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2011年02月15日知事記者会見

印刷ページ表示 ページ番号:0299000 2012年11月12日更新公聴広報課

知事からの話題

質疑応答

知事からの話題

平成23年度当初予算について

 それでは、今日は、当初予算の発表を中心として、数点お話をさせていただきたいと存じます。
 23年度の当初予算についてでありますが、先月14日に説明をさせていただきました各部局よりの要求を私自身が査定をいたしまして、今回、最終的な予算案として取りまとめを行いましたので、その概要を御説明申し上げたいと存じます。
 お手元の資料1頁をご覧いただきたいと思います。
 予算編成の基本的な考え方に記述しております方針に沿って、予算編成をいたしまして、その規模は、一般会計で対前年度比0.7%、約47億円減の6,602億円となっているところであります。
 2頁をごらんいただきたいと思います。
 22年度の当初予算は、国の経済対策の影響によりまして9年ぶりの増となりましたが、行革の着実な取り組み等により、23年度の予算規模は再び減となったところであります。また、先月の要求発表の段階と比較をいたしますと、予算規模が12億円程度増額されておりますが、これは私自身の査定によりまして、今年度が最終年度でありました「中山間地域等特別支援事業」、これに代わる総合的な中山間地域の活性化対策といたしまして、「中山間地域等活力創出支援事業」を新たに追加をいたしましたほか、依然として厳しい経済情勢を踏まえまして、心身障害者及びひとり親家庭等における低所得者の医療費負担の軽減措置を2年間延長するなど、必要な事業を新たに追加をしたことによるものなどであります。
 次に、6頁をご覧いただきたいと存じます。
 昨年末に決定されました国の地方財政対策の本県への影響であります。
 地方交付税は、国の対策では約5,000億円増額されましたことを踏まえまして、本県におきましても約77億円増加をする一方で、臨時財政対策債は同様に1.5兆円減とされましたことを踏まえまして、136億円減少し、これらを合わせました実質的な地方交付税は59億円減少する見通しであります。
 その一方で、税収は、都市部と比べまして景気回復のテンポが遅いことなどから、実質的な税収は42億円の増にとどまる見通しでありまして、全体といたしましては17億円のマイナスと、このようになっているところでありますが、これは財政構造改革プランの取り組みの効果等によりまして、カバーできる見通しとなっております。
 7頁をご覧いただきたいと思います。
 来年度、3年目を迎える行財政構造改革の取り組み効果でありますが、一般財源ベースで303億円でありまして、最終目標効果額396億円に対しまして、76.5%達成される見通しとなっておりまして、改革は順調に進んでいるものと認識をいたしております。
 次に、8頁と9頁をお開きいただきたいと存じます。
 岡山県の今後の収支見通しといたしまして、向こう10年間の粗い長期試算をお示ししているところであります。
 まず、23年度の収支でありますけれども、独自の給与カット実施後でプラス6億円となりました。これは、20年度のプラン策定時におきましても、23年度及び24年度は収支がプラスの見込みとしておりました。9ページの下の破線をごらんいただければ、おわかりをいただけると思いますが、そういったことは、行革大綱に基づく改革が順調に進んでいることのあらわれと考えております。
 しかしながら、独自の給与カット前の収支不足は110億円となっておりまして、依然として高い水準であります。また、企業会計からの借り換えを行わざるを得ないなど、幾分明るい兆しが見られますものの、本県財政は依然として緊急避難的な対策に依存をした厳しい状況にあるものと認識をいたしております。
 なお、プラスとなりました6億円につきましては、特定目的基金からの借入の償還に充てる予定といたしております。
 24年度以降につきましては、9頁下段のグラフでお示しをいたしておりますとおり、全体的には、前回8月時点で試算をいたしましたときとほぼ同水準で推移をする見通しとなっております。
 今後とも、給与カットが終了いたします25年度以降も、持続可能な財政運営が可能となるよう、24年度に最終年度を迎えます財政構造改革の総仕上げに向けまして全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 12頁には、県債残高の推移をお示ししております。
 臨時財政対策債を除いた県債残高は、今後も減少を続ける見込みとなりまして、ストックベースでの改善は続いていく見通しとなっております。
 14頁をごらんいただきたいと存じます。
 来年度の予算編成に当たりましては、「新おかやま夢づくりプラン」を推進するための「政策重点指針」に基づきまして、最終年度となる夢づくりプランの政策目標の達成に向け、行動計画に掲げる取り組みの総仕上げを進めることとしておりまして、政策重点指針に掲げた5つの柱につき、45事業、事業費で約284億円の予算を計上しているところであります。
 また、来年度は、「夢と元気」をキーワードにいたしまして、岡山の成長・発展につながる「新エネルギーの普及拡大」、「アジアの活力を捉えた成長・発展」などの分野の施策を部局連携事業として取り組みますとともに、「岡山の強みの活用と全国への発信」といった観点からも、幅広く施策を展開することといたしております。
 次に、15頁以下をご覧いただきたいと思います。
 ここからは、「夢と元気」をキーワードにした岡山の成長・発展につながる事業を掲載いたしております。
 時間の関係で、主なものをピックアップして御説明いたしたいと思います。
 「新エネルギービジョン推進事業」でありますが、「『晴れの国おかやま』新エネルギーのメッカプロジェクト」といたしまして、産業や経済への波及効果が見込まれますメガソーラーの戦略的な誘致に取り組むほか、今後、発展が見込まれます電池関連産業の創出・発展に向けて取り組むこととしております。
 「ストップ温暖化!推進事業」では、EV普及を図るための各種事業を推進いたしますほか、「あっ晴れ太陽光発電応援事業」により、太陽光発電の普及を促進することとしております。
 16頁でありますが、「元気アジアにおける総合プロモーション」では、「アジア総合プロモーション事業」として、訪日旅行の需要が増えておりますアジアから、より多くの観光客を本県に誘致をするため、私自身、北京や台湾での現地観光説明会などの場でトップセールスを展開する予定としております。
 「農林水産物ブランド確立輸出促進事業」といたしまして、マレーシアやシンガポールにおきまして岡山屋を設置するなど、県産果物のブランド力、これを活用し、多彩な農産物等のプロモーションを実施することとしております。
 17頁でありますが、今年度で終了いたします「中山間地域等特別支援事業」にかわる総合的な中山間地域対策といたしましての「中山間地域等活力創出支援事業」であります。
 中山間地域の活性化は、県政の重要課題であると認識をいたしておりまして、ソフト・ハードの両面から、引き続きさまざまな対策を実施することとしておりますが、特にソフト事業に対する要望が強いことを踏まえまして、「地域活力創出事業」では、市町村や商工団体等と連携をいたしまして、地域産業の振興をはじめとした施策を展開いたしますほか、「中山間地域生活交通確保事業」では、生活交通を確保するため、地域の主体的な取り組みを支援することといたしております。
 18頁でありますが、「岡山の強みの活用と全国への発信」という視点から、「あっ晴れ!文化☆みらい創造事業」では、国民文化祭開催によって高まりました県民の文化への関心や県内各地域で新たに始まりました文化活動の取り組みを引継ぎますとともに、私自身の査定によって追加をいたしました「カルチャーゾーン・アート・スクエア-事業」では、後楽園を中心といたしました岡山カルチャーゾーン内の県施設等に、県内外の作家によるアート作品を屋外展示することによりまして、岡山文化の情報発信を行っていきたいと考えております。
 19ページでありますが、後楽園の魅力をさらに向上させるため、「岡山後楽園魅力向上事業」といたしまして、東門等の利便性の高い施設の整備や外国人観光客のためのガイダンス機能を充実させますほか、「岡山後楽園秋季賑わい創出事業」といたしまして、夏の「幻想庭園」の終了後、秋の10日間程度、園内でのライトアップや魅力的な催し物等を実施することとしております。
 20頁でございますが、ここからは「政策重点指針」の5つの柱ごとに主な重点事業を記載しております。
 まず、23頁の左側の箱でございますが、「心豊かなおかやまっ子育成事業」といたしまして、不登校や問題行動等に対処するため、子どもの悩みを受けとめる相談体制や学校の生徒指導体制の一層の充実を図ることとしておりまして、さらに私の査定によりまして、一番下でありますが、「アトラクティブ・スクール事業」を追加いたしました。これは、学校の荒れなどの課題に総合的に取り組む中学校を指定いたしまして、課題解決に向けて集中的に支援をすることとしているものであります。
 32頁でございますが、左側、「『おかやま次世代自動車技術研究開発センター』設置事業」におきましては、テクノサポート岡山にセンターを設置いたしまして、岡山発の新技術、新素材等を結集した電気自動車の研究開発や人材育成に取り組むこととしております。
 39頁でありますが、ここから41頁までは経済・雇用対策の推進のための予算を計上しておりまして、約864億円の予算となっております。
 昨年11月に編成をいたしました総額162億円の経済対策にかかわる補正予算と合わせまして、切れ目ない経済・雇用対策に取り組むことにより、地域経済の安定的な回復と雇用の確保が図られますよう、引き続き全力を尽くしてまいる所存であります。
 特に、39頁の「若年労働者等雇用対策事業」あるいは「高校生就職応援事業」などによりまして、厳しい雇用環境が続いております新規学卒者等への就職支援に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございますが、全体の総括を申し上げたいと思います。
 財政状況につきましては、3年目を迎えました行財政構造改革の順調な取り組みによりまして、収支がプラスになるなど、幾分明るい材料も見受けられますものの、独自の給与カットなどの緊急避難的な対策に依存した財政運営に変わりはなく、依然として厳しい状況にあるところでございます。
 そのような中で、一層の「選択と集中」ということを進めまして、「夢と元気」をキーワードとし、喫緊の課題であります経済・雇用対策はもとより、メガソーラー誘致あるいは電気自動車普及促進などの「新エネルギーの普及拡大」、中国、台湾へ岡山を売り込む「アジアの活力を捉えた成長・発展」、岡山文化の情報発信や後楽園の魅力向上などの「岡山の強みの活用と全国への発信」のための施策等に重点的に予算の配分を行ったところであります。
 これらの施策を推進することによりまして、新産業の創出や発展著しいアジアの経済力を県内に取り込みまして、本県の将来の成長・発展につながることを強く期待をしているものであります。
 また、学力向上など、将来を担う子どもの教育や子育て支援、次世代自動車技術の研究開発などの産業の振興、若年労働者対策などの雇用対策といった分野にも力を入れまして、予算編成をしたところでありまして、これらの総合的な取り組みを進めることで、県民の暮らしや、あるいは地域経済・雇用をしっかり守りつつ、県民一人一人が「夢と元気」を持つことができる「岡山づくり」を進めてまいりたいと、このように考えております。
 以上のことから、来年度の予算のネーミングにつきましては、この資料、表紙にありますとおり、「『夢と元気』の岡山づくり予算」、このように名づけたところでございます。

県立児童会館閉館後の利活用について

 続きまして、この予算にも関連いたしますが、数項目お話をさせていただきたいと思います。
 まず、県立児童会館閉館後の利活用についてであります。
 今年度末に閉館となります県立児童会館につきましては、隣接する県生涯学習センターの機能強化のために活用することといたしまして、コンセプトを未来につながる科学の学び、体験、交流の発信拠点としたところでありまして、仮称ではありますが、未来科学棟と銘打って、「科学を通じた知」、「親・子の学び」、「世代を超えたつながり」を発信していく拠点といたしまして、産学官民の協働により有効活用していくことといたしました。
 具体的に申し上げれば、例えばプラネタリウムや科学に関する全天周映像等の投影や京山の集光型太陽光発電システムと連携した学び、体験のプログラムの提供等、広く科学をテーマとした学び、体験、交流の発信が考えられるところであります。
 今後、平成25年度の供用開始を目指しまして、基本計画の策定に着手する予定であります。

岡山テルサについて

 次に、岡山テルサについてであります。
 岡山テルサにつきましては、昨年、早島町長さんから、テルサ運営の可能性について研究したい旨のお話がございまして、それを受け、平成17年10月までの施設共有者でありました独立行政法人雇用・能力開発機構と、町への譲渡の可否等について協議をいたしますとともに、これらと並行して、早島町との間で譲渡の条件等について協議を行ってきたところであります。
 このたび、早島町長から、譲渡を受け、公共施設として運営したい旨の意向が正式に示されまして、譲渡の協議が整ったことから、今後、県において、必要な修繕工事を行うなど、早島町への譲渡に向け、準備を進めてまいりたいと存じます。

(社)岡山県農地開発公社の解散について

 次に、社団法人岡山県農地開発公社の解散についての報告であります。
 公社におきましては、任意解散に向けて検討を行ってきたところでありますが、このたび債務処理等に係る関係機関との調整が整ったことから、先般の公社理事会において、本年度末をもって解散方針の決定がなされたところであります。
 解散に伴いまして、公社が市中金融機関から借り入れております約14.5億円につきましては、県が損失補償を実行することとなりますが、公社からは、長期保有農地等による代物弁済の受入と残る債権約9億円の放棄について要請がありました。
 これまで、公社と一体となって農地保有合理化事業の実施に関わってまいりました県といたしましては、やむを得ないことと、このように判断をするところでありまして、次の2月定例会において、そのための議案等について提案をさせていただくこととしております。
 このような事態に立ち至ったことにつきましては、誠に遺憾に思っているところでございまして、改めて県民の皆様方に対し、心より深くおわびを申し上げる次第でございます。大変申しわけございませんでした。
 なお、同公社が行ってまいりました農地保有合理化事業についてでありますが、先日、事業承継の意向を示されました岡山県農林漁業担い手育成財団によります円滑な事業の実施を通じて、引き続き本県農業の振興に努めてまいりたいと考えております。

社会保障と税の一体改革について

 最後に、社会保障と税の一体改革について、私の考え方を述べさせていただきたいと存じます。
 現在、社会保障と税の一体改革の議論が本格的になされている状況でございますが、先日の衆議院予算委員会において、与謝野大臣から、「今のところ地方にという考え方は誰もおっしゃらない」、増税の一部を地方に渡すという考え方、これについてこのような答弁がなされたと聞いておりますが、この見解は消費税の増分は国が社会保障に使うんだと、このようにとれる見解が示されたと受けとめております。
 しかしながら、社会保障につきましては、地方も、医療、介護、子育てなど、さまざまな分野で大変重要な役割を担っているところでありまして、また毎年約7,000億円歳出が増えていると、こういう状況にあります。
 こうした状況に対しまして、地方は、これまで国を上回る定数削減や給与カットなど、まさに血のにじむような行革に取り組むことで対応してまいりましたけれども、それでも地方歳出に対しまして歳入が絶対的に不足する事態は改善されていないところであります。
 昨年7月に和歌山県で開催されました全国知事会におきまして、消費税、地方消費税の引き上げを含む税制の抜本改革の実現に向けて、地方の立場から積極的に提言を行い、国民の理解を得ていく運動を推進し、我々地方側も責任を果たしていくという決意を持っているということ等を内容とする提言を取りまとめたところであります。
 国の検討会議においては、このような現状あるいは実態を踏まえた議論がなされなければならないと、このように考えているところでありますけれども、しかしながら、現時点における進め方というものを見ますと、地方の意見を積極的に聞く体制とはなっておらず、また地方の意見、考え方を述べる人もいまだおられないような状況であると、このように承知をしておりまして、甚だ遺憾であると言わざるを得ないと存じます。
 26日には、臨時の全国知事会議が開催をされまして、社会保障と税の一体改革、地方消費税問題等につきまして議論を行うこととなっておりますが、今後、地方が一丸となって、地方の果たしている役割や、あるいは国のこういった議論への地方側の参加、こういったことにつきまして、強く主張していく必要があると考えております。
 以上、私のコメントとさせていただきたいと思います。

質疑応答

記者)
 当初予算案で、2件お尋ねします。
 1件は、恒例なんですが、今回の予算、自己採点をされるなら何点かという点と、今回、収支がプラスになっていますが、ここまでの経緯とすれば、1つは交付税ショックがあり、さらにプラン策定時にはリーマン・ショックもあったと。それを踏まえて、ようやくここにたどり着いたということだと思うのですが、そこを踏まえて、今回収支がプラスになったことの御所見をお願いいたします。

知事)
 第1点、自己採点というお尋ねでございますけれども、昨年は80点程度ということを申し上げたところでございますが、今回の当初予算につきましては、私の自己採点は、100点満点で言うと85点をつけられるかなと思っております。先ほどもお話がございましたが、収支が、知事就任以来、初めてなんですけど、プラスということになりました。幾分明るい材料も見受けられるようになりまして、そういった中で、「夢と元気」といったことをキーワードに、これからの岡山県の発展あるいは成長につながるようなもろもろの政策を盛り込むことができたという意味におきまして、そういう特色のあるめり張りのきいた予算編成となったということは、これは実は高い評価ができるとは思うのですが、しかし依然として給与カット、職員の皆さんにも多大な御迷惑をおかけしながら、このような予算編成ができたと、こういう緊急避難的な対策にまだ依存しておるというこの財政運営、そういったことも考えると、今のような採点になるのかなと、こう考えております。
 そこで、第2点目の御質問でございますけども、私も就任以来、長い長い、そして暗いトンネルを出口を探しながら歩みを進めてきたような感はしておりますけれども、そういった中でようやくその先に明るいトンネルの出口が見えてきたなと、こういう感がしております。やっぱり、何よりも収支についてプラスといった形で、初めて予算編成できたということは、私にとりましてはいい予算ができ上がったなという思いでございます。
 ただ、先ほどのお答えで申し上げましたとおり、職員の皆さんの給与カット等、依然としてまだまだ緊急避難的なものが残っております。特定目的基金の借り入れなんかもまだ残っておるといったような状況でございますので、依然として厳しい状況でございます。
 ただ、これも、このまま引き続き、先ほども申し上げましたとおり、行財政構造改革、決めたこのプランを確実にこれを実行していく、これをやり抜いていくということで、必ずやこの長い暗いトンネルを脱出することができるのだと、抜け出すことができると確信をしているところでございます。
 そういったことで、これからの経済情勢とか、国の地方財政対策とか、いろんな不安定要因もございますけども、持続可能な安定的な財政運営の確立に向けまして、不退転の決意でこの改革を進めていきたいと考えております。

記者)
 今、明るい出口のというようなお話しもありましたけども、その一方で、公共事業をこれまで削減してきて、それで資料を見ますと社会保障費が大変急激な勢いで増えています。その中で、知事のお考えになる予算を組む難しさというのもお感じになっているのではないかと思うので、そのあたりのお考えをお聞かせください。

知事)
 いわゆる人口減少社会ということに入りまして、これから先、需要といたしましては、高齢化が進む中で必要な社会保障等の経費はどんどんこれからも累増していきます。少子化対策も待ったなしだと思います。こういった歳出増が当然増ということで見込まれる中で、一方、地方の財政状況は、国と地方の財政対策、三位一体改革以来、依然として非常に厳しい状況が続いており、途中で私も改革を進めていく中で、このリーマン・ショックといった世界経済の大きな大打撃といったものに県内経済も直面をしたわけでございまして、こういったような経済動向等にも、どうしても影響を受ける、地方財政対策にも影響を受ける、こういう財政構造のあり方そのものが、今問われ直しているのだと思うのですね。
 ですから、やはり仕事をしている比率は、国4、地方が6なのです。しかし、実際の税源はその逆で6対4となっている。これを歳出に合わせた税源配分に変えていくということ、当面は5対5を目指してやっていこうという、この地方分権改革の中の税財源の問題ですよね。それをやっぱり政府が地域主権改革を1丁目1番地とおっしゃるなら、第1のテーマとして推し進めていただかないと、地方はますます非常に厳しい状態になって、都市部と地方部の格差、大都市と地方都市との格差、これがますます進んでいくという、日本全体のこれからの発展を考えたときには、この地域主権改革あるいは地方分権改革が待ったなしであるということを強く訴えたいですね。
 今の時点において、現時点においての地方の財政を考えたときには、予算編成は極めて、どこの自治体も同じだと思いますが、厳しい要因の中で、制約の中で皆さん工夫をしながら、苦労しながら進めてらっしゃる。本県も同様でございます。

記者)
 資料の55頁にあります公共事業費の推移ということで、平成13年度以来、10年ぶりの増ということなんですけど、今回、増としたということ。あと、今後についてはどうお考えでしょうか。公共事業がずっと右肩下がりで減少してきたという状況もありますが、地域経済も含めて、知事のお考えををお聞かせください。

知事)
 財政構造改革のプランにおきまして、公共事業にかかわる地方負担額について、これを今まで減額をしてきたのですけども、来年度予算からは、これを同額のまま推移していくという、これがプランの骨格になっておりますから、これを維持しております。その上で、さまざまな補助事業等の、これは少ない地方負担によって事業効果が出てまいりますけども、それを工夫してやりくりする中で、補助、単独を合わせまして前年対比1.2%増という形にしたということでございまして、県の地方負担というものは増えているわけではございません。ただ、事業量をできるだけ増やしていこうという工夫をしたということでございます。
 今後につきましては、プランによって、このまま維持するとなっておりますので、少なくとも最終年度まではこのままでありますが、その後は、プランの終わった後はやはり地域経済の状況とか、あるいは社会資本の整備のあり方とか、いろいろ議論をする中で、また県民の皆さんとともに考えていきたいというふうに思っております。

記者)
 地方消費税について、御所見をお伺いしたいのですけども、消費税率5%のうち1%が地方消費税、1.18%が地方交付税の原資になっているわけですが、先ほどの地方消費税について、基本的には、全国知事会には税率を上げるという方向だと思うのですが、知事のお考えとしては、税率を上げて、なおかつ配分も上げてほしいというお考えなのか、どちらか一方を上げるべきだとお考えなのか、その点についてお聞かせください。

知事)
 地方消費税及び消費税の引き上げがなされた場合の地方への配分についての考え方ということでありますが、今、一体改革についての議論が始まったばかりなので、具体的な数字を申し上げる段階にはまだ至っていないというふうに思っております。今、御質問にありましたとおり、5%の分のうち1%が地方消費税であり、また交付税特会の中に29.5%繰り入れられて、地方にこれが配分されており、合計4割ぐらいでしょうかね。こういったものが地方に来ているのですが、仕事のほうは一般財源で見ると、先ほど申し上げたとおり、国のほうに対して地方のほうが4対6という中で、事務事業はたくさんこなしている。そして、その中で、じゃあ社会保障に限ったらどうかといったような議論がこれから出てくるのだと思うのですね。そうなるのかどうかも含めて。
 ですから、今の段階では、具体的な数値について今のままの配分率を維持してほしいといったようなところまで、具体的に申し上げる段階にはなってなくて、私どもとすれば、地方はもっともっと、これだけ厳しい財政状況ですから、配分率を高めてほしいという一般的な気持ちは、それ以上高めてほしいという気持ちは持っていますが、国も財政状況厳しいわけですから、全体の中でこれから議論が進んでいくべきと思いますが、少なくとも、地方のこういった実情を、意見を述べる人、そういう立場の人がやっぱりその会議の中におられて、そして堂々とそういう発言をしていただくということでないと、ちょっと国の財政再建に偏った議論が進んでいくのではないかという懸念を覚えておりますので、先ほど私自身の考え方を述べさせていただいたところでございます。

記者)
 本四の出資金と子ども手当の地方負担については、これまで知事は批判的な見方をされてきていましたが、政府方針どおり計上されているようです。それについて、どういう認識のもとで今回計上されたか、今後、どのように対応していかれるかという点について、お聞かせください。

知事)
 まず、本四の出資金の問題でございますが、2回調整会議がありまして、私も出て、副大臣等と議論を重ねてまいりまして、今決まっております24年度までのこの約束している出資については履行いたしますが、新たな追加出資につきましては応じることができないということをはっきりと申し上げてまいりました。
 その前提に沿っての今回予算の計上ということでありまして、来年度、24年度以降、今後どのようにしていくかということは、今回の料金引き下げ、本四につきまして、他のNEXCO等はたしか3年ぐらいの期間だと思いますが、本四だけは1年間となっているようでございまして、この秋から年末にかけて引き続き国と、国のほうから調整をしてしようということでお話が地方にあるものと承知しております。
 私は、今までの考え方を堅持して、強く同じ立場で主張してまいりたいと、現時点ではこのように思っております。
 子ども手当も、いろいろ私自身も悩みました。どうすべきかということも考えました。極めて、地方に負担を求めるということは遺憾なことであります。もともと国が全額負担をするということで始まった子ども手当。1年限りの暫定措置ということで地方に理解を求められた昨年度。今年度は、またその引き続きということでありますから、これは極めて遺憾なことでありまして、中身としては本当に同意しがたいものでありますけれども、しかし一方で、市町村の皆さんのお考え、そしてその支給を待ってらっしゃる御家庭の皆さんのお気持ちということを考えますと、これはやむを得ず地方としては予算を計上せざるを得ないと考えているところでございますが、基本的な考え方、すなわち全額国が負担すべきであるということは、引き続き他の知事さんたちとも連携をしながら、より一層強く国に対して主張し続けていきたいと思っております。

記者)
 本四の料金については、近々正式に示されるようですが、23年度の料金改定については、これまでの協議で受け入れの目途が立ったということでよろしいでしょうか。

知事)
 内々の話ですけども、23年度については、若干の平日の料金引き下げといったことが、今までの措置に追加になった形で、そういう方向で具体化が進んできてございますから、これは私どもの追加出資ということなしに、国のほうがそういう考え方であるということのようでございますから、それはそれとして一定の評価をさせていただきたいと思いますが、料金の引き下げについてはそういうことでございますが、出資につきましては、それとは関係がないと、NEXCO路線と他の路線が全額国でやってらっしゃることとのバランス、公平感からいたしましても、本四について地方出資を求めるのは全く筋違いではないかと、このような考え方は変わっておりません。

記者)
 県立児童会館のことなのですけれども、昨年、児童会館で「はやぶさ」の全天周映画が公開され、知事もご覧になられたというふうに伺ってますけれども、今回こういう形で利活用するということで、その映画の感想も含めて、知事のご感想、お考えをお聞きしたいと思います。


知事)
 生涯学習センターの機能拡充ということで、教育委員会のほうでこれから中身を詰めていかれるわけですが、その中で、先ほど申し上げた未来、科学といったことがキーワードになっているわけなのです。この一つの考え方といたしまして、お手元の資料にありますとおり、このプラネタリウムですね、そして全天周型のプロジェクター、この機能を両方備えたものというものが一つの考え方として検討が進んでいくと思いますが、私も「はやぶさ」を実際にあの中で見て、非常に迫力があるし、それからまさに天空を目の当たりに見ているような画面に引き込まれるような、そういうような非常に迫力ある映像、これはやっぱり全天周映画の最大の特徴であるというふうに思ったのですね。
 先日、五反田のほうのプラネタリウムをちょっと視察をさせていただきましたところ、まさに光学式のプラネタリウムで星が非常にたくさん映っているのですが、そこへデジタル仕様のプロジェクターがいろいろ映像を映し込むわけなのですね。その両方のセットで非常にわかりやすい、そして迫力のある、子どもさんたちにも理解できるような、そういう機能が、新しいものがどんどん出てきているのです。したがって、こういう新しい最先端の科学技術の機器を導入することができれば、子どもさんたちが将来の夢、あるいは科学に対する関心をしっかり持っていただけるとか、非常に大きな効果が期待できると思っておりますので、教育委員会における検討状況を見守っていきたいと思っております。