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第119回 森林研究所の散歩道(オトギリソウ、アイナエ編)
第119回 森林研究所の散歩道(オトギリソウ、アイナエ編)
第119回の今回は、オトギリソウとアイナエについて紹介します。
オトギリソウはオトギリソウ科オトギリソウ属の多年草で、野山で普通に見ることができます。
写真1のようにほとんど枝を付けず直立し、高さ60cmにまで成長することもあります。どの葉も対生し、腺点を持ちます。腺点は組織との隙間の部分で、分泌物がたまります。その分泌物が薬効成分を持っています。
漢字では「弟切草」と書きます。ある兄が秘薬を持っていました。弟がその秘密を人に漏らしてしまったところ、兄が怒って切りつけたという平安時代の伝説が由来となっています。
煎じ液やチンキ剤としてなど、多数の用途があり、鎮痛等の効果を持っています。また、鳥類の外傷によく効くそうです。
(出典)林(1983)日本の野草.山と渓谷社.p357.
片桐(1997)山野草.西東社.p224.
長田(1981)原色野草観察検索図鑑.保育社.p259.
奥田(1982)岡山の薬草.山陽新聞社.p82ー83.
写真1 オトギリソウ 写真2 オトギリソウの花
(写真1、2は2023年7月13日に撮影)
アイナエはマチン科アイナエ属の一年草です。アジア南部と東部、ミクロネシア、オーストラリア、ニューカレドニアなどの暖帯~熱帯に分布します。日本には本州以南に自生します。
日当たりの良い低湿地に生え、非常に小さいです。花をつける花茎を除くと、高さは1cmにしかなりません。写真3のように花茎は少し大きく、10cm程度あります。この小さいという特徴は種小名(アイナエの学名、Mitrasacme pygmaea の後半部分)にも現れており、pygmaea は丈の小さいという意味だそうです。
花茎には1~3段となって花を散らばるようにつけます。
また多数の都道府県では、生息地である湿地の開発などによる絶滅が危惧されています。
(出典)佐竹(1981)日本の野生植物.平凡社.p27.
牧野(1982)原色牧野植物大圖鑑.北隆館.p437.
京都府レッドデータブック アイナエ https://www.pref.kyoto.jp/kankyo/rdb/bio/db/flo0114.html
写真3 アイナエ
(写真3は2023年7月11日に撮影)
所内の散策をされる際にはこれらの植物も一緒に探してみてはいかがですか。
また、植物の位置がわからない場合はお気軽にお尋ねください。