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第123回 森林研究所の散歩道(コウゾリナ、ブタナ編)
第123回 森林研究所の散歩道(コウゾリナ、ブタナ編)
第123回の今回は、コウゾリナとブタナについて紹介します。
コウゾリナはキク科コウゾリナ属の越年草です。北海道~九州に分布し、山野に自生します。
全体的に淡い褐色または赤褐色で、25~100cmになります。これは全体に赤褐色をした剛毛が生えているからです。剛毛が生えているため、とでもざらつきます。
花茎はすこし枝分かれをし、上部に舌状花からなる黄色い頭花を付けます。
コウゾリナには多数の亜種や変種、品種があり、中部地方以北の寒地で見られるカンチコウゾリナや南アルプス一帯に自生するアカイシコウゾリナなどが存在します。
これら多数の亜種などが存在するコウゾリナですが、その特徴である先の割れた剛毛は種によってすべて異なっているそうです。
(出典)佐竹(1983)日本の野生植物.平凡社.p226.
林(1983)日本の野草.山と渓谷社.p105.
長田(1981)原色野草観察検索図鑑.保育社.p101.
写真1 コウゾリナ 写真2 コウゾリナの花
(写真1、2は2023年5月10日に撮影)
ブタナはキク科エゾコウゾリナ属の多年草です。ヨーロッパ原産ですが、日本を含めた北半球の温帯に広く帰化しています。牧場や荒れ地に自生します。
葉はすべてロゼット状の根生葉で、タンポポに非常に似ています。上部で分枝する花茎の先に1つずつ黄色い頭花をつけます。
日本には飼料の輸入に付随して渡来したと考えられています。和名ブタナはフランス語の俗名を直訳したものだそうです。
ブタナ、コウゾリナともに食べることができますが、好んで食べられているわけでは無いようです。
(出典)林(1983)日本の野草.山と渓谷社.p106.
片桐(1997)山野草.西東社.p177.
佐竹ら(1981)日本の野生植物 草本 3 合弁花類.平凡社.p226.
写真3 ブタナ 写真4 ブタナの花
(写真3、4は2023年5月10日に撮影)
所内の散策をされる際にはこれらの植物も一緒に探してみてはいかがですか。
また、植物の位置がわからない場合はお気軽にお尋ねください。