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教育時報 標点

印刷ページ表示 ページ番号:0367437 2014年2月27日更新教育政策課

平成26年3月号(通巻774号)

県生涯学習センター所長

 「よきこと」をしたい大人たち

   県生涯学習センター所長     岡 本  啓

  三十年近く前、臨時教育審議会で生涯学習体系への移行がうたわれたころ、「社会教育の歴史的使命は終わった」とする議論があった。「成熟した市民を『教育』しようという発想が前時代的だ」、「成人教育は職業技術教育を担える大学や企業の教育力に委ねるべき」などといわれ、教育委員会の公民館から首長部局のコミュニティセンターへという動きもあった。
 今日でも、成人に対する「教育」、「ひとづくり」という言葉に違和感を持つ方もおられるかと思うが、社会教育の場面で行われる学習は、当然、自発的意思に基づくものだ。
 複雑・多様化する現代社会の課題に対処するためには、高度な学習内容も求められ、専門的な知識・技能を持つ大学や企業・NPO等団体との連携が必要になる。
 公民館等の社会教育関係者は、それぞれの課題についての専門知識を十分に持っているわけではない。地域の様々な考えを持つ人々と目的や課題意識を共有し、ともに解決策を探って連携・協働していくことは容易ではない。その中で、関係職員がファシリテーターやコーディネーターとしての役割を果たすことにより、参加者がお互いを尊重し、葛藤を乗り越え、協働を深める中で、自己を変容させる学び合いが生まれるのだと思う。
 今、各地域で学校や家庭や子供たちを支えていこうとする活動が広がっている。学校支援地域本部、放課後子ども教室、家庭教育支援など、学校、家庭、地域が連携して地域全体で子供たちをはぐくみ育てていこうとするものだ。
 こうした活動を支えるものに、大人たちの次世代を育てようとする「意識」がある。人は、子どもをはぐくみ育てること、後進を導くことに喜びを感じる。人の役に立ちたい、よきことをしたい、という「意識」を持っている。
 子供たちの生活全体を地域社会が一貫して支援する体制をつくるその活動が、大人たちの「生き甲斐」や「成長」にもつながっている。
 さらに、よりよい地域づくりの活動に大人たちが参加できるように、公民館等を中心に地域の様々な機関・団体が連携・協働するネットワークが広がっていくように努力していきたい。