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第102回 森林研究所の散歩道(タケニグサ、シナノキ編)
第102回 森林研究所の散歩道(タケニグサ、シナノキ編)
第102回の今回は、タケニグサとシナノキについて紹介します。
タケニグサはケシ科タケニグサ属の多年草で、山野の荒れ地に多いです。有毒です。
名前の由来は本種と一緒に煮ると竹が柔らかくなるから(竹煮草)、または茎が竹に似て中空だから(竹似草)と言われています。
伐採地や崩壊地に素早く入り込むため、日本では雑草として嫌われていますが、欧米では観賞用として庭などで栽培されているそうです。
(出典)林(1983)日本の野草.山と渓谷社.p458.
片桐(1997)山野草.西東社.p221.
写真1 タケニグサ 写真2 タケニグサの花
(写真1、2は2023年6月9日に撮影)
シナノキはアオイ科シナノキ属の落葉高木です。北海道から九州の冷温帯に自生しており、高さ8~10mになります。
昔、アイヌの人々は魚を束ねることによく使用していました。丈夫で柔らかく、しなしなとしたシナノキの内皮は縄や糸となり、広く利用されていました。
シナノキの名前は、皮がしなしなするところから来ています。結ぶ・縛るといった意味があるようです。
(出典)太田(2000)樹に咲く花.山と渓谷社.p534.
福岡(1995)アイヌ植物誌.草風館.p105.
林(2020)樹木の葉 実物スキャンで見分ける1300種類.山と渓谷社.p520.
写真3 シナノキ 写真4 シナノキの蕾
(写真3、4は2023年6月9日に撮影)
所内の散策をされる際にはこれらの植物も一緒に探してみてはいかがですか。
また、植物の位置がわからない場合はお気軽にお尋ねください。