東日本大震災から3年余りが経過しました。各学校では、校舎や体育館などの耐震補強工事が平成27年度末までの完了を目指して急ピッチで進んでいます。また、体育館等のつり天井や照明器具、スピーカー、バスケットゴールなどの非構造部材は、落下すると致命的な事故につながることから、その対策も急務です。 学校は、児童生徒の学習・生活の場であるとともに、災害時には避難所としての役割を担うことから、水・食料等の物資を備蓄し、電気・ガス・通信手段等を確保できることが必要です。しかし、残念ながら本県は、施設の耐震化も避難所としての機能整備も、全国と比較すると大きく遅れています。その理由としては、いずれの自治体も財政状況は厳しく、本県はこれまで大きな地震災害を経験したことがないため、いつ発生するか分からない地震・津波のための対策は優先順位が高くなかったことなどが指摘されています。 しかし、東日本大震災は、多くの尊い命を一時(いちじ)に奪うとともに、極めて甚大な被害をもたらし、今なお、多くの人が避難生活を余儀なくされていることを忘れてはなりません。 西日本では南海トラフ巨大地震の発生が懸念されています。南海トラフを震源とする地震は、南海地震、東南海地震などと呼ばれ、昭和南海地震が昭和21年(1946年)に、安政南海地震・東海地震が安政元年(1854年)に、記録に残る日本最大級の地震で富士山の噴火を誘発した宝永地震が宝永4年(1707年)と、概ね100年~150年の間隔で繰り返し発生しています。最新の研究では、今後30年以内に70%程度の確率で発生するとされています。 学校には、自然災害だけでなく、不審者の侵入や登下校中の交通事故など、様々な事件・事故が想定され、児童生徒を守るための危機管理は極めて重要です。「釜石の奇跡」と「大川小学校の悲劇」は、あまりにも対照的ですが、事前の備えがいかに重要であるかを如実に物語っています。起こってほしくはありませんが、万が一の場合を想定し、被害を最小限に抑えることができるよう平素から万全の備えをしておくこと、これが東日本大震災が私たちに示した教訓です。 |