
私は、知事就任以来、「教育県岡山の復活」なくして、岡山県の明るい未来はないとの思いで全力で取り組んできました。今年度スタートした「晴れの国おかやま生き活きプラン」においても、最重点で取り組む戦略の一つに掲げています。
教育の再生のために、今、何より重要なことは、落ち着いてきちんと授業が受けられる環境を取り戻すことです。学校が落ち着きを取り戻すことで子どもたちは授業に集中でき、先生は教育活動を充実させることができます。こうした良い循環を全ての学校に生み出していくことで、学力も自然と向上していくと考えています。落ち着いた環境をつくるためには、子どもたちの規範意識の確立が重要です。「授業中に静かにする」、「人に迷惑をかけない」というようなことが着実に身に付けば、学校の中では静かに授業を受ける環境が整い、学校の外では少年犯罪も減少するはずです。そうなれば教育県岡山の復活につながります。
ぜひ、家庭や地域の皆様にも将来の岡山を支える子どもたちの未来を明るいものにするために、ご支援、ご協力をお願いします。
岡山県知事 伊原木 隆太
「学びのチャレンジコンテスト」とは、児童が個人やグループ・クラスでチャレンジ問題に挑戦し、その結果をホームページ上で公開することで、自ら進んで学ぼうとする意欲やチャレンジ精神を育むものです。
学校訪問レポート①


チャレンジ問題をクリアして、
シールをもらう児童たち

倉敷南小学校は、昨年度優良実践校として表彰を受けた学校の一つで、「学びのチャレンジコンテスト」のチャレンジ問題に朝の自習の時間や授業の一部などを使って全学年で取り組んでいます。
児童の取り組みの様子を伺うと、どの先生も「『ハイチャレンジ』など自分で調べる必要がある問題では、先生や家族・地域の人などに聞いたり、本で調べてみるなど、楽しみながら答えを探しています」と児童が積極的にチャレンジしている様子を教えてくれました。
サッカーのワールドカップなどの旬の話題や季節に関する問題については、児童が特に興味を持って取り組んでおり、「学校で今咲いているお花の名前を調べよう」など校内に関する問題では「今まで知らなかった!」などと驚きながら熱心に調べているそうです。
問題をクリアするともらえるシールなども児童に大人気で、シールを集めようとがんばることで、問題にチャレンジする意欲が自然と高まっているようでした。


地域の方々が小学校で放課後に学習を支援する「放課後学習サポート事業」を昨年度から実施し、児童の基礎学力の定着を図っています。なお、今年度からは中学校でも取り組みを行っています。
学校訪問レポート②

指導員などに採点してもらう児童たち

担任の先生による個別指導の様子

美咲中央小学校では、毎週水曜日に放課後学習が実施されています。学習内容は児童の理解度・到達度を分析して決められており、取材に伺った日、児童は計算プリントを解いていました。
答案ができた児童から、指導員やボランティアの方などに採点してもらう仕組みになっており、それによって、担任の先生が児童の個別指導に集中できていました。
児童は張り切って問題を解き、完成した答案をわれ先にと指導員などに見せていました。指導員の「満点じゃがぁ、すごいなぁ」という声にうれしそうな様子の児童や「全問正解、100点満点!」「もうプリント10枚出来たよ!」など口々に喜ぶ児童。とても意欲的で、集中して問題を解いていました。
「放課後学習を通して児童の学習に対する意欲が高まった」と黒瀬さん。「100点の喜びをたくさん経験させてあげたい」と野津さん。児童の性格や理解度などに合わせて声を掛け、やる気を引き出していたのが印象的でした。

平成24年度に3年ぶりに全国ワーストを脱した岡山県内の小学校の不登校出現率は、平成25年度には1,000人中4.3人と更に改善していますが、依然として高い出現率が課題となっています。
過去の欠席状況などを分析したところ県内の小学校の不登校児童について
●「新たに不登校になる児童」の割合が全国に比べて高い
●不登校状態になる前に、年間10日以上の欠席経験がある児童が多い
ことなどが分かりました。
そこで、今年度から小学校に登校支援員を配置し、登校しづらい状況が見えはじめた児童に対する登校支援や保護者への相談支援を行うとともに、不登校対策担当教員への研修や効果的な支援のための調査研究など、新たな不登校を生まない取り組みを重点的に行っています。
また、すでに不登校状態にある児童などに対しては、教員による家庭訪問などに加え、スクールカウンセラーによる心のケアやスクールソーシャルワーカーによる福祉的なアプローチなど多面的な対応による支援の充実を図っています。
こうした取り組みにより不登校の未然防止や早期対応を充実させることで不登校の課題解消を目指しています。

人を敬う気持ちや規範意識など「心の教育」や「生き方教育」の充実を図るため、小・中・高等学校教員などによる研究委員会を設け、「論語」を用いた授業などを推進しています。
学校訪問レポート③

閑谷学校での講堂学習の様子

和気閑谷高校では、全校集会で論語の章句の朗誦の時間を設けています。漢文としての論語の解説ではなく、論語の精神を生徒に伝えて、生徒自身にしっかり考えてもらうことを目的にしているため、国語の先生だけでなく、数学や理科などの先生も一緒に取り組んでいます。各回の担当の先生が生徒の状況に合った章句を選んで具体的な事例を交えながら、ルールを守る必要性や思いやりの心の大切さなどを伝えています。
また、全校集会で紹介した章句について、生徒自身の考えを作文にまとめる取り組みも行われています。生徒からは「何百年も前の言葉が自分の心に届いたことに感動した」「過ちをおかしてしまったら、言い訳ばかりせずに、すぐに改めるようにしたいと思った」などの意見があり、論語の精神がしっかりと伝わっている様子が伺えました。
「論語」からスムーズな人間関係を築いたり、人間としての生き方を考えるヒントとなる章句を集めた冊子を作り、県内の公立小・中・高等学校に配付するとともにホームページに掲載しています。
▼~思いやりの心を持とう~ | ▼~本当の過ちとは~ |
「己の欲せざる所、 人に施すこと勿(な)かれ」 |
「過ちて改めざる、 是(これ)を過ちと謂(い)う」 |
(自分がしてほしくないことは友達や家族には しないという思いやりの心が不可欠) |
(同じ間違いを決して起こさないようにと 心に決めることが大切) |

警察官による少年非行防止

非行防止教室の様子
岡山県内の少年非行情勢は、いわゆる「非行率」※が過去20年以上全国ワースト10位以内で推移しており、特に平成24、25年と2年連続して全国ワーストであったほか、平成22年以降、校内暴力事件も増加傾向にあるなど、深刻な状況にあります。
警察本部少年課に設置した「学校警察連絡室」では、警察署、学校、地域ボランティアなどと連携して、その要望などに応じて学校を訪問し、あいさつ運動や非行防止教室などの充実強化を図るほか、暴力行為などに対する迅速・適切な対応などによって、少年非行情勢の早期改善を目指しています。
非行防止教室では、制服の警察官と担任教員が連携し、検挙・補導された少年の実例や万引きなどの具体例を通じて社会のルールを守ることの重要性を理解させ、規範意識の向上を図っています。

【児童・生徒】 |
●悪いことは絶対しない。誘われても断る勇気を持ちたい。 ●自分は絶対万引きをしない。友達がしようとしたら注意する。 |
【先 生】 |
●制服の警察官に授業をしてもらえることで、生徒の反応も良く、集中していた。 |
※注)少年人口(10-19歳)1,000人当たりに占める刑法犯で検挙・補導された少年の割合

岡山県渋川青年の家でのシーカヤック体験
今年度から県内モデル小学校において、3泊4日の長期宿泊体験活動を実施。岡山県渋川青年の家での「シーカヤック体験」などの自然体験を通じて、子どもたちの自立心や主体性、規範意識、人間関係構築力などの育成を図りました。

●親が手助けできないので、自分で考えて工夫していたようだ。
●少したくましくなったように思う。
●周りを気遣えるようになったと思う。


子どもたちに本に興味を持ってもらうため、県内の小中学生から「読んで感動した本」「友だちに紹介したい本」を募集し、「おもしろ読書事典」として取りまとめました。
「小学生版」と「中学生版」の2種類で、小学生版には推薦してくれた児童の「感想」を掲載しており、中学生版ではスポーツなど部活動に関連した本の紹介を充実させています。
県内の全小中学校、特別支援学校の各学級に1冊ずつ配付しているほか、県教育委員会生涯学習課のホームページに掲載しています。
お問い合わせ | TEL 086-226-7569 教育政策課 URL http://www.pref.okayama.jp/soshiki/142/ |
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