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2017年1月13日知事記者会見

印刷ページ表示 ページ番号:0500202 2017年1月16日更新公聴広報課
会見写真

平成29年度当初予算要求額の概要について

 皆さん、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 まず、平成29年度当初予算について、本日、各部局からの予算要求をとりまとめましたので、その概要をご説明いたします。
 平成29年度の予算要求に当たっては、広がり始めた好循環の流れを加速させるため、内容の充実と強化を図りながら現在策定を進めている「新晴れの国おかやま生き活きプラン」の初年度であり、「成果が実感できる県政」を力強く推し進めるための予算編成とするよう各部局に指示していたところでございます。
 資料1ページ「1 要求額」をご覧ください。
 まず、一般会計の要求総額は、6,914億7,800万円となり、前年度当初予算を3.8%、約276億円下回る要求となっておりますが、これは、平成26年に成立した第4次分権一括法に基づき、これまで県が負担していた政令指定都市内の小・中学校における教職員の給与負担を岡山市へ移譲することなどによる人件費の減が主な要因であります。
次に、特別会計は2,537億9,100万円で、前年度比0.1%の減、企業会計は107億5,100万円で、前年度比17.3%の減となっており、これは、電気事業会計、工業用水道事業会計ともに、建設改良に要する経費の減が主な要因となっております。
 資料2ページ「4 要求額の内訳」をご覧ください。
 まず、義務的経費については、前年度比4.8%、約261億円の減となっております。
 このうち、人件費が前年度比14.9%、約334億円の減となっておりますが、このうち、岡山市への移譲分が約318億円を占めているところであります。
 公債費については、昨今の金利の動向を踏まえ、想定利率を引き下げたところでありますが、元金償還費の増などにより前年度比3.3%、約35億円の増となっております。
 また、社会保障関係費については、自然増や社会保障の充実分の増に加え、平成30年度から県が財政運営の責任主体となる国民健康保険への財政支援の拡充などもなされることから、前年度比5.0%、約48億円の増となっております。
 その他については、主に税関係の交付金などを計上しておりますが、前年度比0.8%、約10億円の減となっております。
 次に、一般行政経費については、国からの補助金を原資とした基金事業が終了することなどから、前年度比0.8%、約8億円の減となっております。
 次に、投資的経費については、道路、橋りょう等の維持修繕や、その他として計上している施設の大規模修繕事業などが増となる一方、補助公共や国直轄事業負担金の減額を見込んでいることなどから、前年度比1.0%、約7億円の減となっているところであります。
 資料3ページ「5 新晴れの国おかやま生き活きプラン(案)に基づく主な重点事業」をご覧ください。
 まず、教育県岡山の復活についてでありますが、(1)番の「確かな学力の向上」、(2)番の「落ち着いた学習環境づくり」(3)番の「学校警察連絡室活動の更なる深化事業」は、それぞれ、これまで実施してきた事業内容を拡充、追加したものとなっており、教員の負担軽減のための教師業務アシスタント、運動部活動支援員や、スクールカウンセラーなど各種人員の拡充も盛り込まれております。また、(4)番では、学生はもとより、教える立場にある教員を含めた人材育成に取り組む「グローバル化に対応した教育の推進」など、教育の再生に向けた事業が挙がっているところであります。
 次に、地域を支える産業の振興についてでありますが、(1)番の、大規模補助金の要件変更による企業誘致優遇制度のリニューアルや、空港南産業団地の開発などを行う「戦略的企業誘致の推進」、(2)番の、インセンティブ制度を呼び水に国際競争力と地域経済の発展を図る「水島港機能強化事業」、(5)~(7)番の、観光関連のインフラ整備やコンテンツの充実を図る、「公衆無線LAN環境整備推進事業」、「おかやまハレいろキャンペーン」、「岡山後楽園の魅力づくり」、(8)番の、儲かる農業としての白桃やぶどう等の供給力強化を図る「園芸作物の供給力強化対策」など、産業の振興に向けた事業が挙がっております。
 次に、安心で豊かさが実感できる地域の創造についてでありますが、(2)番の、マッチングシステムの導入や広域的な出会いイベントによる結婚支援、特定不妊治療への助成などを行う「結婚・出産サポート」、(3)番の、潜在保育士の復職支援や、放課後児童クラブ、病児保育施設の整備・運営の支援などを行う「子ども・子育て支援環境の充実」、(4)番の、子どもの貧困についての実態やニーズの調査、児童養護施設退所者等への相談・支援などを行う「子どもの未来を応援する環境づくり事業」、(7)番の、事故原因や危険箇所を分析し、事故防止のためのガイドラインを作る「ストップ!!用水路転落」、(10)番の、古いバスの更新の加速により大気汚染物質等の発生抑制を図る「環境対応バス導入加速事業」などが挙がっております。
 資料4ページをご覧ください。
 おかやま創生推進連携プロジェクトについてでありますが、(3)番の、シンポジウムや企業への出前講座などによりワーク・ライフ・バランスを推進する「おかやま「仕事」と「家庭」両立推進事業~働き方改革~」、(4)番の、異業種等との連携により、革新的な価値の創出を図る中小企業を支援する「オープンイノベーションの活用促進事業」、(7)番の、都市部の学生等が働きながら地域住民と交流する環境を整え、地域の活力創出や移住につなげる「岡山県ふるさとワーキングホリデー事業」、(8)番の、市町村の行政課題に、連携して解決策と事業化モデルを開発する「地域課題解決支援プロジェクト」などが挙がっております。
 以上、これらの内容を見てみますと、私の指示を踏まえ、好循環のエンジンである教育の再生と産業の振興をはじめとする諸課題に対応するための事業が挙がっておりますが、内容を精査の上、「生き活き岡山」の実現に向け、私がより一層力を入れたい部分でさらに必要と感じるところへの事業の追加などを行いたいと考えております。

平成28年中の交通事故死者数について

 続きまして、2016年中の交通事故死者数についてであります。
2016年中の県内における交通事故死者は79人で、昨年より8人減少し、4年連続の減少となりました。
年間の死者数が80人を下回るのは、1952年以来64年ぶりであり、関係機関・団体の方々と連携しながら、各種交通事故防止対策を推進してきたことが、このような結果につながったものと考えております。
 しかし、近年、高齢ドライバーによる重大交通事故が多発傾向にあり、その防止対策が社会的課題となっていることなどを踏まえますと、今後も交通事故防止に向けた努力が必要と考えております。
 県としましては、高齢ドライバーの身体機能の低下による事故防止対策も視野に入れた総合的な対策を推進し、悲惨な交通事故を1件でも多く防止してまいりたいと存じます。
 私からは、以上でございます。

質疑応答

記者)
 今回、今は要求段階ということなんですが、知事が1期目のときも教育と産業を最重要課題という位置づけで進めてこられているかと思うんですけども、今回予算編成に当たってそのあたりはどういうお考えで進めていかれるお考えでしょうか。

知事)
 私は1回目の選挙のときから、教育の再生と産業の振興というのが全ての分野に好循環をもたらすものである、好循環のエンジンになるということを訴えてまいりました。幸い1期目の4年間の仕事を通じてその信念、思いは揺らぐことがありませんでした。また、2回目の選挙でも、いろいろ不確定な要素がある中で考えたことではあったけれども、さらに勉強する中で、これについては今も思っていますということで皆様方に説明をし、選挙の結果、もしくは選挙中のいろいろなやりとりからもご理解をいただいたと思っております。ですから、今回の予算に当たってもこの2つのものがきちんと重点的に取り組むよう各部局にお願いしましたし、そういう要求になっていると私は考えています。
 あと、この1期目の途中で全国的にも注目された人口減少問題、これについては私自身、思っていながらもあまりどんと表に出すことが県民の皆さんの理解を得られるかという点でちょっと自信がなかったわけでありますけれども、増田元総務大臣のあのすばらしいプレゼンテーションによって国策ということになったわけですから、堂々と人口減少問題への対応、これは我々は「おかやま創生総合戦略」というものを作ったわけですから、その総合戦略に沿った形の予算要求ということをお願いしましたし、私はほぼそういう形になっていると考えます。

記者)
 同じく予算のお話についてなんですけど、今のところ概算要求の段階ではあるんですけども、知事として総括としてこの案についてのお考え、ご感想をお願いします。

知事)
 資料の1ページ目の当初予算の推移をご覧いただくと、私の就任以降、一度ぽんと上がったところがあります。このH27というところがあって、今回ぽんと下がっているということなんですけれど、上がったところは消費税増税によって上がったと。トンネルのように、県に入って、市町村に出すというところが主な原因でありました。今回下がったものの一番の原因は、小・中学校の先生の給与、岡山市分を岡山市が直接負担するようになったということでありますので、総額ということでいえば、私自身、アクセルをぐっと踏み込んだわけでもなく、急ブレーキを踏んだわけでもありません。とにかく税収を増やす努力、あと交付税については国に是非しっかり出していただいて、その財源をいかに工夫して使うかということにこれまで努力をしてまいりました。私自身もいろいろ会話、対話を続ける中でも、小さな予算でもしっかり効果が出るようにしてほしいということをお願いしたとおりと、小さなものについても非常に楽しみであったり、効果が出そうなものが要求されているということでありまして、大きな流れはこれまでと余り変わらず、大きなばくちをするのではなくて、いろいろな種を今からでもまいていって、是非県民の皆さんに成果を実感していただけるような予算にしてほしいとお願いをしましたし、そういう今の時点で手応えを感じています。

記者)
 知事は以前から、集中と選択を続けたいとおっしゃっていました。一方、知事が肝いりで始められた頑張る学校応援事業の年間3,000万の資金支援はなくした、この辺の意味と意義をお伺いします。

知事)
 私自身にとって頑張る学校応援事業の一番大事なところは、それぞれの学校の先生、特に校長先生が非常に悩まれて、人も足りない、お金も足りない、問題は山積している、どうすれば回っていくのか、より良くなっていくのかということを本当に真剣に悩まれているにもかかわらず、多くの校長先生がその周りの学校、特に自分たちの学校と状況が似ている学校が、過去どういう先生がどういう対策をしてどうなってきたのかということをほとんど知らずにいたということが私の大きな問題意識でありまして、大変だけど、この学校はこういうことをして状況を改善したんですよということを教えてもらって、これは他にも参考になりそうだというものを選んで発表する。それを取り入れて、うちでもうまくいったよとか、うちはちょっと違ったみたいだ、そういう、それこそPDCAをそれぞれのところで回してもらうということを是非この県下の小・中学校で当たり前にしていきたいという思いがありました。
 そこで、100万円というものが大変注目をされたわけでありますけれども、本当に割れた窓ガラスをすぐ直したいんですよとか、ちょっとしたことに使えるお金も無いんですよというお話と一緒になって、じゃあ頑張ったところにちょっと100万円、頑張ってもらおうということがすごく非常に注目を集めて、かなりご批判もいただきました。ただ、その裏返しで、この事業について県民の皆さんの注目が集まって、私とすれば随分得をした思いがあるんです。その注目を集めるということについては、大体もう使命は終わったのかなと思っております。
 いい取組を発表してもらう、考えてもらって実行、発表してもらって、それを聞いて取り入れるというサイクルは、そんなにお金がかかることではない割には、非常に効果的なことですので、私とすれば是非続けていただきたいと思っています。教育委員会のほうでも続ける方向で検討してくれていると聞いておりますので。
 その100万円部分については、私自身はとりあえず使命を果たしたと思っています。私自身のもともとの思いは、校長先生がちょっとでも裁量的な予算があってしかるべきだ、機動的に、要するに4月の時点でわかってなかったけれども、何かあったときにすっと動ける、ちょっとした予算はないとなかなか実務的に動けないという思いはございます。これはまた別の構造的なところで対処しなければいけないかなと思っています。

記者)
 小さい事業を重ねていくという手法は分かるんですが、1期4年経ってまして、それを踏まえて、中にはそろそろこの事業はいけるからということでどんどん大きく打ち出しても良い時期にあるんじゃないかなという意見もあると思うんですけども、そのあたりはどのようにお考えでしょうか。

知事)
 実際、この4年間やっていく中で、うまくいっているものは少しずつ大きくなっております。1回1回が幅が小さかったりするのであまり目立たないかもしれませんけれども、例えばスクールソーシャルワーカーについては、これはなかなかいいぞということで、ほぼ毎回少しずつ増やしております。よくその対局として、そんなスクールソーシャルワーカーだ、登校支援員だ、部活の応援だとか、もしくは事務のお手伝いとか、そんなことよりも単純に先生の数を増やしてくれればいいんだよというお話もあるわけですけれども、もともと岡山市も含めて小・中学校の先生が1万人以上、県が給与を払っている先生方というと1万6,000人とか7,000人、今度から減って1万2,000人、3,000人になりますけれども、その1割でも増やすというと、これはもう大変なことで、事実上不可能なんですけれども、スクールソーシャルワーカーが1人入ってくれるようになった、登校支援員が来てくれるようになったことで随分助かったという声を聞いております。
 登校支援員が100校になった。スクールソーシャルワーカーも増やしたんですけど今全部で25人です。スクールカウンセラーも増やした。少しずつでも、何度も増やしていくと随分振り返ってみると大きくなっているというような予算は結構あるのかなと思っております。

記者)
 成果が実感できる予算となるようにということだったんですが、知事が見られる中でこの事業は特にそういうことがよくあらわれていると思われるようなものがあるんでしょうか。

知事)
 私自身、県の仕事というのは多岐にわたる中で、それぞれの分野でなかなかうまくいかないな、もしくは動いていかないなという事業もあれば、非常に楽しみというか、うまくいってるなという事業もあるなということを感じながら仕事をしてまいりました。 同じ話ばかりで別の話もしたほうがいいのかもしれませんけど、学校警察連絡室については、予算規模は大したことないわけですけれど、そもそもかかわっているのが警察官23人ですから。ただ、それぞれの20校、今少し増えてますけれども、非行率が半減をしたということでありまして、随分なかなかご苦労されてた学校の先生方が前向きなことに時間を使えるようになった。本当にプラスのスパイラル、つまり好循環に乗ることができたというお話をいろんな学校から聞いています。例えば、交通事故を減らしたことですとか、これは交差点改良だったり、いろんな工夫の集大成だと思うんですけど、もしくは刑法犯認知件数が今回14年連続で減ったことになるわけであります。これは14年連続ですから、当然私だけでは全然ありません。これまでの皆さんの継続的な努力の賜なんですけれども、この犯罪というものは1件起きますと、これは捜査しなければいけませんし、捕まえなければいけませんし、捕まえただけではなくて裁判にかける、その後、刑務所で、刑務所からは税収上がってきません。刑務所は税金で運営するわけでありますし、一旦刑務所に入った人は、犯罪の種類によりますけども、残念ながら再犯率もそこそこ高いということであります。一番良いのは非行をさせない、犯罪をさせないということでありまして、そういった努力がいろんな面で県民の安心感、安全の確保にも寄与していると考えています。
 例えば、これは県がということではないんですけれども、地域おこし協力隊の皆さんの波及効果というのはものすごいですよね。1つの地域に1人、2人入るだけで随分そこが活性化したというお話をいろいろ伺っております。県はそういった人たちのネットワークを作る、応援する事業を今しているところであります。大した金額ではありませんけれども、私も何度かこの協力隊の皆さんとお話をして、ここがちょっと困ってるんですよ、これがあると嬉しいですねということには対応してきたつもりであります。これを言い出すとだらだらだらだら続くんですけど、でも、ここをちょっとやると助かるんだということは多々あるなと思っております。観光で言えば、無線LAN環境、Wi-Fiがあるかないかで随分違うなというのは自分自身が海外旅行したときに痛感をしますし、お客様、外国人観光客にお話を聞くと必ず出てくるところでありますし、ちょっとずつでもこれは大事だなということは多々ございます。それを反映した予算要求ということで考えております。

記者)
 頑張る学校応援事業について、注目を集めて得をして使命は終わったということだったんですが、注目を集めて得をしたというところをもう少し詳しくお伺いします。


知事)
 私自身とにかく、大げさに言えば、民間で当たり前なことを是非役所の世界もしくは公共の世界にもという話になろうかと思うんですけれども、学校運営というのは非常に似てるんですよね。旭東小学校と操山の小学校、それぞれの小学校のやってることは非常に似てますから、ですから、ものすごくお互い勉強しやすいわけなんですよね。にもかかわらず、双方のノウハウの伝達だとかが私からすると非常に少なく見えた。実は、PDCAを回す取組がこの頑張る学校応援事業なんですけれども、頑張る学校応援事業導入前から似たような事業はあったんですよ。私が頑張る学校応援事業の検討をしている最中にそのことを報告が上がってきて知ったわけなんですけれども、周りの人に聞いても、そういうことがあるということもほとんど誰も知らないですし、どの学校が表彰されてるかも当然ながら知られていない。もう一つは、表彰のされ方、基準が私からするとおかしいと思いました、つまり、とりあえずうまくいっているところを表彰するんであれば、環境がいいところがそのまま表彰されてしまうわけであって、そうではなくて今の状態から改善をした人を褒めるべきだし、今の状態から改善した要因は何なのということがみんなが興味があることであって、真似のできないところで褒められる、あそこは地区がいいからねと言われても、自分の小学校の地区を急によくするなんていうことは不可能なんですから、不可能なことはもうどうしようもないねということで、もともとあったものと違う、でも、もっと効果的なやり方を導入をした。導入をしても皆さん方が注目をしてくださらなければ、前回までのものと同じようなことになりかねなかったわけでありますが、私はそこまで計算して100万円としたわけではないんですけれども、幸い皆様方に大変注目をしていただいて、この前も、私午前中いっぱい出席しましたけれども、発表会にもたくさんの先生方が出席をしてくださって、熱心に聞いてくださいまして、質問もされていました。こういった努力が積み重なってそれぞれの学校が良くなっていくと私は信じています。

記者)
 総じて成果があったと捉えていますか。

知事)
 私自身、30校ずつ掛ける3年ですね、中学校区も入ってますけれども、最低90校の取組が紹介をされた。実際には全部違うわけではなくって、結構グループにできるのかな、もしくは何か底流に流れる思想というのは幾つかに集約できるのかなと思っているんですけれども、そういったことを通じて、それぞれの学校の先生方にいろんなやり方があるんだ、道はあるんだ。きちんと作戦を立てて、みんなで意思を統一してというか、組織的に努力をすれば必ず事態はよくなるんだという思いというか考え方は県下に随分広まったと思います。もうどうしていいのかわからない、こんな中でよくしろと言われたって、もう無理じゃないかという半分諦めのような気持ちから、いやいや、まだまだできることはいっぱいあるぞという気持ちが前向きになっただけでも大きな成果だと思いますし、実際事例があるわけですから、大変私はこれから学校運営をされる校長先生、教頭先生にとっては役に立つツールになると信じています。
 もう一つ、私自身の感想で言えば、成果を上げた学校の共通項幾つかあるんです。その中で一番印象的なのは、凡事徹底なんだなということです。本当に、発表で、へえこんなこと、とかびっくりすることは、実はほとんどありませんでした。まあそうだよなということを、普通のところであればこれぐらい、8割やればいいやっというところを、8割じゃだめだ、9割5分だ、100%を目指して、しつこく徹底的にやることで、ぐうっと成果が出てくる。奇策なんじゃなくて、何というか、真剣さの度合い、徹底さの度合いというのが違ってくるんだな。1つのことがきちんとできると、それがずうっと広がっていくんだなということを、そういった成果発表事例から痛感をしました。そういう似たような例が幾つも出てきておりました。

記者)
 今回、教育の面でいいますと、小学校3年生から中学校3年生まで一貫して学力調査行うこと、高校にもコーディーネーターを設けられて学力向上に取り組むこと、そのあたりの狙い、お考えをお聞かせください。

知事)
 まず、テストを増やすということに関しては、結局のところ、これはマネジメントでよく言われることですけど、測定しなければ改善できないというところがありまして、これまで全く学力テストをしてこなかった、例えば20年ぐらい前と比べると、今国全体で学力テストをしてるというのはこれも大きな前進だと思うんですけれども、小6のときと中3のときにやると、本当に点で見えてきますので、同じ学生を継続的に追っかけることができません。そうなると、我々がやってることがうまくいってるから少しよくなっているのか、それともたまたまその年受けた学年がいい学年だったのかという2つの大きな要因がありますので、なかなか要素分解できない。ただ、これが全学年で追っかけていくとその2つの大きな要因を分解することができますので、我々としてより的確な対応がとれるということで、私、この1年ごと、毎年追っかけていくというのは大事なことだなと思った次第であります。
 高校のことですが、これ当たり前なんですけれども、教育というのはどこかの時点で良ければ、これで人生勝ちということにはなりません。特に、全国テストのときに学力が良ければいいんだみたいなことは当然考えておりません。教育というのは、そもそも子供たちが10年先、20年先に社会に出ていって、それから30年、40年、社会で活躍していくときに必要なスキルを今できる限り備えさせてあげよう、もしくは社会人になってからもスキルを伸ばし続けるために必要な心構えであったり、基礎を身につけさせてあげようということでありますので、ですから、中学校だけが大事なことではありません。ただ、この4年間、ずっと中学校を随分集中してやってきたのは、そこが一番問題が多かったということであります。高校に向かう非常に大事な基礎固めの時期であるにもかかわらず、家で全然勉強ができていない、学校も荒れている学校が非常に多い、実際にそういったことも相まって、基礎的な理解ができていない。この上に高校や、人によっては大学の教育を乗っけているというのは、これは基礎がぐらぐらしてるところに建物を建てようということで、これはいかんということで、本来小学校、中学校は市町村の教育委員会の担当であるにもかかわらず、私がずっと中学校、中学校と言ってたわけでありますけれども、非行率が半減をしたですとか、とりあえず手を打たなければいけないところについては手が打たれたということで、本来の姿勢に戻って、教育というのは小学校に入る前、就学前教育も大事ですし、当然ながら高校、その後も大事だということで、少しバランスをとる形にしています。

記者)
 今回、中山間地域について、地方創生、おかやま創生に絡めて、そのあたりに力を入れられているように受け止められるのですが、そのあたりお考えをお聞かせください。

知事)
 私自身、今回選挙を回って、岡山、倉敷というのは人口がしっかりありますので、自分たちでそれぞれ回していけると思っている人も多いのかなと思いました。中山間地域のほうは、自分たちも頑張るけれども、是非県にも頑張ってほしいという期待というものをより強く感じたところでありまして、私とすればそれぞれの地域、地方はそれぞれの地域の皆さんが自主的に頑張るということがなければ明るい未来ということにならないと思いますけど、でもそういう意欲を持って頑張ろうという人たちは県庁としては是非応援したいと思っています。
 そうはいっても広いですから、薄くばらまくとほとんど効果を感じないまま終わってしまうということで、どういうやり方をすればそれぞれの地域にとってありがたい支援になるのかということで、わからない中でいろいろ試してみるというような形に今なっています。中山間地域の活性化については、今年から始めているわけではありません。10年も20年も前からやってきてる、成果は出てるはずなんですけれども、人口減というものの大きな流れの中で、後退してる中で前に進んでいるので、そのそれぞれの施策がどれぐらい成果があったのかがなかなか見づらいわけですが、ただ、これは大事なことですので、しっかり取り組んでいきたいと思っています。

記者)
 事業の追加について、現時点で想定されているものですとか、あるいは知事の査定の考え方ですとか、教えてください。

知事)
 私自身、この予算要求というのは間接的なものであります、こう思いませんか、これでしょうという日々の対話を通じて、県民の皆さんの思い、ニーズを私は代弁して伝えてきた。実際、それぞれ現場の事情ですとかいろんなことがあって、現実的にはこういうことがいいんじゃないですかという、いろんなやりとりの中で上がってきた予算要求であります。私とすれば、1年目、お互いわからない中で手探りでやったものと比べると随分私自身がそれぞれの地域、それぞれの分野の方から教えていただいたことが伝わってきてるなとは思うんですけども、当然私が全部つくったわけではありませんので、幾つか先ほどもコメントで申し上げましたように、ここはもうちょっとできないかというところについて、これから精査の上、つけていきたいと思います。
 ただ、私自身、それについてどかっとつけるのが本当にいいのかという思いと、あと現実的にそんなに枠は残っていないということですので。これからゆっくり考えたいと思います。

記者)
 知事の小さく打ち出して、効果を確かめて、徐々に拡大していくという考え方と、それと県民に変化を実感してもらうという部分で、一面ではかみ合いにくいような部分もあると思うんですけど、そのあたりについてはどのようにお考えでしょうか。

知事)
 結局のところ、多分一番成果が出るのは、それぞれいろんな、これはどうかな、あれはどうかなというところに一遍に大きく張るということなんで、これは今カジノ法案通りましたけども、自分がチップを持ってて、ルーレットで言えば、1から36、0と00もありますけども、どこに張るかということなんですよね。ものすごい自信があれば1点張り、今日は13日だから13に張ろうみたいなことなんです。それは外れると本当に1ランド全く無駄になってしまう。自信がないんだったら、べたべたべたと1から1、2、3、4、5とやるんです。それだとほとんどインパクトがないということで、いかにうまく、これは楽しみだからちょっと3枚ここに置こうかとか、ここはこれまで1枚ずつ張ってきたけど、もうほとんど成果が出てないからちょっと今回引いてみようかという、その張り方なんですよね。結局、どこかに大きく張ってくれというのは、裏返すと、引き揚げるところを随分たくさん作らないといけないということになりますので、そのチップが3倍あればまた別なんですけれども、一定のチップで張る場合には、1点にどかんと張るのか、それとも薄くばらまくかということで。薄くばらまきもしたくありませんし、1点だけに岡山県の未来をかけるというのは、これは私はすべきではないと思っております。そもそも福祉もあれば、防災もあれば、中山間地域のこともありますので、全部まとめて1点というのはそもそもあり得ないけれど、それぞれの分野で1点というのもやっぱりかけ過ぎだと思っています。その結果を見て、先ほど申し上げましたように、なかなかこれはいいぞというところは少しずつチップを増やすというやり方が確率的に一番、数学用語で言うと期待値を上げることができるやり方だと教わったこともあり、今実行しているところであります。

記者)
 おかやま創生推進連携プロジェクトは、予算要求自体を見ると、他の項目と重複しているところも結構あると思うんですが、総合戦略を立てたというのもあると思うんですけど、これまでの3本柱に敢えてこれを積めということで、プロジェクトに加えたというのは、知事として何か県民に示す姿勢とかPRするポイントがあるのかどうか、お伺いします。

知事)
 これまでのエンジンというのが教育と産業というところに人口減少対策というものが入ったわけであります。連携プロジェクトということに関しましては、それぞれどうしても縦割りになりがちだと、ものによっては本当に縦割りで十分機能する、そこの部署がしっかりやってくれればもうそれでいいんだというものもたくさんあります。他の部署がちょっと協力してくれれば、それでいいんだというものもあります。そんなんじゃ済まないんだ、本当に幾つかがしっかり取り組んでくれないとなかなかできないんだ、もしくは県庁の中だけではないよ、市役所と一緒に組まなければいけないんだとか、組織を超えていかないといけないよというものについて、もっとしっかり取り組んでいこうという思いでそういった連携プロジェクトというものを打ち出したわけでありますけれども、当然ながら継続する行政の中でこれまで全く見えていなかったものに取り組むということではありません。これまでも取り組んできたことにちょっと違うやり方で取り組んでみれば、もう少し成果が出るんじゃないかということで、今考えているところであります。ですから、これまでのものとかぶるですとか、どういうふうに要求しようかと、いろんなやり方があろうかと思いますけれども、意気込みとすればこれまで組織の壁を気にし過ぎてちょっと成果が出せなかったものについても踏み込んでやっていこうと、そういう意欲の表れということであります。

記者)
 こうしたプロジェクトの形を作ったというのは、外に対するPRですか。

知事)
 推進連携プロジェクトとして予算要求していないと、提案する人も、100万円の中で考えろというのと、1,000万円ぐらいはできるよ、これは1億円ぐらいの取組でやるんだというのとでは、全然考え方とか提案の仕方が違ってくるので、そういう実務的なことになっております。

記者)
 部局間連携というのは予算全体の中で大きいものとして考えているという理解でよろしいでしょうか。

知事)
 我々とすれば、組織の枠を飛び越えた協力、協働ということに力を入れようと考えてますので、それが予算に対して表れたのが今回のことかなと私自身は理解をしています。

 それでは、以上をもちまして知事定例記者会見を終了いたします。ありがとうございました。

2012年の記者会見