本文
梅雨明け後の農作物栽培技術対策について
岡山地方気象台は、7月8日頃に中国地方が梅雨明けしたとみられると発表しました。平年(7月19日頃)より11日早く、昨年(6月27日頃)より11日早い梅雨明けとなりました。
つきましては、今後の気象情報に注意するとともに、次の対策を参考に適切な栽培管理をしてください。
1 水 稲
(1)肥培管理と水管理
ア 早生品種
・穂肥は、草丈や葉色、幼穂長などの生育状況に応じて、施用時期と量を決める。
・穂ばらみ期~出穂期は、最も水を必要とする時期なので湛水管理とし、水を切らさないようにする。
・出穂後は間断かんがいを継続する。落水は出穂後30日頃を目安に、ほ場の排水状況をみて行うが、早期落水とならないよう留意する。
イ 中生品種
・分げつ期が高温の場合は、間断かんがいを行い水温・地温の上昇を抑える。
・最高分げつ期以降に葉色が低下しすぎる場合は、倒伏に留意しながら少量のつなぎ肥を施用する。または、穂肥をやや早めに施用して稲体の栄養状態を維持する。
・必要茎数が確保されたら、中干しを行う。
・中干し後は間断かんがいを行うが、幼穂形成期以降は出穂期まで湛水管理とする。
(2)病害虫防除
・葉いもちの発生が見られたほ場では、直ちに防除を行うとともに、窒素の施用量を控える。さらに、穂いもち予防として、液剤または粉剤の場合は出穂直前と穂首出揃期の2回防除を行う。
・過繁茂のほ場では紋枯病が発生しやすいので、発生状況を観察し、適切な防除に努める。
・トビイロウンカは、イネの株元に多く、ほ場内で局所的に発生するので見つけにくいため、今後の病害虫防除所の発生予察情報に注意するとともに、ほ場を観察し発生が認められた場合は早急に防除する。
・斑点米カメムシ類は、主要種が小型カメムシ類(アカスジカスミカメ等)の場合には穂揃期とその7日後、大型カメムシ類(ホソハリカメムシ等)の場合には穂揃期3~7日後とその7日後の2回防除を行う。また、出穂2週間前までに、畦畔や法面など水田周辺の除草を行っておく。イネカメムシによる不稔が発生している地域では、出穂期に防除を行うことが重要である。
(3)登熟期の異常高温対策
・根の活力を低下させないため、出穂後は間断かんがいとする。用水が豊富な地域では、猛暑年にはかけ流しかんがいを行う。
・白未熟粒等の高温障害は、登熟期の窒素不足で発生しやすいので、基肥-穂肥分施体系では2回目の穂肥(出穂前10日頃)の施用を徹底する。全量基肥一発肥料(緩効性肥料)であっても高温が予想される場合は、生育状況を見て、葉色の低下があれば、穂揃期までに追肥を行う。
・早期落水すると未熟粒や胴割れ増加しやすいので、出穂後30日以降を目安に落水する。
2 白大豆・黒大豆
・中耕培土は、1回目を本葉3葉期頃に初生葉節まで、2回目は本葉5葉期頃に本葉1葉節まで行う。開花期以降の中耕培土は、断根により生育に影響を及ぼすので行わない。
・開花期~着莢期の土壌水分不足は、落花・落莢によって着莢数が減少し、減収につながる。7月下旬~着莢期に高温・乾燥が続く場合は、十分な畦間かん水を行う。ただし、長時間かん水すると茎疫病の発生が増加したり、根傷みしやすいので注意する。
・若莢期に紫斑病、シンクイムシ類、カメムシ類の防除を行う。
・茎疫病は発生株を放置せず、見つけ次第抜き取り、ほ場外へ持ち出し処分する。
・7月下旬以降、ハスモンヨトウの発生状況に注意し、多発生が予想される場合には、早めに防除を行う。
3 果 樹
(1)果樹共通
・雑草との土壌水分の競合を防ぐため除草を行うとともに、敷き草や敷きわら等により水分の保持に努める。草生栽培の場合は定期的に草刈りを行う。ただし、過度な高温乾燥でかん水が十分実施できない場合は除草を控え、地温の上昇を抑制する。
・かん水施設がある園地では、晴天が続く場合5~7日間隔で20~30mm程度のかん水を行う。
(2)も も
・成熟前10日間程度は、5日間隔で5mm度のかん水にとどめる。
・部分マルチを設置している園地では過乾燥に注意し、適宜マルチの外周にかん水する。また収穫後は速やかにマルチを除去する。
・高温、乾燥が続くと成熟が遅れる場合が多いので、熟度に注意して収穫する。
・樹勢が強く、徒長枝が多く発生している場合は、数回に分けて切除し、結果部位や樹冠内部の日当たりを向上させる。ただし、収穫直前のせん定量が多すぎると、品質が低下する恐れがあるため過度な夏季せん定は行わない。
・カメムシ類やハダニ類に注意し、発生時には早期に薬剤散布を行う。
・防蛾灯は、光が届かない場所がないように設置する。
(3)ぶどう(加温、無加温栽培)
・裂果等の発生を防ぐため、成熟期までのかん水は、土壌水分を急変させないように注意して行う。
・果粒軟化期~収穫期は、晴天が続く場合3~5日間隔で15~20mm度のかん水を行う。収穫後は5~10日間隔で15~20mm度のかん水を行う。
・天窓、側窓を開放し、通風を良くし、高温になりすぎないように努めて葉焼けを防ぐ。
・成熟前に高温や乾燥が続くと果肉の軟化や脱粒が発生しやすいため、通風に努め、十分にかん水を行う。日持ち性が低下しやすいため収穫遅れにならないように適期収穫に努める。
・加温栽培の収穫後管理では、かん水、病害虫防除、副梢管理を計画的に行い、早期落葉の防止に努める。
・アレキ(冷室)では、日射症等の生理障害防止のため、石灰乳、遮光剤、寒冷しゃ等により遮光し、急激な温度上昇を防ぐ。
(4)ぶどう(簡易被覆栽培)
・裂果等の発生を防ぐため、果粒軟化後のかん水は、土壌水分を急変させないように注意して行う。
・袋掛けを実施後、着色期の高温を防ぐため、梅雨明け前後に連続降雨がなくなったら、速やかに被覆資材を除去する。なお、葉焼け防止のため、除去は曇天日か夕方に実施するのが望ましい。除去後は無機銅剤等を散布し、べと病、さび病等の病害発生を防ぐとともに、鳥害防止のため防鳥ネット等を設置する。
・副梢の伸長が旺盛な場合は、早めに摘心して過繁茂を防ぎ、果実品質を向上させる。
・想定以上に葉が傷んでいる場合は着果量を見直し、再度摘房する。
・直射光が当たり、シャインマスカット等で果皮の黄化が生じるおそれがある場合は、果実袋の上にカサかけを行う。
・果粒軟化期以降に高温で推移すると成熟が早まる場合があり、特にピオーネでは果粒軟化や脱粒しやすくなるため、収穫遅れにならないよう注意する。
(5)な し
・夏季には晴天が続く場合7日間隔で20~25mm度のかん水を行う。
・徒長枝は早めにねん枝、誘引し、日当たりの向上を図る。なお、枝が混み合っている場合は、日当たりを妨げる発育枝を切除する。ただし、一度に多量の切除は避け、数回に分けて実施する。
・生育期が高温で推移すると成熟期が前進する傾向があるため、収穫遅れにならないよう注意する。
・カメムシ類、ハダニ類に注意し、発生時には早期に薬剤散布を行う。
4 野 菜
(1)夏秋トマト
・敷きわら等をして土壌の乾燥と地温の上昇を防ぐ。
・ハウス妻面のビニルを除いて通風を向上させ、ハウス内の温度と湿度を下げる。
・日射が急激に強くなるため、蒸散量の増加による茎葉の萎れや尻腐れ果などの生理障害が発生しやすくなるので、生育ステージに応じたかん水管理に努める。
・草勢が弱い場合は、不良な幼果等を摘除し、液肥を施用して草勢の低下を防ぐ。
・尻腐れ果の発生が予想される場合は、開花している花房とその上の花房の周辺葉に塩化カルシウムの200倍(0.5%)液等のカルシウム剤を葉裏に向けて葉面散布する。
・盛夏時のホルモン処理(トマトトーン150倍)は早朝の涼しい時間帯に処理する。草勢が強く空洞果の発生が心配される場合は、トマトトーンにジベレリンを濃度5~10ppmになるように加用する。
・マルハナバチを利用している場合は、巣箱が日中32℃以上になると活動が低下するので、寒冷紗等で巣箱を遮光する。
・高温下(日平均気温28℃以上)になると稔性花粉量が低下するので、マルハナバチを利用している場合でも、トマトトーンを処理し、着果を確実にする。
・果実収穫後に25℃以上の高温や強い直射日光に当たると黄変果になりやすいので、出荷調整は涼しい場所で行い、直ちに予冷する。
・すすかび病、褐色輪紋病、オオタバコガ、トマトキバガ、コナジラミ等の病害虫防除を徹底する。
(2)夏秋きゅうり
・敷きわら等をトマトに準じて行う。マルチをしている場合はマルチの上に行う。
・日中に葉の萎れがみられる場合は、敷きわら等を厚くして地温の上昇を防ぐとともに、吸水量に応じたかん水をする。
・草勢が弱い場合は、不良な幼果等を摘除し、液肥を施用して草勢の低下を防ぐ。
・古葉、病葉、重なり合って光合成が十分に行えない葉を除去するとともに、べと病や褐斑病、炭疽病、アブラムシ類等の病害虫防除を徹底する。
(3)夏秋なす
・敷きわら等をトマトに準じて行う。マルチをしている場合はマルチの上に行う。
・日射量や生育ステージに応じたかん水管理に努めるとともに、できるだけ地温の低い時間帯にかん水する。
・防風ネットをほ場の周囲に垂直張りする。
・ミナミキイロアザミウマやハダニ類等の早期発見に努め、密度の低いうちに防除を行う。
・オオタバコガ、ハスモンヨトウの発生状況に注意し、定期的に防除を行う。
(4)アスパラガス
・たい肥マルチを十分に行い、土壌水分を保つ。
・できるだけ地温の低い時間帯にかん水する。
・茎枯病や斑点性病害、アザミウマ類、ハスモンヨトウ等の防除を徹底する。
・茎枯病の病徴がみられる茎葉は、早期に除去してほ場外に持ち出し、茎を立て替える。
(5)いちご
・寒冷紗による遮光等の昇温抑制対策を行う。特に、はればれプラントの小苗定植後やポット育苗のランナー切り離し後などは、萎れが発生しやすいので注意する。
・炭疽病対策として、雨よけや高設棚等で育苗し、できるだけ水の跳ね返りの少ない方法(底面給水、点滴チューブ等)でかん水する。
・古葉、腋芽、ランナーを適宜摘除し、株の生育を促す。
・炭疽病、疫病、萎黄病に注意し、罹病株の除去や摘葉後および定期的な薬剤防除を行う。また、ハダニ類の防除を徹底する。
5 花 き
(1)花き全般
・条間や畝間に敷きわら等をして乾燥防止に努める。
・土壌が極端に乾燥すると生育が抑制されるため、涼しい時間帯にしっかりかん水する。にわか雨程度では、適度な土壌水分状態にならない場合があるので注意する。
・高温・乾燥により、ハダニ類やアザミウマ類が発生しやすくなるので、発生を見逃さないように観察し、初期防除を徹底する。
・梅雨期は生育が軟弱気味になっていることが多く、梅雨明け後は気温が上昇し薬害が発生しやすくなるので、防除は涼しい時間帯に行う。
(2)しゃくやく
・極端に乾燥すると、越冬芽(翌年の芽)の生育が緩慢になるため、適宜かん水する。
・うどんこ病は光合成能を鈍らせ越冬芽の充実を阻害する。発生すると急激に感染が広がり治療が難しいため、予防的に殺菌剤を散布する。
(3)4フォックスフェイス
・土壌が極端に乾燥すると落果が誘発されるため、適宜かん水する。また、落果予防にカルシウム剤の葉面散布を行う。
・早期に葉かぎをすると高温と強光により実が日焼けをすることがあるので、実が十分肥大するのを待ってから、適期に葉かぎ作業をする。
(4)花とうがらし
・過度な土壌の乾燥は、品質の低下や生育の遅れを招くので、かん水管理に注意する。
6 畜 産
(1)大家畜(乳用牛・肉用牛)
・気温の上昇とともに採食量が減少し、乳用牛では泌乳量の減少、乳成分の低下、肥育牛では増体量の低下が起こるので、牛舎の防暑対策、牛体からの熱放散の促進、飼料給与の改善など総合的な対策を行う。
・牛舎は、直射日光の遮断(寒冷紗等)や屋根散水、断熱材の利用、白色塗装(屋根)等の防暑対策を行う。
・換気扇や送風機を使用し、牛舎内の乾燥や体熱の放散に努める。乳用牛に対する牛体送風については、夜間~早朝が特に効果的である。
・高品質で消化の良い粗飼料やエネルギー濃度の高い飼料を、多回数に分けて給与する。同時に、ミネラルとビタミンも補給する。
・ウォーターカップ等を点検し、新鮮な水が十分飲めているかを確認する。
・牛舎周辺の除草や排水溝の整備を行い、衛生害虫の駆除に努める。
(2)豚
・豚は体温調節機能が劣り、高温になるとストレスから受胎率が低くなったり、肥育豚では採食量の減少により、増体量が低下するので防暑対策を徹底する。
・牛舎と同様の防暑対策を行うとともに、豚舎の通風乾燥に努める。
・肥育豚等は飼育密度を少なくする。
・ふん尿をこまめに搬出する。
(3)鶏
・気温が上昇すると採卵鶏では産卵率や卵重の低下、ブロイラーでは増体量の低下が起こるので、鶏舎の断熱材や寒冷紗の設置により輻射熱を遮断する。
(4)飼料作物
トウモロコシ
・ソルガムに比べ耐干性に弱く、土壌の乾燥が続くと下葉の枯れ上がりにより収量が低下するので、転作田やかん水施設のある畑ではかん水を行う。
・サイレージ用の収穫適期は黄熟期であるが、干害により萎れて生育の回復が困難と判断されるものについては早目に収穫し、利用する。
ソルガム類(ソルゴー・スーダングラス)
・耐干性は強いが、土壌の乾燥が続く場合にはとうもろこし同様の対策が必要である。
・幼植物には青酸含量が多いため、草高60cm以上になってから利用する。
・一番草の刈取り高さは地上10cm程度とし、二番草の再生を促す。
|
農作業中の熱中症に注意
暑熱環境下での農作業は、熱中症(熱射病、熱けいれん、熱まひ等)を発症しやすいので次の事項に注意してください。 ・日中の気温の高い時間帯を外して作業を行うとともに、休憩をこまめにとり、作業時間を短くする等、作業時間を工夫する。水分をこまめに摂取し、汗で失われた水分を十分に補給する。特に、気温が著しく高くなりやすい施設内での作業では、十分に注意する。 ・帽子を着用するとともに、汗を発散しやすい服装をする。作業場所には日よけを設ける等、できるだけ日陰で作業するように努める。 ・作業施設は遮光や断熱材の施工等により、室内温度が著しく上がらないようにするとともに、室内の換気に努める。 |
ホームページ:農作業中の熱中症に注意!(岡山県農林水産部農産課)
https://www.pref.okayama.jp/page/788113.html
梅雨明け後の農作物栽培技術対策について [PDFファイル/287KB]
