ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織でさがす > 教育委員会 > 教育政策課 > 標点 平成25年2月号(通巻761号)

本文

標点 平成25年2月号(通巻761号)

印刷ページ表示 ページ番号:0307169 2013年2月1日更新教育政策課

廣本会長                   

架け橋

 県高等学校長協会会長  廣本 勝裕

 六月のある日、耐震工事が完了した第二号館の高校の教室に、学校訪問においでになった先生方をご案内して、授業参観に行った。
  メモをとりながら、ふと第三号館の中学校教室棟との間の中庭に視線を移すと、梅雨の合間のまぶしい陽光のもとで、ケヤキ、桜などの高木と、ドウダンツツジ、クチナシなどの低木の緑の濃淡が混じり合い、四階西端の特別教室が柔らかなカーブを描く白い中学校教室棟を背景に、実に美しい空間が現出されている。
  本校に県立中学校が併設されて十年が経過し、「育て!大樹のごとく」という期待の象徴のようにも思われるこれらの木々は幹を太らせ、豊かに広がる樹冠が、生徒たちに憩いの場所も提供するようになった。
  大学入試の時期には中学校教室棟の壁面に、高校の先輩に向けた激励のメッセージが掲げられ、三月中旬には高校の教室から、中学校卒業を祝う言葉が掲示されるこの中庭の空間には、中学校と高校との「架け橋」のような深い意味を感じる。
 しかし、同じ校地内にあればこそ、折に触れ中学校と高校の学校文化の違い、生徒の発達段階の違いなど、様々な隔たりを実感することもある。
  中学校・高校の教職員挙げて、生徒の個性の伸長やよりよい育成を共通の目標として、さらにしっかりとした「架け橋」を築くべく不断の努力を継続したい。 
  今まさに、教育再生が本県における最も重要な課題となっている。
  学力向上や学校不適応の問題などの教育課題に適切に対応するためには、各学校・園がそれぞれの学校段階における子どもたちの成長について、現状認識や問題意識を共有し、有意義な連携を深めていくことが基本的に重要ではないかと思う。
 冬本番を迎え、落葉した中庭の木々の梢にも、次の春を待つ新芽が準備されている。
  新年度も近い。中学校との「架け橋」を渡り、志望したそれぞれの高校に集う新入生たちには、互いに切磋琢磨しつつ充実した高校生活を送ってほしいと心から期待している。