本文
第117回 森林研究所の散歩道(キカラスウリ、アオギリ編)
第117回 森林研究所の散歩道(キカラスウリ、アオギリ編)
第117回の今回は、キカラスウリとアオギリについて紹介します。
キカラスウリはウリ科カラスウリ属の多年生のつる草です。日本全国の山野に自生しています。
近縁のカラスウリとは葉に毛がほとんど無い、光沢があるといった点で区別することができます。
写真1、2にある独特な形状の花は夜に咲くそうです。特にキカラスウリの花は夜が明けても咲いています。
黄色い果実は10cmと大きく、種子はカキの種のような形をしています。
太い芋状の根から採取されたデンプンは薬用の天花粉(てんかふん)になります。昔はベビーパウダーと同じ用途で使われていたそうです。
(出典)林(1983)日本の野草.山と渓谷社.p140.
片桐(1997)山野草.西東社.p208.
長田(1981)原色野草観察検索図鑑.保育社.p157.
徳島県立博物館(2000)カラスウリとキカラスウリ https://museum.bunmori.tokushima.jp/ogawa/hana/karasuuri/default.htm
写真1 キカラスウリ 写真2 キカラスウリの花
(写真1、2は2023年6月28日に撮影)
アオギリはアオイ科アオギリ属の落葉高木です。紀伊半島や四国南部などの暖温帯、亜熱帯に自生し、高さ15mほどになります。
葉は大きく、深い裂が入っています。同じアオギリでも、日本産には葉裏が無毛で中国産は有毛という違いがあります。
公園樹や街路樹として植栽されているものは中国産が多いといわれているそうです。
若木の幹が緑色であることが特徴ですが、老木になるとよくある灰褐色へ変化します。
写真4の未熟な実が成熟すると、非常に特徴的な舟形になります。
従来はアオギリ科に分類されていましたが、現在主流であるAPG体系ではアオイ科へと変更されています。
(出典)太田(2000)樹に咲く花.山と渓谷社.p554.
馬場(2009)花実でわかる樹木.信濃毎日新聞社.p310.
林(2020)樹木の葉 実物スキャンで見分ける1300種類.山と渓谷社.p529.
写真3 アオギリ 写真4 アオギリの実
(写真3、4は2023年6月28日に撮影)
所内の散策をされる際にはこれらの植物も一緒に探してみてはいかがですか。
また、植物の位置がわからない場合はお気軽にお尋ねください。