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2024年2月15日知事記者会見

印刷ページ表示 ページ番号:0900043 2024年2月16日更新公聴広報課
会見写真

令和6年度当初予算の概要について

 私からは、2項目お話をさせていただきます。
 はじめに、令和6年度の当初予算案を取りまとめましたので、その概要をご説明いたします。
 まず、要求段階からの変動について、ご説明いたします。お手元資料1「令和6年度当初予算要求額からの増減」の「一般会計の計」をご覧ください。要求段階から6億9,900万円の増となり、予算額は7,505億5,100万円となっております。2ページ以降には、先般の予算総括協議会等での議論も踏まえ、私が追加した事業についてお示ししております。
 まず、教育の再生に係るものとして、(1)番では、教員の事務作業等を支援する教師業務アシスタントの配置をさらに拡大し、教員が本来の教育活動に専念できる環境の整備を進めてまいります。
 次に、産業の振興に係るものとして、(2)番では、近年の企業立地動向や企業ニーズの調査を実施し、結果を市町村と共有することで、産業用地開発を進めてまいります。
 次に、少子化対策に係る追加事業であります。
 (3)番をご覧ください。新生児の聴覚障害を早期に発見し、早期に適切な支援へつなげるため、検査機器の更新等を支援する対象医療機関を拡大いたします。
 (4)番では、おかやま子育て応援宣言企業「アドバンス企業」等へ奨励金の特別加算を行い、子育てと仕事の両立や女性活躍をさらに推進いたします。
 (5)番では、「おかやま縁むすびネット」の登録料の無料期間を1年延長するとともに、(6)番では、同窓会等の開催経費を支援することにより、出会い・結婚への支援を強化いたします。
 また、(7)番では、新たに実施を予定している「地域限定保育士試験」の合格者に対しまして、受験手数料を支援することを通じて、さらなる保育士の確保に取り組んでまいります。
 次に、防災対策等に係るものとして、(8)番では、河床低下対策や、これまでの取組の成果を維持するための再堆積・再繁茂対策を追加し、持続可能な河川管理を強化するとともに、(9)番では、緊急性が高い地域課題に、より早急かつ柔軟に対応できるよう事業調整費を増額いたします。
 このほか、(10)番では、性犯罪・性暴力被害者の精神的、経済的な負担を軽減するため、転居費を助成いたします。
 (11)番では、農林被害の軽減のため、市町村が行うシカ等の捕獲助成事業への支援の予算を増額いたします。
 (12)番では、EV充電設備導入のハードルが高い既築分譲マンションへの設置支援を拡充いたします。
 最後に、(13)番では、本県の魅力を発信するターゲットとして、万博を控え、今後国内外から多くの来客が見込まれる関西圏を追加いたしております。
 続きまして、お手元資料2「令和6年度当初予算のあらまし」をご覧ください。
 1ページですが、令和6年度当初予算の規模は、一般会計で前年度比6.4%、516億円減の7,506億円となっております。
 6ページをご覧ください。来年度当初予算では、財政調整基金を79億円取り崩すこととしております。
 7ページには、今後の財政見通しとして、向こう5年間の試算をお示ししております。
税収の増や公債費の減などにより、前回の試算に比べて、取崩額が減少する見込みであります。
 11ページをご覧ください。当初予算のポイントでありますが、教育の再生と産業の振興に加え、特に少子化対策に重点的に取り組むことで、生き活き岡山の実現に向けた好循環の流れをさらに力強いものにしたいと考えております。
 次に、12ページをご覧ください。これまでの説明と重複する部分もありますが、あらためて御説明いたします。
 少子化対策関連予算は199億円となっております。
 「出会い・結婚への支援」では、「おかやま縁むすびネット」の登録無料キャンペーンや、結婚を希望するカップル等が特典を受けられる「おかやま結婚応援パスポート」アプリの構築など、出会い・結婚の希望がかなう環境づくりを進めてまいります。
 「妊娠・出産・子育てへの支援」では、妊娠・出産・産後ケアまでを見通した地域モデルの構築ですとか、新たな少子化対策にチャレンジする市町村への伴走支援など、妊娠・出産から子育てまで切れ目のない支援を行い、こどもが健やかに生まれ育つ環境づくりを進めてまいります。
 「仕事と子育ての両立への支援」では、経営者等が子育て支援に前向きに取り組む意識の醸成や、男性の育児休業の取得等の促進、保育士確保のための広域エリアでの就職面接会の開催など、男女とも安心して仕事と子育てを両立できる環境づくりを進めてまいります。
 次に、17ページをご覧ください。「教育県岡山の復活」についてであります。
 主な重点事業でありますが、教職員の年金等給付事業の補助率の引き上げなどによる私学助成の拡充や、中学校3年生を対象とした英検IBAの受験機会の措置による授業改善に取り組んでまいります。
 また、近年増加傾向にある不登校児童生徒の支援のための教育支援センターの設置や、社会へつながることが困難な児童生徒を対象としたオンライン上の居場所確保にも取り組んでまいります。
 18ページをご覧ください。次に、「地域を支える産業の振興」についてであります。
 主な重点事業でありますが、企業の投資動向を踏まえた積極的なPRや市町村の産業用地開発への支援に取り組むほか、水島港の国際コンテナ貨物の取扱量を回復させるための荷主への補助を実施いたします。
 また、「森の芸術祭 晴れの国・岡山」の開催や大阪・関西万博からの周遊を見据えた観光キャンペーンなどの観光振興にも取り組んでまいります。
 19ページをご覧ください。次に、「安心で豊かさが実感できる地域の創造」についてであります。
 「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」に呼応した流域治水等の推進ですとか、市町村等と連携した地域公共交通の維持・確保への取組を進めてまいります。
 次に、20ページをご覧ください。県有施設等のキャッシュレス決済の拡大など、県庁のデジタル化の一層の推進と合わせ、教育や産業など各分野において、デジタル技術やデータの活用を促し、社会全体のデジタル化を推進してまいります。
 21ページをご覧ください。EVシフトへの対応に、引き続き、力を入れるとともに、県有施設の照明のLED化を推進するなど、県自らが率先的な取組を進めてまいります。
 令和6年度当初予算案の概要は、以上でございます。
 社会保障関係費の累増等に加え、物価高騰による行政運営コストの増などにより、厳しい財政状況が続きますが、そうした中でも、限られた財源を有効に活用し、教育の再生や産業の振興はもとより、喫緊の課題である人口減少問題に挑んでいくという私の決意を形にした予算になったと考えております。
 すべての県民が明るい笑顔で暮らす生き活き岡山の実現に向け、全庁一丸となって、庁外の関係者とも連携を深めながら、全力で取り組んでまいりたいと存じます。

令和5年度「おかやま子育て応援宣言企業」 岡山県知事賞贈呈企業の決定について

 次に、「おかやま子育て応援宣言企業」知事賞の贈呈についてでございます。
 県では、県内企業を対象に、従業員の子育て等を応援する具体的な取組を宣言いただく「おかやま子育て応援宣言企業」の制度を設けており、これまでに登録・認定された企業のうち、特に積極的に取り組み、模範となる企業に、毎年度、知事賞を贈呈いたしております。
 このたび、今年度の知事賞を「医療法人 自由会」と「株式会社 創心會」に決定し、来月22日に贈呈式を行うことといたしました。
 少子化対策を推進する上で、企業との連携は欠かせないことから、この「応援宣言企業」についても、さらに多くの企業で積極的な取組が進むよう、分かりやすい制度の周知や、登録・認定のメリットの向上等による充実・強化を図りたいと考えております。
 子育てと仕事を両立できる職場づくりなど、これまで以上に様々な施策を積極的に展開し、希望する誰もが、安心して子どもを生み育てることができる社会の実現を目指してまいりたいと存じます。
 私からは、以上でございます。

質疑応答

記者)
 当初予算について伺います。知事、3期目最後の予算編成となったわけですけれども、今回の予算編成、あらためてどういった思いで臨まれたかというのと、それから仮にこの予算を名付けるとするならば、何予算だと名付けますか。

知事)
 まず、名前は付けないことに。毎回全力で(予算を)付けているので。どういうことで今回の予算編成に望んだかということでありますが、予算というのは私の権限のうちの、最も大きなものの一つであります。予算と人事ということですので。この予算のために、去年の夏頃から、取り組んできたわけでございます。これまでと同様、とにかく一生懸命、前回立てた予算にどういう評判が立っているのか、それからどういう新しい社会の変化があったのかということで、常に限られた制約の中でベストを尽くそうと、これは一緒なのですけれども、大きく違うところ、これは知事査定の額にも表れていると思いますけれども、これまで私がずっと思っていたのが、とにかく長期間を見据えた最適化ということを考えておりました。その最適化を阻むものとすれば、短期的に、この予算で今年度褒めてもらおう、もしくは今年度、来年度あたりで成果を出そうというのが、私にとって最適化を阻む要因だと認識をしております。もう少しわかりやすく言えば、財政再建というのは、なかなか感じられないのですよね。岡山県の借金が1兆4,000億円なのか、1兆3,500億円なのかというのは、なかなか県民一人ひとり体感している人はいないと思うわけで、岡山県の財政を再建するということは大事だとわかっているけれども、そうは言っても、起債を認めてもらって、得られた新たな財源をここに入れる、あそこに入れるという方が、岡山県庁頑張っているじゃないかということで、積極性をアピールしたり、お金がそれぞれの分野に新たに行くわけですから、それは本当に喜んでもらえるということなのだけれども、それを続けてきた結果が、今の岡山県庁の厳しい財政状況だと。それがいろいろな治安の悪化だとか教育レベルの低下に繋がったではないかということで、とにかく20年、30年の県債を立てると、その返済は原則20年なのです。今、岡山県は30年のものも対応していますので、20年、30年を見たときに、何がベストなのかということで、どちらかというと禁欲的な態度で、今年の予算だけを考えると、何かもう2歩も3歩も踏み込めよということを言われるのは重々承知の上で、でも、財政が健全化することで、6年前の西日本豪雨のようなピンチのときにも出動できるし、チャンスがあったときに動けるということになるということで、これまで来ました。ところが今回、人口減少問題に本当に正面から取り組んでいくのだ、子どもが生まれるように結婚支援をするのだ、いろいろなことをするのだというときには、結局市町村といかに本気で取り組むかということが大事だなということは、これまで以上に、ひしひしと感じているところでありまして、あえて悪く言えば、これまで私は時間軸で言えば、最適化をしてきたということについては、今でも自負を持っているのですけれども、岡山県庁は岡山県における唯一の役所ではないわけでありますので、岡山県庁としての最適化をしてきたけれども、当然私は、他の市役所町役場等に対する何かコントロールを持っているわけではないので、それぞれのところで最適化をすることが、ある種当たり前なのですけれども、あえて批判的に言えば、それぞれの部分最適化をしているよねと言われても仕方がない。ぜひ市町村の役場にとっても、岡山県庁と一緒になって、少子化対策等いろいろな住民の皆さんから期待されていることに取り組もうというふうに言ってもらうためには、もう2歩、3歩踏み込んだ方がトータルで良いのではないかということです。これまでの知事査定というのは、基本的には象徴的なシグナリング、これについては小さいけれども始めることにしました、評判が良ければこれから増やしていきますからね、よろしくお願いします、ですとか、ここについては、私自身もう少し足すことにしました、これも評判がよければ、もっともっと足しますよという、ほとんどシグナルのような形で実額は小さかったわけなのですけれども、今回実額の大きな、たまたまですけども両方とも3億円ずつ積むということになったのは、これまでになかった動きです。これは双方ともに、市町村のそれぞれの地域の強い要望、市町村長から来た要望であったり、市町村の要望を県議の先生からいただいた要望であったり、そういったことを今回、これまで以上に受け止めて予算の形にしたというところが、これまでと少し違うところなのかなと思っています。あとは、少子化対策、人口減少問題にここまで正面から取り組んだ予算案はなかったということだと思います。

記者)
 人口減なのですけれども、取り巻く環境もどんどん厳しさを増していますが、そこへの認識というのをお聞かせください。

知事)
 実は、私、過去のいろいろ予算ですとか、もしくは選挙のときの公約ですとか振り返る機会があったわけなのですけれども、自分でも意外なほど人口問題については、1期目から、かなりうるさくしつこく言ってきました。ただ、自分自身なかなか伝わらないなということは、もどかしく思いながらきていました。それはどういうことかというと、人口の問題はジェットコースターに少し似ているようなところがあって、グーッと上がって、下がり出すときに、こんな(グーッと)下がり方はしないのですよね、こう(徐々に)下がっていく。下がっていきだしている最初の5年、10年というのは、そんなにすごい勢いで下がらないのですけれども、いよいよこれ下がりだしたなというと、ダーッと下がっていくという、この1年、2年でダーッと下がっていくということが、数字になって現れだした。これは、社人研(国立社会保障・人口問題研究所)を始め、普通にパソコンが使える人たちが、平均寿命だとか出生率を検索すれば、出てくる数字とほぼ変わらない数字が今、現実に出ているわけなので、そんなに人口のことについて勉強していた、研究していた人からすると全然驚くことではない。ほーら言ったよねということが起きているのですけれども、ただ、そういう予測が出ているというのと、実際そうなりましたというこの臨場感は大きく違いますので、同じ私が、少子化問題大事ですよねと言ったときに、反応がずいぶん違ってきたなと。これまでは、それはそうだけど、他にもっと大事なことはあるだろうみたいなことを言われたことが正直あったわけですけれども、今は少子化社会対策大事ですよねと言ったら、何を今頃言っているのだ、もっとちゃんとやれよみたいな感じです。私が1言ったときに、0.3じゃなくて、1.5ぐらい返ってくるという、そういう違いを感じます。ただ、危機感を持つというのは適切な対応でありまして、本当は20年前に持っておきたかった。団塊ジュニアの皆さんが、子どもをじゃんじゃん産める年齢のときにこの危機感があれば、全然違ったなというのはあるのですけれども、これは仕方がない。ここからスタートということだと思います。

記者)
 3期目の集大成ということで、この当初予算はどう執行して、県民がどう実感するかということは、非常にこれまで以上に問われてくると思いますが、これからどういった思いで進めていきますでしょうか。

知事)
 この5年、6年ということでいえば、私にとっては私の任期というのがすごく気になるものですから、1期目はとにかく将来への投資を頑張りましょうということで頑張ってきた。成果が少しずつ出始めて、非常に私としても手応えを感じていた最中に、西日本豪雨が起きてしまった。当然、教育の再生ですとか産業の振興、この努力はずっと続けるわけなのですけれども、どうしても目先のいろいろな思いですとか、予算が復旧・復興の方に集中するのは避けられないことですし、仕方のないことだと思います。私、財政再建の旗を一時的に下ろして、トータルの借金がいい勢いで減っていたのを、それを逆転させながら取り組んだわけであります。とにかく5年、小田川合流点付替え事業も5年ですし、復旧・復興、改良復旧も含めて、やはり5年程度で目処をつけなければいけないということで取り組んでいる最中に、これも全世界的なことですけれどもコロナがあって、そもそも外に出られない、人が集まることができない時期も何度もあったとなると、いろいろな施策にずいぶん支障があったということであります。非常にもどかしい思いをしながら、コロナによる死者をいかに防ぎながら、でも必要以上に、いろいろな県民の皆さんの普段の生活、もしくは産業活動に邪魔にならないようにするかということに苦労した3年半だったわけです。ようやくコロナが5類になりまして、復旧・復興ですとか、コロナといった負荷がずいぶん軽くなってきた。いよいよ我々のこの時間、予算、そういったいろいろなリソースをより良い岡山のために使っていく、元気な岡山、住みたくなるような岡山、将来の岡山を自分たちの手で引き寄せていく、本格的に取り組むことができる1年になるのではないかということで大変期待をしていますし、全国植樹祭ですとか、森の芸術祭ですとか、来年少し気が早いですけれども大阪・関西万博ですとか、いろいろなイベントがある。インバウンド、海外からのお客さんもずいぶん増えてきている。そういったことをいかに取り込んでいくのか、活用して岡山の元気に繋げていくか、非常に大事な1年になろうかと思います。

記者)
 端的に言うと、攻めていく1年ということでしょうか。

知事)
 そうですね、ありがとうございます。はい、そういうことだと思います。

記者)
 予算の関係で2つお伺いします。まず一点目なのですけれども、知事査定の中でありました少子化対策の一環で、同窓会等開催支援事業とあります。これは要求段階では上がっていなくて、新たに加わる事業だと思うのですけれども、この事業に込めた知事の思いですとか狙いを教えてください。

知事)
 これは、同窓会やろうよ同窓会やろうよということで、あまり私が期待したほど担当の理解を得られなくて、これどうなのですかということで、担当からは要求が上がってこなかったわけですけれども、私が、でもやっぱりやろうよということで付けた事業になります。どういうことかということなのですけれども、私はここでも何度かお話したかもしれません、少子化対策、とにかく子どもを増やすというときに、子育て支援、少子化対策イコール子育て支援だというふうに短絡的に思い過ぎているのではないかと。実は日本においては、結婚するかどうかというのが、この少子化、子どもが生まれるかどうかにも直結をしているということを、1年か1年半、もしかしたら2年ぐらい前かもしれません、そこからずっと唱えています。その根拠として、完結出生児数というのがある。この話は長くなるのですが、要するに、結婚しなくなっている。晩婚化、未婚化が日本の少子化の根本的な原因だというのが私の考えでありまして、とにかく結婚を早め早めに意識をして、行動を起こしてもらうことで結婚する人が増える、ある一定の年齢、それが40歳なのか何歳かになって、自分とすればもっと早めに結婚しておけばよかったというふうに後悔する人を減らすということで、個人的にも幸せになっていただき、社会としても子どもを増やすというときに、私、同窓会はすごくいいと思うのです。よく聞く話が、今の自分の会社で必死になって仕事をしていた。もう周りの人も一生懸命頑張っているから、結婚せずに残業続きで、休日出勤で頑張るというのが当たり前のような感じで、30歳、35歳まで来てハッと気がついたらみたいな、よくあるパターンなのですけれども、同窓会というのは、当然ながら同級生みんなそれぞれ違う仕事、違う人生のステージにいますので、そこに戻って話をする、そうだよ、毎日残業で35歳でも未婚で当たり前というのは、これが世の中の全てではないよなということに気づいてもらえる。私もそうでした。やっぱり同級生が結婚していくと、自分もちょっと結婚というのも人生のオプションとして考えなければみたいなことを思うわけでありまして、ぜひ同級生同士で、今の人生の棚卸をしていただいて、いや、当然それで今の人生も全く問題なしということで突き進んでいただくんだったら、それはそれでいいのですけれども、これはちょっとそう言えば、立ち止まって少し自分の時間配分を変えた方がいいかもしれないということになると、それはそれでいい気づきなのかなということで、ぜひ私とすれば、同窓会はいろいろ増やしたい、奨励したいと思っています。

記者)
 出会いの場ですとか、自分の人生をこう振り返って、結婚を選択肢に入れるようなきっかけにしてもらいたいということですね。

知事)
 はい、そうです。

記者)
 教育関係の事業なのですけれども、今回の事業を見ると、不登校対策に力を入れていると思うのですけれども、知事がこれまでずっと掲げてこられた教育再生という観点から、不登校対策というのをどのように位置付けられていますでしょうか。

知事)
 これも(知事に就任した)11年前を振り返ってみて、結構大変だなと。そもそも学級崩壊が頻繁に見られていたわけですので、非行率にしても暴力行為の発生率にしても、全国ワーストだったわけで、これは普通の子がきっちりと授業を受けられない、これは許せないということで、まず暴力行為と不登校、この二つが大きい問題だということだったのですけれども、一度に全部やろうとするとどれもできないということがありますので、不登校対策を頼んだよとは言いましたけれども、まず全力で取り組んだのは、荒れ対策です。荒れの場合は、1人の悪い生徒がいると周りの人が迷惑を受ける。不登校の場合は、その子にとってすごく大変なことなのですけれども、その手の迷惑は周りの子には掛けない。悪い子が1人か2人いるだけで、その学級のみんなが人生狂わされてしまう。荒れ問題は、すぐ徹底的に対応しなければいけないということで、学校警察連絡室設置で、岡山県内の学級崩壊、荒れ、暴力行為、これはワーッと下がっていきました。その問題に、ほぼ私の1期目を使ってしまいましたので、2期目は不登校対策だということで、とにかく県教委の皆さんと不登校対策頑張ろうねと。不登校は、その本人の人生にとって、ものすごく大きなマイナスになってしまうから、できるだけ早く(学校生活に)戻ってもらおうねということで、岡山県教委が対策のスタンダード、0から6までのそれぞれの症状、深刻度に合わせて、こういう対応を取りますという冊子、考え方を作ってくれまして、これはずいぶん評判が良くて、他の教育委員会からも何度も問い合わせや視察を受けていると聞いているわけなのですけれども、それで頑張ってもらっていた。また、今もやっている居場所づくりですとか、いろいろな他の地域でうまくいっている工夫も取り込んでいただいていたわけなのですけれども、岡山県の取組は、成果が出ている部分と成果が出ていない部分がありまして、出ている部分というのは、以前は(非行率や暴力行為の発生率などは)全国平均と比べても多かったのですよね。それをいろんな工夫で、全国平均よりは下げたという点では、頑張った成果は出ていると思いますけれども、今、ご案内のとおり、全国的に不登校の率がどんどん増えている。その大きな波には、岡山県、残念ながら巻き込まれておりまして、全国平均と比べると、どんどん相対的に良くはなっているのですけれども、岡山県の不登校の率はどうなのですかというと、やはり全国と同じく増えてしまっているという点で言えば、我々の努力は十分ではないということでありまして、とにかく我々の解決策を見い出しているわけではありません。一人ひとりで原因とかやるべきことは違うのだと思うのですけれども、ただ、我々が期待しているような成果が出ていませんので、もっともっとリソースを入れて、事態の改善を図るという予算にしています。

記者)
 解決策というのはなかなか一つではないと思うのですけれども、新規事業等を見ると、より一人ひとりが、国の方でも学びの保障という形で言っていますけれども、いろいろな居場所をつくることで、いろんな課題を抱えている子どもたちの居場所をつくったりとか、学びを保障するという、そういった狙いがあるという理解でよろしいでしょうか。

知事)
 私とすればより現実的な対応に舵を切っているという理解です。不登校なのですから、一番わかりやすい解決策は、お母さんごめん、やっぱり学校行くよと言って、翌日から学校に行ってくれれば、これで解決なのですよね。それが一番なのですけれども、なかなか今の状態、例えば自分の部屋からも出られない子もいれば、自分の家からは出られないとか、いや、外には出るのだけど学校には行けない、学校に行けるのだけど教室に入れないとか、それぞれの段階があって、普通に教室に行って普通に授業を受けるという状態に戻るのがベストなのですけれども、そこが非常にハードルが高いというときに、我々もそうですけれども、30センチぐらいの段ぐらいは、ひょいと越える、乗れるわけですけれども、それが1メートルとか2メートルになると、やっぱり階段を付けてくれないとなかなか登れないということで、まず学校に行きましょう、教室じゃなくていいですよとか、まずメタバースでもいいから、他の人と交流をしましょうというその階段、これまでは戻るところはここ(教室)に決まっているだろうということではなくて、とりあえずここ、とりあえずここということで、それぞれの状況に合わせて、今よりも、より復帰に近い状況を目指して、きめ細かく対応することによって、少し時間はかかるのかもしれませんけれども、教室への復帰、不登校の解消というところに導こうと、そういう考えなのだなと理解しています。それは私自身、現実的だと思っています。

記者)
 岡山市の新アリーナ構想について伺います。岡山市が市単独の建設の可能性も視野に、6月の補正予算の段階で判断するという考えを示しましたが、このことについて知事の受け止めをお願いできないでしょうか。

知事)
 昨日の報道を見て知った内容での返答ということですけれども、何か聞いていると、ボールが岡山県庁にあるような表現だったのが少し気になったわけですけれども、我々、私を含めて、ボールが県庁にあると思っている人は県庁内にはいません。我々が言っているのは、岡山県庁が県の予算を出すという理由について、県議会、県民の皆さんに説明をするための理由を教えてください、その理由がわからないようでは、一歩も動けませんよということは、ずいぶん前からお伝えしていますので。ボールは向こうにあるわけであって、何か月待たれても、このままでは何も動きませんので、ちょっと何を待たれているのだろうというふうには思っています。

記者)
 これまでも、県民や県議会への理解がこれでは難しいというようなことをおっしゃられていましたけれども、特に今、参画を判断するにあたって留意している点、例えば維持管理の問題なのか、今後作ったとしても、採算性にやはりまた疑義があるのか、参画を判断するにあたって留意しているポイントというのは、今、どういうところなのでしょうか。

知事)
 細かく言えばいろいろあるのだろうと思うのですけれども、100億円を超えようとする大事業にあたって、そもそもの同意がないのに、一方的に巻き込まれた形になっている。こんな事業の進め方というのは、役所同士もしくは民間同士、個人同士でもあり得ない話ですので、なんでそもそもこんなことが起きているのかという時点で、我々よくわかっていないわけですし、もし、今の状態で、何らか億単位の予算の支出をすることになれば、これは前例とすれば、恐ろしい前例を作ることになりますので。どの市役所も、ほぼ完成したものについて、いやぁよく考えたら、あと5億円足りないよ、県庁が出してくれたら完成するし、県庁が出さなかったら、いつまでたっても完成しないし、その責任は県庁にありますよと、これから言われることになるので、少しそれは常識としても、あり得ないだろうと思っています。

記者)
 予算の産業振興の絡みでお尋ねをするのですけれど、先ほどインバウンドが増えているとか、イベントがいろいろ控えているとのお話もちらっとあったのですけれども、知事もこれまで折りに触れて観光産業が、県の基幹産業だというような言い方をよくされていると思うのですが、あらためて、観光業が県にとって、どういう位置付けかということをお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。

知事)
 ありがとうございます。観光がどれだけ大事なのかというのは、私とすれば、100回でも言いたい。まだまだ皆さんの認識がちょっと、実際の観光産業の重要性を理解されている方の方が少ないというふうに思っていますので。観光産業は、お小遣い稼ぎの産業ではなくて、主要産業です。ヨーロッパのいろいろな国で観光産業というのは、その国のいろいろな産業の中で結構高い順位にあることが多いですし、GDP全体の、国によってずいぶん違うみたいですけれども、1%だ2%だというレベルではなくて、5%だ10%だという、本当に名実ともに、主要産業になっていることが多いです。我々としても、今は、観光業がGDPと比べてそんなにすごいことにはなっていませんけれども、逆にヨーロッパの例を、ヨーロッパで起きていることを見れば、観光産業はこれから3倍になっても5倍になってもおかしくないと思っています。また、今の統計では、この程度ということなのですけれども、実は他の産業と比べて、観光産業については、実際の産業の産出額、効果額と比べて、統計で捕捉できる率が低いです。これは仕方がないのですけれども、例えば鉄を作るということで言えば、JFEさんと日本製鉄さんに言って、それぞれのところに何万トン作りましたかと聞いたら、はいこうですと言って、知らないところで1,000万トン鉄を作っていましたみたいなことはありえないわけですけれども、観光産業の場合、昨日もアメリカとカナダから視察団の方が来られたわけですけれども、その方がホテルに泊まった宿泊料については、統計に上がってくるわけですけれども、その方がどこか普通のレストランで食事をされたり、コンビニで買い物をされたりとか、そういう金額は外国人観光客が来てくれたから上がった売り上げとして、分けて計上は無理です。なので、どうしても(統計から)漏れるのですよね。ですから、我々がわかっている観光の消費額よりも、実際にはこれが2割なのか3割なのかわかりませんけれども、実際の影響は大きいということですし、外国からお客さんが来られて食べるものというのは、大抵、地場で作ったものですので、農林水産業にとってもすごくいいことになりますし、例えば1週間の旅行で来られたのだったら、1週間人口が増えたのと同じようなことですから、いろいろな産業が、お客さんが増えた状態になります。今、人口が減っている、特に生産年齢人口の仕事をして消費をする人たちが減っているので、いろいろなものの採算が合わなくなっているのが、我々のいろいろな悩みなのですけれども、そこをわざわざボランティア的に外から来て、ワーッと消費活動をしていただいて、支払いもしていただく。外国に輸出しようと思ったら、誰が輸送費を持つのだ、税関どうするのだ、検疫どうするのだ、いろいろな複雑な面倒な手続きがあるわけなのですけれども、移動費だとか税関だとかも、為替だとか、全部あちら側の負担で、処理をしていただいた上で、日本円で買っていただける。本当にありがたい存在でありまして、そういう我々からすると神様みたいな存在の外国人観光客が、日本の滞在は楽しい、安心。犯罪とか事故の心配がほぼない上にみんな親切だし、(食べ物も)美味しいし、値段もそんなに高くない、これは円安ということですけれども、満足度が非常に高いわけですから、これからどんどん増やしていきたいと思っています。

記者)
 産業振興でもう一点、今回の査定で市町村の企業誘致を後押しするような施策も新たに盛り込まれていますけれど、産業振興の観点で、市町村と連携することに対してのお考えをお聞かせ願えますか。

知事)
 今、大前提として、岡山県庁としては、産業用地の開発を行っていません。これは、過去のいろいろな失敗の教訓ということで、そうなっているわけなのですけれども、ただ、今、例えば、昨年度は新しい投資が2,100億円を超えまして、非常に引き合いが多い。岡山県に投資をしようという意欲をひしひしと感じているわけで、用地は正直言うと足りていません。用地はなかなか厳しい中で、いろいろな民間の用地を使ってもらうとか、学校の廃校跡地を使う、いろいろな工夫で来ていただいているのですけれども、正直言って、用地が余分にあれば成立していた案件というのは、あるわけでありまして、もっと作りたい。そのときに今、あたかも岡山県庁が自分たちで作るかのように、いろいろな場面で関わって、かつ、リスクも我々シェアをして、当該市町村に億単位で貸付をしまして、その返済については、ゆっくり返済していただいて結構ですよ、その土地が売れたときに返済していただければいいのですよというところまでやっているのですけれども、いくつかまだ、欠けていると言われれば欠けているピースがありまして、市町村がこの土地はいいと思うのだけれど、どうかなというときに我々調査をしています。それどうですか、インターチェンジからの距離はどうですか、これなかなかいいですね、開発するのをおすすめしますよとか、正直言ってあんまり条件良くないので少し見通し暗いですね、みたいなことを我々正直にお伝えするのですけれども、市町村によって、非常に熱心にいろいろな案件を持ち込まれる市町村もあれば、いいとこあるのだけれど、なんかこの市町村自体動いてこないなというところがあるのも事実です。ザクッと言えば、人口の少ないところの方が熱心で、人口が多いところは少しのんびりしているというのが、我々の一般的な認識なのですけれども、そういうときに、企業側のニーズ、企業から見ると、やっぱりここはすごく引き合いが多いよとか、評判いいですよというのをこちらの方からお伝えをすることで、市町村の肩を押したい、背中を押したいということで、今回このような事業を新たに作ることにいたしました。とにかく、企業誘致が成功すると雇用が増えるということと、固定資産税がぐっと永続的に増えますので、それぞれの市町村にとって非常にメリットが大きいわけなのですけれども、ぜひ多くの市町村に、そのメリットを実感をしていただいて具体的に動いていただく。そこを、県庁がそれぞれのステージでしっかりサポートをして、この追い風を生かしたいと思っています。

記者)
 今回は総仕上げの予算ということですが、この総仕上げの予算によって何が実現されるのか、現状の成果と課題も交えて、県民に対してメッセージをお願いします。

知事)
 私はずっと、未来に投資をする、明日を楽しみにしながら今日頑張るという、これが大事なんだということをずっと言い続けています。これは会社の経営もそうですし、家庭の運営も個人の健康管理も、全て本質は一緒だと思っています。今日のことだけ考えて、美味しいものを食べて、運動をしないで、睡眠削って、テレビかネットをずっと見ていると、今日1日は楽しかったかもしれないけれども、それは明日以降、残念な思いをすることになるということでやってきているわけなのです。将来投資する中で大きいのが、やっぱり少子化対策、今我々の周りに起きている、例えばJR芸備線の話ですとか、もしくはそれぞれの小学校、中学校の(児童生徒の)人数が減って統合をしなければいけないですとか、もしくは介護の人材がなかなか集まらないですとか、いろいろな問題が大半、少子化問題とか人口減少問題に起因をしているわけであります。本来、これは時間がかかるものですから、20年前、30年前にしっかり対応をしてこなければいけなかった。アメリカ、ヨーロッパの俗に言う先進国は、そういった問題に対して、二つ、また違うアプローチをとります。自分たちの国民の子どもを増やすというフランスがとったようなやり方、もしくは、割り切って自分の国で生まれた人ではないけれども、意欲のある人を中に入れようという形で、俗にこれは移民ということかもしれません。EUの中は行き来が自由なので、EUの中であれば、移民というよりも単なる労働力移動、労働力調整ということになりますけれども、そういう融通をして維持をしてきた。日本の場合、どちらもやっていません。自国民の出生率を上げる大胆な政策も、国、都道府県、市町村レベルでこの20年やってきたとは言い難いわけですし、だからといって、先進国が取ってきたような、日本で生まれていないかもしれないけれども、意欲のある人については、永続的に受け入れますということもしていないわけでありますので、それだけに、他の国よりも本気で少子化対策、出生率の問題に取り組まなければ、本当に大変なことになる。これが私にとって、今一番気がかりなことでございます。


記者)
 知事は、教育と産業、これを2本柱に進めてこられましたけれども、足元では、いわゆる若者といいますか、生産年齢人口の話も先ほどありましたけれども、県外流出というのが非常に大きくなっています。ですから、いくら教育で人材を育てても、それが外へ出ていけばこれは減っていくわけであって、先ほども住みたくなる岡山に引き寄せる1年になるということを言われていましたけれども、岡山県が若者を含めて選ばれるための対策というのを、今回の予算でどのように措置をされたのか、教えていただけますか。

知事)
 岡山県も、お隣の広島県もそうですけれども、若い人が出ていってしまっている。これ自体、本当に悔しくて残念なことでありますけれども、そういった流出が起きていないところは、どうして起きていないのかということを考えると、そうはなりたくないということでもあったりします。どういうことかというと、どことも言えませんけど、大学進学率が非常に低いですとか、もしくは何かチャレンジしようという意欲が湧かないような空気が、その地域を覆ってしまっている場合、外に就職等で出ていくこと自体が難しい。本人が手を挙げても難しかったり、もしくはそもそも手を挙げるということを諦めている人が多い場合には、そういう流出は起きないわけなのですけれども、それはそれでまた別のより大きな問題だと思っています。もし、岡山県の成績、学校は荒れまくっているし、成績が(全国順位の)40位台でずっと低迷をしている場合、なかなか県外の大学に合格をするですとか、県外の企業に採用されるということが難しくなりますので、消去法的に岡山に留まるということになる人は増えるのだと思うのですけれども、それが、岡山がより元気になる、岡山に住んでいる若い人たちが、より有意義な暮らしをすることに繋がるかというと、必ずしもそうは思えない。少し話が飛ぶのですけれども、中国が本当に悔しいぐらい発展をしています。わずか20年、30年前まで、なかなか大変そうだなということを横で見ていたわけですけれども、中国がやったこと、いろいろやったわけですけれども、大きなことは二つあったと思います。一つは、外資を取り入れた、日本と比べてもう大胆に外資を取り入れました。車にしてもフォルクスワーゲンと組みましたけれども、そうやったら自分たちの自動車産業なんて育たないのじゃないかみたいな心配をするエコノミストがいたわけですけれども、とにかくこれから自分たちで作ってもどうやっても間に合わないっていうことで、どんどんいろんな会社に、国内に入ってきてもらったということと、あともう一つは、留学生をどんどん外に出したということがあります。それは増流出になるのではないか、優秀な人がどんどんアメリカを中心に行って、いや戻ってこないのではないかという心配もされていたわけです。当然戻ってこなかった人もいるわけなのですけれども、結果を見ると、結構な割合で戻ってきました。その人たち「ウミガメ」というふうに呼ばれて、最近ウミガメという言葉を使っているかどうか知りませんけれども、アメリカやヨーロッパ、日本も含めて、海外で学んだ留学生が中国に戻って、中国の経済発展を支えたということがあります。私自身は外に出ないことで、何とか維持をするこの鎖国的な安定を求めるよりは、外からの投資を受け入れて、外に勉強に行く、武者修行に行くことも認めながら交流を活発にして、最終的に元気な場所にするというのが、私は本筋だと思っています。その途中で、かっこ悪い数字が出ることはあるかもしれませんし、必ず明るい未来に繋がる保障はありませんけれども、それを怖がって自ら境を閉じるようなことにしてはいけないと思っています。あともう一つは、外に勉強に行った、もしくは一旦就職、武者修行に行った人が帰ってきたくなるような岡山にするというのも、非常に大事なことでありまして、時々聞かれるのは、これは本当に残念で申し訳ないわけなのですが、先ほどの仕事を一生懸命やっているうちに結婚するタイミングを忘れたというのと少し近い話ですけれども、東京で楽しく大学生活をしながら就職活動、忙しくワーッとやっているうちに、岡山好きだし、岡山に戻ってもいいと思っていたんだけれども、岡山の企業について詳しくないまま、岡山の企業を受けるということが忙しいうちにやらないまま、東京で就職先を決めてしまったのだという、これは勿体ないと思っています。それぞれの人の人生がかかっていますので、いろいろな選択肢があって、岡山の企業からも内定をもらったけれども、最終的に大阪の会社にした。これを別に私はいけないことだとは思っていないのですけれど、岡山の自分が生まれ育った場所の会社を知らないまま、そこの試験を受けないまま就職活動を終えてしまうと、これは何とかしなければいけないということで、今回の予算でもバスツアーに代わるオンライン企業見学ツアー(※「バスツアー」を修正)ですとか、オンラインの就職面接等ができるようにとか、インターンシップが受けやすくなるようにですとか、いろいろなメニューを取り揃えて、ぜひ県外に勉強に行った人も、岡山の企業をどんなものがあってどんな良さがあるのか、そこで働いている先輩がどういうふうに思っているのかというのをわかった上で、就職先を決めてもらいたい。それで私は今、他の地方の県もそうですけれども、外に勉強に出た人のUターン就職率がなかなか高くない、上がらないという問題、岡山県も同じ悩みを持っているわけですけれども、ちょっとずつでも状況を改善することは、私は可能だと信じています。

記者)
 今回の予算で力を入れられたということでよろしいですか。

知事)
 そうですね、これについては、他の県にも問い合わせたのですけれども、県外の大学に進学した人が、県内にUターン就職しているかどうかという調査を、岡山県ほど詳細にやっている県は非常に少ない。一番わかりやすいところで、ザクッと傾向を調べているという県がほとんどでありまして、我々はできるだけ詳しく、正確な数字を追いかけるために、今でも母数データをいただく大学(※「母数」を修正)を少しずつ増やして調査をしています。当然ながら、そういうことをすればするほど、岡山県から外に出ているということが明らかになるわけですけれども、とにかくデータがわからないと改善のしようもないということで、そこについては2、3年、4、5年前から、我々非常に熱心に取り組んでいます。

記者)
 新アリーナ建設について、先ほど、ボールが岡山市役所にあって、今は理由が不十分ということだったのですけれど、この状況だったら、もう県はアリーナ建設に参画しないし、費用も負担しないということでしょうか。

知事)
 新たな、ああそういうことならというような提案がなければ、何かここから状況が動く理由はありません。

記者)
 知事自身のお考えとしてお伺いしたいのですけれど、新アリーナは必要か必要でないかと言ったら、どちらでしょうか。

知事)
 岡山市が新アリーナを作るということについては、そうなのだろうなということで見ていたわけですけれども、新アリーナについていろいろな意見を持っている人がいらっしゃるわけでありまして、それがどの程度必要なのか、コストをどれぐらいかける必要があるのか、それは多分、いろいろな調査をされれば、よりわかるのではないかなと思います。

記者)
 知事自身のお考えとしては、現時点では必要ない、ということでしょうか。

知事)
 スポーツ施設、いろいろ必要とされているものがあるわけですけれども、体育館は既にジップアリーナがあって、浦安にも体育館があったりとか、いくつか県内にも体育館ありますけれども、それでも足りないという意見があるのもわかっています。サッカー専用のスタジアムについても足りないっていう話もありますし、どういう順番でやるのか、いろんな意見がありますよね。まあどうなのでしょう。

記者)
 アリーナの件で、参画しませんという答えを出すことも、これまで何度かタイミングがあったと思うのですけれども、それもしなくて回答していないというのは、まだ協議の余地があると思われているのでしょうか。

知事)
 事務的な協議は続いているわけですけれども、根本的なところについて提案ですとか説明がないので、こういうレベルの協議であれば、我々が動く可能性はないですよというのは、前回もお伝えしたと私は思っていますけれども。

記者)
 その協議の中で、こういうことが出てきたのか、じゃあやってもいいかなというような新たな理由、説明があったりすると、その可能性も残されているから回答できないということでよろしいでしょうか。

知事)
 そうですね、ただその気配は一切ないですよね。

記者)
 予算の話で、少子化対策の取組は結構あると思うのですけれども、中でも強調したい取組とかがあれば教えてください。

知事)
 少子化対策に関して、できることは何でもやるっていうのが、今回の我々の思いであります。先ほど少し言いましたけれども、少子化対策イコール子育て支援というのは、私、少子化問題関係の本、本屋さんで見つかるようなものは、ずいぶん読んでみました。いろいろな方がいろんな分析をされて、必ずしも全員が同じ考えでは当然ないわけですけれども、ただ、多くの方が過去5年くらいで言われていることは、日本は少子化対策で、子育て支援は不十分かもしれないがすごく頑張ってきたけれども、そこではないのだと。結婚したカップルは、50年前も30年前も10年前も、結構子どもを産んでくれているのだと。結婚したカップルが、産む子どもの数は減ってはいるけれども、ほんの少ししか減っていない。逆に言えば、意外と安定をしているというのが、いろいろな方がその本で指摘をしていることなのです。50年前の完結出生児数、結婚をしてから15年から19年のかなりの年数経ったときに、何人のお子さんがいましたかという数ですけど、これ社人研が数年ごとに統計を取っていますけれども、50年前の時点で例えば2.2前後(※「2.1」を修正)など2人を少し上回っています。そこからスーッと落ちてきたのですけれども、直近(2021年)の数字が1.90です。10数%しか落ちていない。合計特殊出生率が4割減っているこの50年間で、実際にはお母さんになれる人の数が減っていることもあって、出生児の数は50年前と比べて4割ではなく6割減っています。急減をしているのですけれども、結婚をしたカップルに生まれる子どもの数は、わずか10数%しか減っていない。だから、かなり安定をしているのです。みんながみんな、結婚したのに子どもを産まなくなったとか、一人っ子当たり前になったわけではないのです。では、何でこうなったのというと、結婚しない人がすごく増えたということです。15年前、20年前、まだ団塊ジュニアの方が子どもを産める年齢だったときには、これはどういうふうに説明されたかというと、晩婚化と言われていました。これまでだったら、もう結婚しているはずの人が結婚してないね、結婚遅らせているのだ、大学進学率が女性も含めて上がっているので、以前だったら高校卒業して、さあ何年かしているうちに結婚をしたり、短大を卒業して、何年かしたら結婚をした人が4年制大学を出て、特にそれで総合職で就職をするとずいぶん期待をされるから、結婚を考えるタイミングはこれまでより遅れるのだろうなというふうに思っていたら、35歳になっても40歳になっても、結婚してなくてという、今50歳のときに結婚していないことは、生涯未婚率とは言わなくなりましたけれども、事実上子どもを産む、産める年齢をほぼ過ぎるまで未婚でいるというのは、晩婚化というよりも、最近は未婚化と言った方がいいのではないかという人も多くなってきましたけれども、結局、結婚をされていない人が、同世代の中で増えてきたことによって、子どもの数が減っている。これが非常に日本に特徴的な少子化の現状だということで、35歳、40歳、45歳で結婚をしていない人が、いや、これは私が選んだ道なのだということであれば、これはもう仕方がないです。我々、その人の意思をこう変えるという、そういう社会ではないですから。ですけれど、ただ、いろいろなアンケートがあって、アンケートによって結果は違いますけれども、結構な割合の人が、45歳の自分を振り返ってみて、自分とすれば、あのときに仕事を優先するのではなくて、あのとき付き合っていた人と結婚しておいた方が、自分は幸せだったかもしれないなというふうに答える人が、そこそこいらっしゃるということを考えると、そういうことを今の若い人に繰り返してもらわないというのは、ご本人の幸せにも確率的に繋がりますし、全体の出生率の向上にも繋がることなので、ぜひそういった先輩の男性、女性、お兄さん、お姉さん方の体験をわかった上で、若いうちに人生の決断をしていただきたいというのが私の思いです。

記者)
 都市公園事業の岡山市の負担金50%の件なのですけれども、岡山市長が支払う気はないということを会見の中で明言されました。その後、協議などはどのように進んでいるかというのを教えてください。

知事)
 新アリーナの方は、元々法的根拠がなくて、合意もない中でお金を払ってほしい、払ってくれないと事業が遅れるということを言われているわけですけれども、建設事業費市町村負担金については、それとある種対照的なものでありまして、法的根拠がある。これは都市公園事業ということで、都市公園法でこの手の施設は本来市町村が作ることになっているわけなのですけれども、施設によっては、そこで県大会をするとか、いろいろな理由で都道府県が作ってもいいことになっています。ただ、受益というのは、その市町村に集中することになりますので、県が作った場合に、その費用を市町村と分担することができる。県から見ると、当該市町村に請求することができるということになっています。法律でなっています。それで施設を作って、運動公園については、施設の建て替えですとか、もしくは改良をするときには50%ずつ払いましょうね、実際には国が50%で、残りを(県と岡山市で)50%ずつ払いましょうね、普段のメンテナンスについては所有者である県がやるという、そういうことで合意文書を作って、それは県の条例にも則っているということで、かつまた、今回の工事については3年前か、4年前かに、こういう工事をしますよ、毎年こういう費用が発生しますよということをお伝えして、合意をして工事が始まっているものについて、途中で払わないというふうに言われているわけですので、協議そのものは、50%が高いという趣旨で何とかこれは変えられないかっていうことですね。これは条例ですので、条例というのは、要するに国会で作ると法律ですし、県議会で議決をすると条例で、県の法律である条例があって、その条例を変えるべき理由は何ですかという話をしているときに、この支払いはしないということですから、それは法律違反ですよね、条例違反ですよねと。法律を変える、例えば審議をしている、例えば税制改正をしている最中に、いやこれはちょっと私、税金払えませんとか、私が決めた税率で払いますというのは、普通税務署はOKしないわけでありまして、少しそれに近い感じで、協議は協議なのですけれども、今進んでいるものについては、条例どおり、もしくは数年前の合意どおり支払っていただくのが当たり前ですので、ちょっと不思議なことが起きているなという、いろいろな根拠があるものを払わなくて、根拠のないものを払えと言われているものですから、我々からすると、もう本当に訳がわからないという状態です。

記者)
 新アリーナについてですが、岡山市の大森雅夫市長は、市単独での整備を排除しないというようなご認識を示されておりましたが。

知事)
 元々そうなのですから、もう当たり前の話だと思うんですけれど。

記者)
 負担金でお伺いしたいのですけれども、まず今年度分の負担が、火災報知機とかLED照明の設置などだったと思うのですけれども、それはメンテナンスではなくて、都市公園事業に当たるのでしょうか。

知事)
 はい、都市公園事業に当たると考えています。それについては、我々の判断もそうですけれども、火災報知機の更新それからLEDの設置については、設備全体を新しく作り直すということでありまして、国からも交付金対象となる都市計画事業だと認められています。都市計画事業でなければ、先ほど言った、国からまず半分というのが認められないわけです。メンテナンスであったら、いやこれはメンテナンスなのだから、県が払うべきですよ。なんで国が払うのですかという反応が国からあるわけなのですが、国の方からも、これは都市計画事業ですねという認定が出ていることについて、何で岡山市がそれを認めないのかというのは、ちょっとよくわからないですね。

記者)
 条例で決まっているのはわかるのですけれど、去年1回知事と岡山市長で協議に基づいて支払うという文書を交わしています。だからこそ、今日現時点での協議の段階では支払えないと、岡山市長が先週言っていたと思うのですけれど、今、負担金に関するボールは、県にあるのか岡山市にあるのかどちらなのでしょうか。

知事)
 これは条例で決まっている契約をした。契約があるだけで、払うのが当たり前ですし、条例があるわけですので、我々とすれば請求をしないことで、県の条例に我々が反していることになります。払わないということで言われたので、いろいろ協議をしましょうということにはしましたけれども、我々としても、事を必要以上に荒立てたくないので、穏便に協議をしましょうとは言いましたけれども、そもそもこれ払ってもらうべきものですので、何か払わないのが当たり前だとか、期限は自分たちで決めるというのは、ちょっとそんなこと、例えば納税に関して、税務署に対して言えるのだろうかというのは思います。

記者)
 予算資料53ページのJRの利用促進についてお伺いします。これまでも利用促進事業はいろいろやられたと思うのですけれども、イベントとかキャンペーンなんかやった際には、一時的に観光客の利用で賑わうと思うのですけれども、JRが求めているのは、日常的に沿線住民の方が多く利用するという姿が本来の鉄道事業というふうに言われているのですけれども、今回見ると、新たな利用者の獲得に繋げる事業というふうにありますけれども、沿線の人口も減っている中で、新たな日常的な利用増というのは見込めるのかどうか、どういう姿を知事としては目指しているのでしょうか。

知事)
 言われるとおりでありまして、過去、ずいぶん我々とすれば、気合を入れて行った利用促進事業が検証をされたときに、本当に言われるとおり、土日、祝日は増えるけれども、なかなか普段使いの平日の底上げに繋がっていないですねというJR西日本からの指摘は、まさにデータを見ればそのとおりだと思います。我々とすれば、イベントで増えることも、増えないよりはずっと良いことだと思っていますけれども、普段使いの平日の利用客が増えるというのが本筋。そこが非常に大事だという認識については、JR西日本さんと変わっているつもりはありません。ただ、だから利用促進事業そのものがもう無駄なのだというのはどうなのかな。例えば、急に大袈裟になりますけれども、人口減少対策、実はもう私1期目から結構、私なりに力を入れてやってきたつもりなのですけれど、結果はこのとおりです。他の県も大体似たようなことになっていますけれども、だからといって、もうこれはやっても仕方がないのかというと、それは諦めるつもりはありませんよというのに近いところがあって、やっぱり道路はどんどん便利になる、以前贅沢品だった自動車が、軽自動車も含めると一家に1台どころか、大人一人に1台みたいなことになって、駅の近くに住んでいる人でも、十分車で病院に行くから、買い物に行くから、別に(鉄道を利用しなくても)いいですよということが起きているのも、これは認識をしていますけれども、ただ、よく言われている高年齢になってくると、運転が危なくなってきて免許証を返納せざるを得なくなり、ではどうするのですかというときには、やっぱり地域にそういった交通手段、公共交通機関があるというのはすごくありがたいことで、これまでは駅までのアクセスがなかなかうまく整備できていなかった。車に乗っている人にはその(公共交通機関を利用する)ニーズがないわけですから、そういう状況が変わると、また別の利用促進のチャンスが出てくる可能性は十分ありますので、我々の方から諦めることはしない。ただ、過去のいろいろな事業が非常にうまくいっているかというと、そうではないのも事実だということです。

記者)
 新アリーナの件で、岡山市役所は先延ばしの理由として、県の協力がないからというよりは、県からの明確な回答が得られてないという言葉の使い方をしていると思うのですけれども、岡山県として参画するにしてもしないにしても、しない可能性が高いかなとは思うのですけれども、6月までの段階で、協力ができませんという形でのメッセージの伝え方をされるということはあるのでしょうか。

知事)
 現状レベルの協議であれば、我々が動く可能性はありません。こういうことなのか、こういう理由であれば県議会に提案できますよというような、ずいぶん違う提案ですとか理由が示されれば可能性はゼロではないということを言ってきたわけです。けれども、今のレベルの説明であれば、おそらく我々が動く可能性は1か月、2か月待ったからといってありません。

記者)
 期限の段階でレベルに達していなかったら、もうできませんという形でお伝えされるということですか。

知事)
 そもそも、我々として本格的な協議に何も入ってない状態ですから、待たれても困るというようなことですよね。我々が本気で検討するような材料をいただけなければ、本気の検討に入れないのですよということをずっと言い続けているわけですから、待たれても困るというぐらいのことですよね。

記者)
 本気の検討のためには、何が必要でしょうか。

知事)
 今の理由では全く不十分ですので。一般的にも、岡山市がずっと続けてきた事業に、突然他の主体に資金的に参画してもらおうと思ったら、相当の理由が要ると思うのですけれども、その相当の理由に遥かに及んでいないわけですから。

司会)
 それではこれをもちまして、知事定例記者会見を終了いたします。

知事)
 ありがとうございました。

2012年の記者会見