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2010年11月26日知事記者会見

印刷ページ表示 ページ番号:0298996 2012年11月12日更新公聴広報課

知事からの話題

質疑応答

知事からの話題

地方分権改革について

 それでは、私のほうから、地方分権改革に関しまして、今、さまざまな動きが出ておりますけれども、私の考え方を、この際まとめてお話をさせていただきたいというふうに思っております。
 御承知のとおり、この月曜日22日でございましたけれども、首相官邸におきまして、政府主催の全国都道府県知事会議が開催をされまして、菅総理大臣、そして関係閣僚、政務三役が出席をされまして、全国の知事との間において意見交換が行われたところであります。
 その際、私からは、総務常任委員会委員長並びに行政改革プロジェクトチームのリーダーといたしまして、菅総理大臣に対しまして、地方財政の危機的な状況、さらに国を上回る地方の行革努力、血のにじむような改革を行っている、その成果を具体的に申し上げました上で、毎年度7,000億円から8,000億円程度の増加が見込まれております社会保障関係費など、緊急度の高い地方の財政需要を適切に積み上げ、また法定率を引き上げることで、三位一体改革で削減をされました地方交付税を復元、増額をし、臨時財政対策債によります措置を解消されますよう、強く訴えをさせていただいたところであります。
 また、他の知事さんからは、地域主権関連三法案の早期成立のほか、ひも付き補助金の一括交付金化、あるいは国の出先機関の原則廃止、さらには義務づけ、枠づけの見直しなど、地域主権改革にかかわる諸課題の推進に向けました意見とか、あるいは子ども手当の地方負担の問題、高齢者医療制度改革にかかわる問題など、喫緊の課題につきまして、政府の姿勢をただす意見が相次いだところであります。
 これに対しまして、菅総理大臣からは、「地域主権改革に全力で取り組む。」との決意が示されまして、また一括交付金に関しましては、その総額について懸念する意見に対しまして、「三位一体改革のようにはしない。」このようにされましたものの、それぞれの政策課題につきましては、踏み込んだ御発言がなかったというところであります。
 国の予算編成も大詰めを迎えておりまして、この際、主に議論となりました地方にかかわる国の施策につきまして、私の基本的な考え方をまとめてお話をさせていただきたいと存じます。
 まず、一括交付金化の問題でございますが、知事会議の後に開催されました国と地方の協議におきまして、投資にかかわる補助金3.3兆円のうち1兆円程度を対象として、来年度はこれを都道府県に限定をし、5,000億円程度を「地域自主戦略交付金(仮称)」といたしまして一括交付金化する、このような政府方針が示されたところでありますが、この一括交付金化の対象外とされました2兆円程度につきましては、従前のいわゆる補助金行政、これがそのまま残るということ、あるいは現行の補助制度を前提にして、対象事業を限定している、そして、事後チェックの重視ということで、国の関与を強く残したままである、補助金適化法あるいは会計検査院、それらはいずれも従前のままであるといったことなど、地方の自由度拡大という本来の目的からいたしますれば不十分と言わざるを得ないと存じます。
 また、対象となる事業を滞りなく執行することが可能な予算総額を確保すべきであると。これが前提であると私は思っておりますけれども、関係閣僚からこの削減についての発言が出ているなど、この議論が今後どうなるのか、しっかりと注視をしていかなければならないというふうに思っております。
 次に、子ども手当についてでありますが、これまで申し上げてまいりましたとおり、国と地方の役割分担、お互いにこれを明確にしていくという観点から、保育所のようないわゆるサービス給付につきましては、自治体の創意工夫によって地方が担う。一方、子ども手当のような全国一律の現金給付につきましては、国が担当し、全額国が負担をすべきである。このように考えているところであります。
 この点につきましても、地方負担継続にかかわる関係閣僚あるいは厚労関係者の発言が出ているなど、今後の議論をしっかりと注視をしていかなければならないと思っております。
 また、高齢者医療制度改革でありますけれども、その受け皿となります国民健康保険を都道府県単位化いたしまして、運営主体を都道府県とする案というものが示されているところでありますが、高齢者医療費の急激な増大が見込まれる中、国保が抱えております構造的な財政問題の抜本的な改革、解決策、こういったものが議論されないまま、その財政責任を都道府県が負うということにつきましては、危惧を感じざるを得ないところでありまして、国の財政責任の明確化など、全国知事会が22日に取りまとめました条件を完全にこれはクリアしていただく必要がある。これが必要不可欠であると考えているところであります。
 以上、主な論点につきましてお話をさせていただきましたけれども、いずれにいたしましても、今後、来年度の予算編成が最終局面を迎える中にありまして、一括交付金化など、地域主権戦略大綱の具体化に向けた動きを地方といたしまして注視をし、これらの改革が真に地方の自由度の拡大につながるものとなるよう、またその他の重要課題につきまして、地方の意見が反映されました制度設計となるよう、引き続き全国知事会と連携をしながら、強く国に対し働きかけをしてまいりたいと、このように考えているところであります。
 以上、私のほうから、地方分権改革に係る最近の動きにつきましてお話をさせていただきました。

質疑応答

記者)
 子ども手当についてですが、知事によっては、地方負担分が発生した場合、その支払いを拒否するという態度を表明されている方もいるのですが、その点についての考えをお聞かせください。

知事)
 子ども手当に関しては、先ほど基本的な私の考え方は述べましたとおりでありますけれども、今の御指摘のように、何人かの知事さんたちが、さらには全国市長会の決議の中でも、事務の返上を視野に入れた断固たる態度で臨むと、こういったような方針が示されているということに関しまして、私も少なからず共感を覚えるものではあります。そういう強い姿勢で政府と協議をしていかなければいけないと思っております。
 ただ、具体の事務の返上といったようなこと、あるいは負担の拒否といったようなことにつきましては、現在、子ども手当の受給資格がおありになる世帯、こういった方々に与える影響というもの、しかもそれが2年度目であるという事実ですね、また一方で、どういう制度設計をお考えなのか、地方負担といっても、どの施策に関してどの程度の負担をといったこと等々、まだ具体的な姿が見えておりませんから、そういったものも全体を総合的に勘案をしながら、慎重に検討していきたいと思っております。

記者)
 一括交付金化の関係で、確認なのですが、総額確保と言われたのは、現行の補助金と同水準という意味合いでいいのかということと、現在3兆円のうち5,000億円程度とされていますけども、一括交付金化するのは、3兆円全額が望ましいとお考えなのでしょうか。

知事)
 一括交付金化に関して、総額確保についてでありますけれども、これはあくまでも今の政府・与党のほうで発想された改革ということなのですね。地方側が本来求めてきたという、スタートの議論ということに立ち返りますと、そういうものではないと。
 そういった中で、私たちは三位一体改革の二の舞にならないよう、すなわち5.1兆円の地方交付税が一方的に、かつ大幅に削減された、ああいったことにならないようにと、自由度を高める、しかし総額はしっかり確保してもらう。これが大原則だと思います。
 そういう意味におきまして、今回の3.3兆円の中の約1兆円というものの評価をどう考えるかについては、やはり3.3兆円の投資関係経費がしっかりと確保されて、その中に1兆円の今回の対象、しかし来年度はそのうち5,000億円ということになろうかと思いますけれども、それがはっきりと予算上も明記されている。すなわち、前年度と比較して全体で対象事業が減っていない。このことが一つ必要となるのではないかと思いますね。
 もちろん、投資的経費全体を何%どうするということが政策的に決まれば、それ以外のところでしっかりと確保していただくということだろうと思います。
 今後のことでございますが、一括交付金化、そういったことで、私たちがもともと発想して地方側から提案をしたものではないわけでありまして、しかし一方で、その理念とするもの、考え方とするものには、一定程度我々としても賛成をしながら、制度設計を期待を持って見守っているわけでありますけれども、今回の示されている案では、全体といたしましては、依然として地方の自由度拡大といったこと等々からすると不十分であり、全体としては満足すべき内容ではないと思っているのですね。
 したがって、今後どうなるかということについては、やはり一番大事なことは、もしも3.3兆円全体を一括交付金化されるのであれば、必ずその先の税源移譲、すなわち国税から地方税へその同額を税源移譲していくという次の段階のシナリオを明記をされる。これがなされるのであれば、高い評価ができると思いますが、そのことが示されていない、議論もされた痕跡がないといったことが、我々地方側からして満足できないということの背景にあるのではないでしょうか。

記者)
 県と市町村との関係をお聞きしたいのですが、権限移譲などは一部懸案があると思います。こちらの御所見はいかがでしょうか。

知事)
 同様に、国から県へということでありますから、県から市町村へという大きな権限移譲、そしてこれに伴う財源の確保の問題もあわせて、そういう方向でこれからもしっかり市町村と協議を進めていきたいと思っております。
 この点につきましては、事務の移譲の計画を、今回さらに新たな計画をつくって、今までパッケージ方式といったことでやっていたものを、今度はいわゆるメニュー方式といったものも新たに考えながら、市町村にそこから選んでもらうといったようなことで、移譲をしっかりやっていきたいというふうに思っておりますし、また県政事業にかかわるいろんな県と市町村との関係につきましても、国と県との関係、これが今後いろいろ具体化してまいります。その移譲計画に沿って、その動きを見ながら、県としてもしっかりと前向きに対処していきたいというふうに思っております。