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Q2 木はどうやって増やしているの?

印刷ページ表示 ページ番号:0796391 2022年8月22日更新森林研究所

Q2 木はどうやって増やしているの?

 近年、花粉症などで問題となっているスギ、ヒノキなどで構成される人工林は、文字どおり過去に人が植栽した苗木が成長してできたものです。現在、日本の森林の約4割が人工林となっており、非常に大きな面積に途方もない数の苗木を植えたことになります。大量に木を増やす方法はあるのでしょうか?

 

 木を増やす方法は3種類あります。

 1つ目は種子によって植物を増やす方法です。植物が付ける種子を採取して、それを発芽させ成長させていきます。種子は植物の一生で最も小さく、また環境への耐性にも優れているため、輸送や貯蔵に向いています。そのため、この方法は最も一般的な増殖方法です。また、後述する2つの方法に比べて親が2個体あるため遺伝子が異なっています。現在、岡山県では主に種子から少花粉のスギやヒノキの苗木を生産しています。

 2つ目は挿し木と呼ばれる方法です。植物の一部である枝などを切り取り、土中に挿すことで発根、発芽させて新たな独立した個体にするものです。このような増殖方法は栄養生殖と呼ばれており、元の個体と新たに独立した個体は遺伝的に同じであり、新たな個体をクローンと呼びます。こうした個体は形質も親と同じなので、改良を行うことはできませんが、優れた個体が一つあれば、それを量産することができます。樹種によって挿し木の向き不向きが大きく分かれますが、スギは挿し木を行いやすい樹種であったため、挿し木が主流となり、年間10億本以上もの苗木が生産されていました。

 3つ目は接ぎ木と呼ばれる方法です。根の部分を担う台木に、成長させたい個体の枝や芽を含む接ぎ穂をつなぎ合わせるもので、先ほどの挿し木と同じく栄養生殖の一つです。接ぎ穂の形質のみが受け継がれます。接ぎ木を行う利点はすでに根が成長している台木を利用しているため、種子から育てた実生や挿し木に比べて成長が早い点です。そのため、着花し、結実するのも早くなるので、クリなどの果樹などで利用されています。

 以上の3つの方法で木を増やしています。身近にある木がどの方法によって増やされてきたのかを考えてみてはいかがでしょうか。

(出典 日本林業技術協会 (2001) 森林・林業百科事典. 丸善. p229, 424, 694

    林野庁HP 国営・民間別山行苗木生産量の推移 https://www.rinya.maff.go.jp/j/kanbatu/syubyou/attach/pdf/syubyou-5.pdf )