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第124回 森林研究所の散歩道(キキョウソウ、イヌホオズキ編)
第124回 森林研究所の散歩道(キキョウソウ、イヌホオズキ編)
第124回の今回は、キキョウソウとイヌホオズキについて紹介します。
キキョウソウはキキョウ科キキョウソウ属の1年草です。北アメリカ原産で、特に関西以西に広まっています。道ばたや荒れ地、河川敷などで群落を作るように自生します。
茎の高さは30~80cmで、葉は円形で茎を包むように段々につきます。そのため、ダンダンギキョウの別名を持ちます。
5月から7月が花期ですが、まずはじめに閉鎖花と呼ばれるつぼみのまま自家受粉する花をつけ、その後に鮮やかな青紫色の花をつけます。
群生する姿はとても美しく、英名のclasping Venus’ looking-glassは、claspingが茎を抱える様を表し、Venus’ looking-glassの部分がローマ神話での美と恋の女神ビーナスの鏡という意味します。その美しさがどれほどのものか伝わってきます。
(出典)岩槻(2014)雑草や野草がよーくわかる本.秀和システム.p261.
長田(1976)原色日本帰化植物図鑑.保育社.p88.
写真1 キキョウソウ 写真2 キキョウソウの花
(写真1、2は2023年5月30日に撮影)
イヌホオズキはナス科ナス属の1年草です。温帯から熱帯に広く分布し、畑や道ばたに自生します。古い時代に畑の雑草として渡来したと考えられます。
小ぶりな花を最大で10個ほどつけます。花が枯れると柄は下を向き、そこから1cm程度の黒い液果をつけます。水分を多く含んでおり、多くの種子が入っています。
雄しべの先端にある葯の先に穴が開いており、そこから花粉を出しています。この葯は孔開葯と呼ばれ、樹木ではツツジ科の多くがこの葯を持ちますが、草本類では珍しいです。
和名の由来はホオズキに似ているが、別物であることからきています。有毒植物ですが、解熱や利尿剤として利用されることもあるそうです。
(出典)林(1983)日本の野草.山と渓谷社.p197.
長岡(1997)野の花・街の花.講談社.p143.
長田(1981)原色野草観察検索図鑑.保育社.p197.
牧野(1982)原色牧野植物大圖鑑.北隆館.p485.
写真3 イヌホオズキ 写真4 イヌホオズキの花
(写真3、4は2023年5月30日に撮影)
所内の散策をされる際にはこれらの植物も一緒に探してみてはいかがですか。
また、植物の位置がわからない場合はお気軽にお尋ねください。