(ザクロソウ、キツネノマゴ編)
第126回 森林研究所の散歩道(ザクロソウ、キツネノマゴ編)
第126回の今回は、ザクロソウとキツネノマゴについて紹介します。
ザクロソウはザクロソウ科ザクロソウ属の1年草です。熱帯アメリカ原産で、現在では全国に広まっています。畑地などに自生します。
茎は細く角張っており、多くの枝を分けて広がります。葉は節ごとに4~7枚輪生し、葉腋に白緑色で非常に小さな花を数個ずつつけます。
花は午前9時頃に開き、午後1時過ぎには閉じてしまうそうです。また花には蜜がたまりますが、昆虫は来ないそうです。しかし、花が閉じる際に雄しべが曲がることで自家受粉を行えるため、97%の高い結実率があるようです。
和名の「柘榴草」は葉の形がザクロに似ていることに由来しています。
(出典)佐竹(1981)日本の野生植物.平凡社.p29.
長田(1981)原色野草観察検索図鑑.保育社.p359.
長田(1976)原色日本帰化植物図鑑.保育社.p320.
写真1 ザクロソウ
(写真1は2023年7月11日に撮影)
キツネノマゴはキツネノマゴ科キツネノマゴ属の1年草です。東アジアの温帯から熱帯に広く分布しています。日本では本州や四国、九州の野原や道ばたでごく普通に見ることができます。
根元が地に倒れており、そこから多くの枝を出して広がります。高さは10~40cm程度で、全体的に短毛が生えています。
写真3のように枝先に穂状の花序をつけ、淡紅紫色の花を付けます。
果実が熟しかけたものを机の上などに置いておくと、次々と果実が炸裂し、種子を飛ばす様子が確認できるそうです。種子は1m以上も跳ぶようです。
和名は小さい花序を孫ギツネの尾に見立てたものかと考えられています。
(出典)長田(1981)原色野草観察検索図鑑.保育社.p179.
林(1983)日本の野草.山と渓谷社.p161.
片桐(1997)山野草.西東社.p309.
大井(1975)改訂増補新版 日本植物誌 顕花編.至文堂.p1230.
牧野(1982)原色牧野植物大圖鑑.北隆館.p512.
写真2 キツネノマゴ 写真3 キツネノマゴの花
(写真2、3は2023年7月11日に撮影)
所内の散策をされる際にはこれらの植物も一緒に探してみてはいかがですか。
また、植物の位置がわからない場合はお気軽にお尋ねください。