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第118回 森林研究所の散歩道(ネジバナ、ヤブミョウガ編)
第118回 森林研究所の散歩道(ネジバナ、ヤブミョウガ編)
第118回の今回は、ネジバナとヤブミョウガについて紹介します。
ネジバナはラン科ネジバナ属の多年草です。野原や芝生の中に自生しています。他のラン科植物とは異なり、この種のみ人家近くで見ることができます。
根は一般的なラン科植物と同じく太いです。これは菌と共生するために太くなっています。
小さな花がらせん状につくため、ネジバナと呼ばれています。花は淡紅色ですが、縁に細かな歯牙のある唇弁は色が淡く、ほとんど白色です。
分布が非常に広いことも特徴で、日本から東アジア、シベリア、インド、マレーシア、オーストラリアにまで及びます。
今年の3月に神戸大学、東北大学、ふじのくに地球環境史ミュージアムの研究グループが、九州以北のネジバナの中に「ハチジョウネジバナ」と命名された新種が含まれていることを発表しました。この新種は庭などから勝手に生えることもあるそうです。身近なネジバナの中にも新種が含まれているかもしれません。
(出典)林(1983)日本の野草.山と渓谷社.p572.
片桐(1997)山野草.西東社.p136.
長田(1981)原色野草観察検索図鑑.保育社.p401.
三重県総合博物館 ネジバナ https://www.bunka.pref.mie.lg.jp/MieMu/82871046558.htm
東北大学(2023) 庭やベランダから新種!? 最も身近にみられるラン科植物「ネジバナ」の新種を発見 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2023/03/press20230320-01-garden.html
写真1 ネジバナ 写真2 ネジバナの花
(写真1、2は2023年7月24日に撮影)
ヤブミョウガはツユクサ科ヤブミョウガ属の多年草です。関東地方以西の林の中に自生します。
大型であり、高さ50~100cmになります。葉はショウガ科のミョウガに似ており、名前の由来になったと考えられます。茎や葉は毛が多く、触るとざらつきます。
ミョウガとは、葉はざらつかず、揉むと特有の香りがする点が異なるため、間違えることはないそうです。
茎頂に円錐状集散花序を出し、小さな花がたくさんつきます。単性花であり、雌花と雄花が混じってついています。
(出典)林(1983)日本の野草.山と渓谷社.p646.
片桐(1997)山野草.西東社.p250.
長田(1981)現色野草観察検索図鑑.保育社.p401.
写真3 ヤブミョウガ
(写真3は2023年7月3日に撮影)
所内の散策をされる際にはこれらの植物も一緒に探してみてはいかがですか。
また、植物の位置がわからない場合はお気軽にお尋ねください。