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標点 平成24年10月号(通巻757号)

印刷ページ表示 ページ番号:0294193 2012年10月1日更新教育政策課

森本課長

継続は力なり

 県教育庁特別支援教育課長  森本 克美

 犬養毅(号・木堂)元首相の生家が岡山市北区川入にある。周りに水田が残る自然豊かなところだ。
 また、偉業を称え、隣接して記念館が建てられている。自宅から近いので時々訪れる。犬養毅は、「憲政の神様」として全国的に知られているが、能書家としても有名で数多くの作品を残している。その遺墨は、現在も多くの人に愛されている。さらに、筆硯紙墨(ひっけんしぼく)の文房四宝の収集にも努めており、その一部が記念館にも収蔵されている。
 私は、木堂翁の書を見ることが好きだ。翁の書は、右上がりで伸びやかな張りのある書線に特徴がある。翁の書に触れることにより、いつかは、書に向き合ってみたいと思っていた。四十代半ばになって書を習い始めた。なかなか上手くならないが、「忙中閑あり」忙しい中にも、工夫して時間を作り、書き続けるようにしている。
 翁は、人間を磨くことが書の修行でもあると言っている。翁は、東奔西走する毎日だったが、忙しい中にも、漢籍の研究を続け、それを作品にするために努力を惜しまず、多くの作品を残している。
  さて、私は永年にわたり、特別支援学校で勤務してきたが、翁のように、教員として、自分を磨く努力をしてきたのか不安に思うことがある。
 これまでたくさんの子どもたちと出会い、校長先生をはじめ多くの先生方や保護者の方などから多くのことを学んできた。少しは成長したと思うが、まだまだ未熟で、多忙を理由に日々の努力を怠ってはいけないと感じる毎日である。
  書も同じで、書き続けること、すなわち「継続は力なり」である。
  木堂翁は、書を学ぶ上で大切なことは、「第一は天分」、「第二は多く見ること」、「第三は多く臨書すること」(犬養毅『木堂翰墨談』第二十三条)と言っている。私には、「天分」はないが、「多く見ること」(多くのことを人から学ぶこと)、「多く臨書すること」(継続して学び続けること)は、できると思っている。
 教育者としても同じことがいえる。よりよい教育を求めていく姿勢が大切である。先人の生き方、在り方を参考にして、そういう姿勢を持ち続ける努力をしていきたい。