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教育時報 標点

印刷ページ表示 ページ番号:0394628 2014年8月1日更新教育政策課

平成26年8月号(通巻779号)

義務教育課長 中村明雄

思いがけない便り

  県教育庁義務教育課長   中 村 明 雄

 今年4月に東京から岡山県に赴任し、県庁近くのホテルに仮住まいをしながら慌ただしく過ごしている中、義務教育課に一通の封筒が届きました。福山平成大学の藤井宣彰准教授からでした。赴任するとの記事を3月末に新聞で見たとのこと。
 藤井准教授は、私が文部科学省の学力調査室で平成19年から20年の全国学力・学習状況調査の担当となり、分析に四苦八苦していた際、広島大学大学院教育学研究科の山崎博敏教授の研究室から文部科学省に来ていただき、膨大なデータの分析や質問紙調査の改善に大活躍していただきました。
 封筒には山崎教授や藤井准教授らの研究グループの『沖縄の学力追跡分析 学力向上の要因と指導法』(協同出版)が同封されていました。文部科学省の委託研究として、全国学力・学習状況調査と沖縄県学力調査の結果を活用し、沖縄県の同一の児童生徒の小4・小6・中2の三つの時点での学力の推移を分析・研究した成果を中心にまとめた本です。追跡調査というのは簡単に見えて、個人情報保護の壁もあり、かなりの手間と時間がかかる調査なのですが、自治体の協力も得て大規模な調査を成し遂げたとのことでした。
 研究における沖縄県の子どもたちの学力推移の結果は、小4で下位25%にある子どもは小6でも3分の2が下位25%のままであり、小6で下位25%の子どもは中2でも3分の2が下位25パーセントに留まっているというものです。
 この研究結果をどう見れば良いのでしょう。別の切り口で見てみましょう。小4で下位25%の子ども100人のうち、中2の段階で上位25%になっているのは何人でしょうか。研究で明らかになった答えはわずか「二人」です。このことは、小4という早い時期に学力の固定化がかなり進んでいる傾向を示しているのではないでしょうか。さらに、この研究は沖縄県の学力の状況を分析したものですが、研究で示された子どもたちの学力の推移は果たして沖縄県に限った状況なのでしょうか。
 子どもたちに学力の基礎・基本を徹底する意味を、子どもたちの未来の保障の観点から、着任早々、深く考えさせられた本でした。