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千屋ダム
◆ 千屋ダムの概要及びダム建設の背景 ◆
高梁川は、本川下流部は国の直轄事業として、中上流部は岡山県において河川改修が進められていたものの十分とは言えず、昭和9年、20年、47年等の豪雨出水により、沿川各地に甚大な被害をもたらしました。特に千屋ダム下流の新見市街地は、古くから川と共に産業・文化が発達してきた歴史的背景のもとに沿川に民家が密集しており、抜本的な河川改修が困難なため、洪水処理方式として最も効果的なダム建設が求められていました。
また一方では、昭和42年や平成6年の異常渇水を始め、たびたび深刻な水不足に見舞われ、さらには、水島地区・新見地区の都市用水の新規確保の必要性が生じていました。
これらに対応するため、千屋ダムの建設が高梁川総合開発事業の一環として計画され、昭和46年に実施計画調査に着手し、平成10年度に完成しました。
なお、千屋ダム本体の施工には、超硬練りコンクリートの使用により、建設工期の短縮と省力化が図られ経済的なダム建設が可能となる、RCD工法(Roller Compacted Dam-concrete) を採用しています。
千屋ダム建設のあゆみ
平成元年 3月 ダム本体工事着手
平成 4年 6月 ダム提体コンクリート開始
平成 7年12月 ダム提体コンクリート打設完了
平成 9年 6月 ダム本体工事完了
平成 9年 6月 ダム諸量設備・警報設備工事完了
平成10年 5月 試験湛水完了
平成10年10月 ダム竣工式
平成11年 4月 ダム運用開始
千屋ダム建設写真
着工前ダムサイト | ダム本体掘削工事(平成3年5月) |
RCD工法試験施工状況(平成2年6月) | |
ダム本体河床部コンクリート打設(平成4年12月) | ダム本体コンクリート打設 |
ダム本体工事完了(平成9年6月) | ダム本体工事完了(平成9年6月) |
千屋ダムの役割
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洪水調節
ダム地点の計画高水流量670m3/sのうち、470m3/sの洪水調節を行い、下流流域への洪水被害の軽減を図ります。
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既得取水の安定化及び河川環境の保全等
ダム下流の河川用水の補給、水質、動植物の生息等河川環境の保全などのために、流水の正常な機能の維持を図ります。
既得用水の補給と合わせ4,200,000m3の維持用水を確保しています。
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水道用水及び工業用水の供給
新見市の上水道に日量10,000m3と倉敷市水島地区の工業用水に日量108,000m3を供給する為10,000,000m3を確保しています。
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発電
ダムの放流水を利用して最大出力3,000キロワットの発電を行っています。
千屋ダムの諸元
ダ ム 及 び 貯 水 池 諸 元 |
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河 川 名 |
高梁川水系高梁川 |
放 流 設 備 |
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位置 |
左岸 |
新見市菅生 |
非常用洪水吐 |
頂部自由越流部 |
右岸 |
新見市坂本 |
H1.2m×B13.0m×9門 |
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調 査 |
昭和37年度から49年度 |
H1.2m×B11.75m×1門 |
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建 設 |
昭和50年度から平成10年度 |
H1.2m×B8.25m×1門 |
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ダ ム |
クレストゲート |
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ダム名 |
千屋ダム |
H6.35m×B5.5m×4門 |
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型式 |
重力式コンクリートダム |
常用洪水吐 |
オリフィス |
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堤高 |
97.5m |
H1.9m×B4.0m×2門 |
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堤頂長 |
259.0m |
コンジット(ジェットフローゲート) |
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堤体積 |
697,000m3 |
φ2.0m×2門 |
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非越流部標高 |
標高402.5m |
選択取水設備 |
直線多段式(5段) |
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越流部標高 |
標高394.2m |
B3.5m×1門 |
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標高400.0m |
利水放流管(ジェットフローゲート) |
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法勾配 |
上流面 |
標高329.0m以上鉛直 |
φ0.65m×1門 |
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標高329.0m以下1対0.6 |
貯 水 池 |
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下流面 |
1対0.77 |
集水面積 |
88.0km2 |
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ダムサイト地質 |
花崗岩 |
湛水面積 |
1.11km2 |
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計 画 概 要 |
総貯水容量 |
28,000,000m3 |
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計画日雨量 |
207mm/日(1/100) |
有効貯水容量 |
26,200,000m3 |
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計画高水流量 |
670m3/s |
計画堆砂容量 |
1,800,000m3 |
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最大放流量 |
200m3/s |
常時満水位 |
標高385.5m |
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最大調節流量 |
470m3/s |
最低水位 |
標高347.0m |
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調節容量 |
12,000,000m3 |
サーチャージ水位 |
標高400.0m |
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氾濫防止面積 |
186.0ha |
設計洪水位 |
標高401.2m |
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発電最大使用水量 |
5.5m3/s |
利水容量 |
14,200,000m3 |
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発電最大出力 |
3,000キロワット |
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千屋ダム展示室
千屋ダムの水質保全設備
千屋ダム(千水湖)では、夏期にアオコ(藻類)が大量発生し、景観障害や異臭の要因となっていましたが、水質保全設備(曝気装置、藻類拡散防止フェンス、循環促進装置)の設置・運用により、現在はアオコの発生や異臭は確認されておらず、一定の水質改善効果が現れています。
- 曝気装置
曝気装置は、散気管(水面下約20m)から圧縮空気の気泡を噴出し、ダム湖水を循環させることにより水温躍層を破壊しアオコ(藻類)の発生を抑制します。
- 藻類拡散防止フェンス
藻類拡散防止フェンスは、上流で発生したアオコ(藻類)をフェンスで止めることでアオコ(藻類)の拡散を防止します。
- 循環促進装置
循環促進装置は、水面付近に配置したプロペラにより表面のアオコ(藻類)を広範囲に引き寄せ、送水管を通じて水温が低く、光の届かない下層に送り込み、アオコ(藻類)を不活性化させます。
千屋ダム周辺施設のご案内
千屋ダムの位置
住所 新見市菅生7943-8
電話 0867-72-1701