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標点 平成24年2月号(通巻749号)

印刷ページ表示 ページ番号:0265294 2012年2月1日更新教育政策課

山本課長

ポテンヒットを許さない

 県教育庁財務課長 山本 哲也

 「ポテンヒット」。昨年、この言葉を何度聞いたことだろう。本来は、野球用語で打球が内野手と外野手の間にぽとりと落ちるラッキーなヒット。「テキサスリーガーズヒット」とも言うが、守備の拙さから生まれたときには「お見合い」とも言う。野球以外の場面で使うのは、小さなミスの積み重ねや、誰かに決定的な責任を負わせるには忍びない状況でのしくじりを「不幸な出来事」と済ませようとするときである。まるで、この言葉を免罪符にするかのような身びいきで甘えた考えで使われる。しかし、往々にして結果は重大である。監査で指摘を受け、あるいは命や健康に関わる事態を引き起こしてさえいるのだ。

折に触れて思い出される寓話がある。

皆でやらなければならない重要な仕事があった。

誰かがきっとやるだろうと皆が思った。

誰でもできただろうに、誰もやらなかった。

皆の仕事なのにと、誰かが腹を立てた。

誰でもやれることだと皆が思った。

しかし、誰もやらないだろうとは、誰も気づかなかった。

誰かに頼んだ人は誰もいなかったのに。

 こと教育の分野で、子どもとの関わりの中で、こういうポテンヒットを許してはならない。

 ところで、初めて教育委員会での予算要求の作業を終えた。気になることが二点ある。一つは、事業を通じて市町村の顔が見えてこないと強く感じたこと。国や県がモデルとして行っている事業と同種・類似の事業には予算がつきにくい傾向があるからというが、モデル事業のよき成果を取り込み発展させるのが事業主体としての市町村の役割ではないか。いま一つは、目新しい事業を考えることに力が注がれ、学力向上や学校の荒れに直接対処する事業が見えにくいこと。家庭学習の時間を増やす工夫といったことが現場の先生方任せになっているのではなかろうか。そういうポテンヒットは出したくない。たとえば、県教委作成の到達度確認テストはよく考えられ手間をかけてつくられている。市町村教委は、これを活用する仕組みやその慫慂手段を工夫し、そして現場の先生方にはしっかり活用していただきたい。そういう連係プレーがあってもいいのではないか。

 場の中はもちろん、学校と県、市町村相互の間でもポテンヒットは絶対に許さない。互いに声を掛け合い、理解し合って風通しの良い関係で堅実なプレーを心がけたい。私たちにとって県民目線の規準は「子どもたちのために」である。