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教育時報 標点

印刷ページ表示 ページ番号:0378862 2014年3月26日更新教育政策課

平成26年4月号(通巻775号)

中島委員長

グローバル化と教育

   県教育委員会委員長     中 島 義 雄

 日本語の「国際化」に変わり「グローバル化」という言葉が頻繁に使われるようになって久しい。近年はその著しい進展に伴い、海外の政治経済の変化が、日本国内に大きな影響を与えるのを実感する。二〇〇八年のリーマンショックに代表されるように、米国を始め海外の動向は国内の政治経済と密接に結びつき、我々を取り巻く環境に大きな影響を与えている。
  十六世紀初頭のマゼランとその後継者による世界一周航海以来、それは着実に深化してきたといえるだろう。グローバル化の主体は植民地主義の国々から、世界中でビジネスを展開する多国籍企業へ、そして今では通信インフラの低価格化により、グローバル化の中心は個人へと変化している。好むと好まざるに関わらず、この流れを止めることはできず、今後も進化していくであろう。このような人や物が国境を越えて行き来する、フラット化した世界で生きて行く為には、様々な異なる考えを持つ人々の間で、多様な価値観と共生・共感できる能力が必要であろう。
 同時にこのグローバル化は、教育環境にも大きな影響を与えている。現在、ネットワーク上には様々な教育コンテンツが豊富に存在しており、通信環境を持つすべての人々に、高度な教育を受けるチャンスをもたらした。
 例えば、話題となったMOOC(Massive Open Online Course)は、大学の看板授業をネット上で提供することで、数万の学生が受講できることを可能にしている。これは欧米の大学を中心に進められているが、国内の大学でも徐々に拡がりつつある。今後、こうした知識の流動化はますます普及し、学習意欲がある学生は、国境をこえて一流の知識に接し、学ぶことができるということである。
 以上の事は、何を意味しているのだろうか。
  これまで、いわゆる先進国と発展途上国では受けることのできる教育には大きな違いがあった。その点で、日本に生まれて教育を受けることができた私たち世代の日本人は、同じ時代を生きるの発展途上国の人たちより、教育面では大きなアドバンテージを持っていたといえる。しかし、これからの人たちはネットワーク環境さえあれば、世界中で同レベルの教育を受けることができるだろう。そこでは、純粋に本人の意欲や努力がそのまま成果に結びつき、世界中が同レベルで協調し、かつ競争する社会が待っているのである。
 我々はこうした未来に子ども達を送りだそうとしている。グローバル社会の中で、多様性を認め、意欲を持ち、物事に熱中できる「心豊かで、たくましい」子ども達を送り出して行きたい。