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第122回 森林研究所の散歩道(ハキダメギク、イヌトウバナ編)
第122回 森林研究所の散歩道(ハキダメギク、イヌトウバナ編)
第122回の今回は、ハキダメギクとイヌトウバナについて紹介します。
ハキダメギクはキク科コゴメギク属の1年草です。熱帯アメリカ原産で、第2次世界大戦後に急速に生息範囲を広げていきました。和名のごとく窒素の多いゴミ捨て場や畑のわき、道ばたに生えます。
根本付近を除くと主茎が無く、繰り返し2股に分かれていくことが特徴です。この分枝方法は叉状分枝と呼ばれ、ハコベなどの分枝方法と同じです。
こうした分枝方法で60cmまで成長することができます。しかし、主軸が無いためか、全体的に軟らかく倒れやすいです。
写真1、2のように頂点部につく頭花は5mmほどで、5個の白い舌状花は可愛らしいです。
(出典)片桐(1997)山野草.西東社.p169.
牧野(1982)原色牧野植物大圖鑑.北隆館.p570.
林(1983)日本の野草.山と渓谷社.p84.
長田(1981)原色野草観察検索図鑑.p126.
写真1 ハキダメギク 写真2 ハキダメギクの花
(写真1、2は2023年6月20日に撮影)
イヌトウバナはシソ科トウバナ属の多年草です。北海道~九州に分布し、山地の木陰に自生します。
葉の形は卵形で長さが2~5cmに、高さが20~50cmになります。
写真4のように、枝先の花穂に白色でやや淡紫色がかった唇形花をつけます。
トウバナとの違いは葉の形がやや長く、葉の裏に腺点があることです。
イヌという言葉は劣っているという意味で名前に付けられることが多いですが、この植物も何か悪い部分があるのでしょうか。
(出典)林(1983)日本の野草.山と渓谷社.p225.
長田(1981)原色野草観察検索図鑑.p208.
写真3 イヌトウバナ 写真4 イヌトウバナの花
(写真3、4は2023年6月20日に撮影)
所内の散策をされる際にはこれらの植物も一緒に探してみてはいかがですか。
また、植物の位置がわからない場合はお気軽にお尋ねください。