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契約の基礎知識

印刷ページ表示 ページ番号:0328175 2013年4月1日更新消費生活センター

1 契約とは 

 契約とは、一言で言えば、「法律的な責任が生じる約束」です。何か難しいことのように思われますが、物を買うのも、借りるのも、また、クレジットカードを利用するのもすべて契約です。
 本来、契約は、当事者の自由な意思によって行われることが原則(契約自由の原則)で、契約を結ぶかどうか、どのような内容で契約するかは、当事者がお互いに自由に決めることができます。ですので、契約したくないと思えば、はっきり断ればいいわけです。
 しかし、いったん契約すると、お互いに契約の内容を守る法的な義務が生じ、一方的に契約をやめたり、変更したりすることはできません。

2 契約の成立

 原則として、当事者が合意すれば、それが口頭であっても契約は成立します。契約が成立するのは、お互いの意思の合致があったときです。例えば、商品やサービスを購入したいと思って申込み、相手がそれを承諾したときに成立します。
 そして、契約の成立によって当事者間に権利義務(債権債務)が発生します。
  *債権・・・契約の相手方に一定の行為を請求する権利
  *債務・・・契約の相手方に対して一定の行為をなす義務

契約成立

3 契約書は何のために

  契約書を作成する目的は、

  • 契約当事者がお互いに契約の内容をはっきりさせておくこと
  • いったん結んだ契約の内容を、あとでトラブルにならないように証拠として残し ておくことですので、契約書に署名捺印するときには、必ず内容をよく確認し、しっかりと理解し、納得した上でしなければなりません。

<確認事項>  

  1. いつ(契約をした日)
  2. 誰と(事業者名、住所、連絡先)
  3. 何をいくつ(商品名、種類、数量)
  4. いくらで(価格)
  5. どんな支払い方法で(現金払い、分割払い等)
  6. 商品はいつ渡されるのか
  7. 解約に関する取り決めがあるか
  8. 損害賠償、違約金に関する取り決めがあるか

<注意点>

  • 契約書の内容と口頭の説明が違っていたり、疑問な点があれば、必ず相手方に確認 し、納得いかなければ契約しないことです。
  • 当事者間での合意内容が記されたものであれば、必ずしも「契約書」と書かれてい  なくても、「申込書」等でも同じ効力を持つことになります。
  • 契約書に捺印しなくても署名だけでも証拠としては十分なものになります。

4 契約の取消

  いったん成立した契約は、原則として一方の当事者の都合だけでは勝手にやめることはできませんが、契約の成立過程に問題があったり、相手方が債務を履行しないなど一定の場合については、契約を解消することができます。

☆契約不成立の場合

   契約する意思がなかったり、合意していないときは、契約は成立していません。にもかかわらず、一方的に代金の支払い請求等をしてきた場合は、契約が不成立であることを主張します。

☆契約に問題がある場合

 契約自体に次のような問題がある場合は、無効になるか、取り消すことができます。

(1)契約の無効

 法律が最初から契約の効力を認めない。
 → 契約は最初から無かったことになります。

ア 民法による無効

  • 公序良俗に反する契約(90条)
  • 強行規定に反する契約(91条)
  • 一方の契約当事者の錯誤(思い違い)で成立した契約(95条)
  • 無権代理による契約(113条)

 イ 消費者契約法の無効

  • 消費者の利益を不当に害する条項
  • 事業者の損害賠償責任を免除する条項(8条)
  • 不当に高額な解約損料や遅延損害金を定める条項(9条)
  • 消費者の利益を一方的に害する条項(10条)

(2)契約の取り消し

  契約が成立しても、法律が取り消すことができるとしている。
  → 契約を取り消した場合は、最初から無かったことになります。

 ア 民法による取消し

  • 法定代理人の同意を得ていない未成年者の契約(5条)
  • 成年被後見人が行った契約(9条)
  • 保佐人の同意が必要な契約で同意を得ていないもの(13条4項)
  • 補助人の同意が必要な契約で同意を得ていないもの(17条4項)
  • 詐欺や脅迫によって成立させられた契約(96条)

 イ 特定商取引法による取消し

  • 事業者の不当な勧誘行為により誤認して行った契約

 ウ 消費者契約法による取消し

  • 事業者の不当な勧誘行為により誤認・困惑して行った契約(4条)

☆いったん契約が問題なく成立しても、後から契約を解除することができる場合

(1)法律の規定による解除(法定解除)

ア クーリング・オフによる解除

 訪問販売による契約など一定の契約については、特定商取引法その他の法律の規定に基づくクーリング・オフにより無条件で契約解除することができます。

イ 特定商取引法による中途解約
   次の契約については、クーリング・オフ期間の経過後も、理由の如何を問わず、中途解約ができます。

  • 連鎖販売取引契約の中途解約(40条の2
  • 特定継続的役務提供契約の中途解約(49条

ウ 民法による解除

  1. 債務不履行(541条・543条)
     契約当事者の一方が、正当な事由がないのに契約の内容を履行しない場合、債務不履行を理由に契約解除(併せて損害賠償)を求めることができます。
  2. 瑕疵担保責任(売買(570条)・請負(635条))
      契約した目的物に瑕疵(通常有するべき品質・性能を備えていないこと)があって契約の目的を達することができないときは、契約を解除できます。

(2)契約に基づく解除(約定解除)

  • 契約条項に契約を解除できる場合が定めてあれば、その定めに基づいて、契約を解除できます。
  • 契約条項にクーリング・オフや中途解約を認める規定があれば、その規定に基づいて契約を解消できます。

(3)合意に基づく解除(合意解除)

  • 当事者間の合意があれば、公序良俗に反せず、その他特別の事情がない限り契約を解除できます。