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2016年2月15日知事記者会見

印刷ページ表示 ページ番号:0460583 2016年2月16日更新公聴広報課
会見写真

平成28年度当初予算について

 皆さん、おはようございます。私からは、平成28年度の最終的な当初予算案をとりまとめましたので、その概要をご説明いたします。
 まず、要求段階からの変動についてご説明いたします。お手元資料1「平成28年度当初予算要求額からの増減」の「一般会計の計」の欄をご覧下さい。平成28年度当初予算額は、約7,191億円となり、要求段階から、6億円弱の減となっております。なお、要因については、資料に記載のとおりであります。
 2枚目には、私が追加させていただいた事業についてお示ししております。(2)番の中山間地域などにおける日常生活に必要な機能を集約した小さな拠点形成のための施設整備や、移動販売への取組などへの補助額の倍増、(3)番のインバウンド誘客拡大のため、就航の計画が示された香港線の支援や新たな路線開設に向けた対策、(5)番(6)番のナショナルチームのキャンプ誘致のための補助額の倍増や、県と連携したスポーツコミッションの取組を支援する補助金の創設、(10)番の県内工場への再投資を促進するための設備投資に対する補助額の倍増、(12)番の白桃の産地供給力をさらに高めるための補助額の拡大、(14)番の今年度から実施し、好評を得ている教師業務アシスタントの一層の配置拡充と、さらに、(15)番の教員の代わりに部活動指導を行う支援員の拡充など、教育、産業分野を中心に追加、拡充を実施しております。
 続きまして、お手元資料2「当初予算のあらまし」をご覧下さい。まず、1ページですが、先ほど申し上げたとおり、平成28年度当初予算の規模は、一般会計で対前年度比1.9%、約135億円の増となっております。
 次に、6ページをご覧下さい。収支について、先日の段階では42億円のマイナスとなっておりましたが、国の平成27年度補正予算に呼応し、当初予算に計上していたものを平成27年度2月補正予算に前倒しするなど、要求額の組替作業などを行った結果、最終的に37億円のマイナスとなったところであり、これにつきましては、財政調整基金により対応しております。
 続きまして、7ページには今後の収支見通しとして、向こう5年間の試算をお示ししておりますが、試算の結果、前回のものと同程度の見込みとなっております。
 12ページをご覧下さい。「教育県岡山の復活」についてであります。平成28年度では、「全国と比較して中学校の学力状況に依然として大きな差がある」という課題に対して、今年度から実施している教師業務アシスタントの大幅増員や、新たに運動部活動の指導を行う支援員の派遣事業などを実施いたします。また、「いじめや暴力行為など、改善しつつあるものの依然として多い」「小学校における不登校の出現率が依然として高い」といった課題に対しては、心理検査の活用や、問題行動へ早期から集中的・継続的な支援を行い、落ち着いて学習できる環境を整備する「学級崩壊等早期対応事業」や「落ち着いた学級づくり支援事業」などを実施いたします。
 それでは、13ページをご覧下さい。「地域を支える産業の振興」についてであります。平成28年度では、新たに、優れた人材の育成・確保の取組による企業の体質強化や新事業展開、事業継承の促進などを行う「中小企業・小規模事業者の『稼ぐ力』の向上」や「販路開拓・付加価値額増大の支援」などの事業を実施いたします。また、企業誘致や投資促進を図るため、本社機能移転をはじめとした補助制度の拡充などによる効果的な誘致施策や、立地企業に対する投資環境の整備を進める事業などを盛り込んでおります。さらに、平成28年4月からいよいよ始まるデスティネーションキャンペーンや、訪日外国人観光客が過去最多を更新する中、さらなるインバウンドの拡大など、観光関連事業にしっかりと取り組んでまいります。そして、儲かる産業としての農林水産業を育成するため、桃・ブドウの生産について、多目的な機能を備えたハイブリッドメガ生産団地のモデル的整備や、清水白桃に偏りがちな桃について、長期出荷需要に対応した品種構成への移行などの取組を支援する「未来へつなぐ!岡山果樹生産パワーアッププロジェクト」などを実施してまいります。
 次に、14ページをご覧下さい。人口減少問題を克服し、本県の持続的な発展を実現するため、人口の現状と将来の展望を示す「岡山県人口ビジョン」と今後5カ年の目標や施策の基本的方向、推進施策をまとめた「おかやま創生総合戦略」を昨年策定いたしました。来年度は、この戦略に基づく取組を本格的に展開する年度であり、しっかりとおかやま創生の実現に向け取り組んでまいります。戦略に沿った、来年度予算の状況につきましては、45ページ以降に掲載しておりますので、後ほどご覧下さい。
 次に、15ページをご覧下さい。今、ご説明したおかやま創生の実現に向けて、喫緊の課題である人口減少問題に対し、私が最も力を入れて取り組むのが、この少子化危機突破プログラムであり、若者の結婚、妊娠・出産、子育ての希望をかなえるパッケージ戦略として、まずは、希望出生率1.72の達成を目指すというものであります。少子化問題には、突破すべき3つの壁が存在しています。まずは、相手と出会う機会の減少や未婚化・晩婚化・晩産化という「第1子の壁」であります。その対策としては、「出会い・結婚サポート機能強化事業」として企業や団体間交流のコーディネートや、出会いマッチングなどを新たに実施するほか、「妊孕性普及啓発プロジェクト」として、妊娠や出産に関する正しい知識の普及啓発を通じ、ライフプラン設計の支援などを実施してまいります。次に、育児負担感の増大、男性の長時間労働という「第2子の壁」、経済的負担感の増大という「第3子の壁」でございます。これらには、「ワーク・ライフ・バランス推進事業」として、企業トップセミナーやイクボスの推進などにより、働きやすい環境づくりを推進するほか、「第3子以降保育料無償化事業」として第3子以降の保育料の無償化、又は軽減を行う市町村を支援する事業を実施してまいります。この他、「子育て支援の基盤強化」として「ひとり親家庭等への支援の充実」などの対策を実施することで、あらゆる側面から対策を講じてまいります。
 次に、17ページをご覧下さい。TPPの大筋合意を踏まえ、県内企業の海外展開の支援などを引き続き行うとともに、影響が懸念される農林水産分野において、将来にわたり安心して生産を続けていけるよう、経営安定のための備えとして、野菜、米、肉、卵などの価格安定化対策を講じるとともに、体質強化に向けた取組を加速するための事業などを実施してまいります。
 18ページ以降は「晴れの国おかやま生き活きプラン」の戦略プログラムごとに詳細な内容を掲載しておりますので、後ほどご覧下さい。
 次に、57ページをご覧下さい。このたび、国の補正予算に呼応し、当初予算案と一体的に2月補正予算案をとりまとめたところであり、国の交付金を活用した、地方創生の流れを加速させるための事業、補助公共事業、県単独での緊急的な防災対策事業、公共施設の老朽化対策のための事業など、総額約97億円を計上しております。
 平成28年度当初予算案などの概要は以上であります。来年度予算は、私の思いを盛り込んだ「晴れの国おかやま生き活きプラン」の行動計画の最終年度の予算であり、その総仕上げとおかやま創生の実現に向けた確実な道筋を示すための大変重要な予算であると考えております。これまでの取組を踏まえ、その流れをより加速させることで、県民の皆様に成果を実感していただけるよう「生き活き岡山」の実現に向けて、職員と一丸となって全力で取り組んでまいりたいと存じます。
 私からは以上でございます。

質疑応答

記者)
 1期目最後の予算ということで28年度当初予算が組み上がりましたが、今回、4年連続でプラス編成ということもありますけれども、率直な予算の組み上がった姿に対する御印象をお願いします。

知事)
 私とすれば、とにかく好循環ということを申し上げてきました。また、将来への投資ということを申し上げてきました。そういう点では、私の観点からすると、年ごとに少しずついい内容になってきたのではないかと思っております。
 PDCAのサイクルを回すということで言えば、前年上手くいったものについては少しずつ拡充をする。そうでもなかった場合にはそのままであったり、場合によっては減らすということもあるわけですし、上手くいったものをいかにどんどん次に回していくかということが私にとって課題だったわけですけれども、例えば、教師業務アシスタントに関しては非常にコスト・パフォーマンスがいいというか、いい施策だということで、もともとは35校でしたが、要求では50校に増やすという要求だったわけですけれども、これはもっと頑張ろうということで、予算制約ですとか、そもそも採用できるのか、いろいろ検討した結果、90校まで増やすという決定をしたわけです。これは効果があるというものについて増やしたりですとか、もしくは運動部活動の支援というのに、これまでやってはどうかというものが、今回、新たにできるようになったですとか、産業のほうで言いますと、今、産業団地が随分県北でも県南でも売れてきていますので、売れているからこそ新しくつくろうということで、我々自身、岡山市と共同してつくっていくもの、もしくは市町村を支援するための予算を付けることになったですとか、そんな上手くいっていることが前提となって、次のステージに進むような予算項目が入ってきているというのは、大変うれしく思っています。
 また、私は、そういった税収を増やすことによって、いろいろな福祉施策も進めていきたい。実際、そういうところが県民にとって一番実感できるところでありますので、しかもそれはできれば将来の投資につながるもの、これは福祉に限らず、いろんなもの、今ありがたいものも大事でありますし、それが将来につながればなおのこといいということで言えば、少子化危機突破プログラムというのは、まさに今の皆さんに影響があって、ほっとする、ありがたい、うれしいということであると同時に、将来への大きな投資にもなることでありまして、いろいろ調整では、我々自身苦労もし、いろいろな方からの御意見を伺って、その過程で御心配もおかけした第3子以降の保育料の無償化拡大事業につきましても、皆さんの御理解を得て予算化できたということは、大変うれしく思っています。

記者)
 もう一点、知事にとっては、11月の任期まで9カ月を切った中で、成果を県民に実感してもらうよう全力で取り組むと。ただ、残された時間というのは短いんですけれども、その中で確実に成果を実感してもらうためにどのようにしていこうというか、アイデアといいますか、そのようなあたり、今のお考えをお聞かせください。

知事)
 これは、この9カ月だけでというよりも、これまでがずっとそういうことで来たわけなんですけれども、いかに岡山を元気にしていくか、今、住んでいてよかったなというふうに実感してもらい、これからも岡山で頑張っていこうというふうに思っていただけるかということで、予算もそうですし、予算以外のことでもずっと頑張ってきたつもりでございます。
 そういうことで言えば、私とすれば、何か全部困ったら県にお願いしようとか、そういうことでは多分上手くいかないと思います。そもそも財源が足りませんし、足りたとしても、それはより依存して、今いいかもしれないですけれど、来年、その次、どんどん状況は悪化しますので、いかにそれぞれの人が自分の力をつけて、もっともっと自分がやりたいことができるようにするという方向に持っていくかということを、ずっと考えてきました。
 例えば、中小企業の支援ということで言いますと、我々が補助金で何か人工的に回して、補助金が終わったらおしまいということではなくて、彼らの持っている力をいかに生かしていくか、売り込むお手伝いをするのか、もしくは足りないところについて、我々がお手伝いするのかという事業をずっと展開してきたわけですけれども、今回もそれについて拡充ができているんですけれども、それぞれの人たちが自分たちのいいものを生かして、弱点を補強してさらに広く活動する、そういったことを私はこれまでやってきたつもりですし、これからも続けていきたいと思います。

記者)
 最初に強調された成果を出すことという点では、トータルでどんな予算編成になったというふうにお考えでしょうか。

知事)
 この予算は、先ほどの質問にもありましたけれども、毎年増額になりまして、予算規模については、私の意思は余り入っていません。毎年、御説明しておりますように、社会保障関連経費が、毎年、ほぼ平均30億円程度上がっているということと、消費税が上がったということで、入る金額も大きいですし、市町村にそのままお渡しする金額も歳入歳出でどんと乗っかるもんですから、見かけ上、非常に大きくなって見えるということでございます。
 私の意思が入ったというところで言えば、それぞれこれがどれぐらい効果を上げているのか、未来への投資につながるのかというところで、PDCAのサイクルを回しながら、少しずつ組み替えていったところに、私の意思が入っているわけであります。
 私とすれば、本当に、知事査定の部分よりも比率が膨大に大きい要求のレベルで、そういった観点からのチェックが、随分入っているなと思っております。現時点では、非常にいいものができたのではないかと、自分では思っています。

記者)
 今回は、ネーミングなんかは考えていらっしゃるんでしょうか。

知事)
 ネーミングは付けないことにしているんですが、今の時点でベストと信じている予算をつくったつもりでございます。

記者)
 知事は、これまで教育再生と産業振興を軸にされていて、もう一つ、地方創生への本格的な対応もありますが、今回のテーマを挙げるとしたら、どういったことを重点的に配分したということになりますか。

知事)
 まさにそのとおりでありまして、私がずっと申し上げておりました教育の立て直しと産業の振興というのは、ありとあらゆる分野への好循環のもとになります。未来の明るい岡山のための必要な投資ですということを申し上げてきました。
 教育の中でも産業の中でも、また、医療ですとか福祉ですとか防災ですとかの中でも、それぞれ好循環のもとになるものを、是非、動かしましょうということを言ってきました。その精神は全く変わっておりません。
 そこに、なかなか表に出せなかった人口減少問題に、今回、国を挙げて取り組むということになりましたので、大変、私はうれしく思っています。もともと「生き活きプラン」のベースには、減っていく人口にどう対応していくのか、それについていかに出生率を上げていくのかということは前提としてあったんですけれども、より表に出せるようになりましたので、ここは、少子化危機突破プログラムということで先ほど御説明しましたけれども、第1子、第2子、第3子の壁を突破することによって、人口の自然増を目指していきたい。
 あと、これは、我々の総合戦略の4つの基本目標のうちの1番目の目標になり、2番目が社会増を目指す、あと、1人当たりの経済力をつけていくということとあわせて、とにかく集落の機能を維持して、それぞれの皆さんの生活を守ろうと。そういう基本目標をきちんと達成することで、岡山県に住んでいる皆さんの生活を、これからも守っていきたいと思っています。

記者)
 要求段階からの追加の事業の中で、インバウンドの拡大、香港線の関係の金額が一番大きいわけですけれども、これに対する狙いというか、どのような効果を考えていらっしゃるのか、より詳しくお願いします。

知事)
 香港線は、我々にとっての本格的なインバウンド路線ということになります。海外の路線というのは、両方いいわけでありまして、アウトバウンド路線、岡山の人、日本人が外に出るということで言えば、我々の利便性が上がるということで歓迎すべきことでありますし、インバウンドということになりますと、観光の振興に非常に役に立つというわけであります。
 御案内のとおり、訪日外国人観光客が非常に増えている、また、プラザ合意以降の円高の関係で、観光業というのは非常に厳しい逆風の中でずっと頑張ってきた。ようやくその逆風が普通の状態になって、本来のポテンシャルを生かせるようになってきたというわけでありますので、是非、この盛り上がっているときというのは、ビジネスの世界の常識でありますけど、市場が伸びているときというのは、シェアの変動が非常に起きやすい、投資しがいのある時期であります。大体、飽和してくると少々の投資ではシェアの変動は起きないわけなんですけれども、今、この大チャンスのときに、タイミングのいい投資をして、岡山の魅力を皆さんに訴えかけるか、岡山を定番の観光地としてアジアの皆さんの中で定着させるかという、非常に大事な予算だと思っています。

記者)
 県財政の基本的な受けとめで聞きたいんですけれども、今回、歳入で税収が増えているんですけれども、一方で社会保障なんかの累増がありまして、その中でどのようにやりくりをされたか、配慮した点みたいなところを教えてください。

知事)
 今回も何とか予算を組めたというのは、やはり税収アップというところが非常に大きいわけであります。本当に助かったなということなんですけれども、あと、気を付けた点というのは、私自身は、財政というのは非常に大事だと思っておりまして、とにかく今年のことだけ考えれば、ドカンといろんなできる限りの借金をして、何か施策を打ちたいと思うわけでありますけれども、岡山県は全国でもまれに見る財政悪化に見舞われまして、財政危機宣言まで発せざるを得なかった、かなり強引な財政再建の取り組みをせざるを得なかった。それは本当に大変だったと思いますし、副作用も多々出たところでございます。
 とにかく、財政規律を守った上で、いかに効果的な施策を打っていくかというところに、当たり前ではありますけれども苦心をいたしました。

記者)
 知事の査定で追加された事業の額が、知事になられてからの3年間で2番目に多くなっている。ここら辺は、財政との兼ね合いということで、ある程度、何かフリーハンドの部分、余裕が出てきたということなんですか。

知事)
 実際、一般会計の7,200億円弱ということからすると、知事査定の額というのは、割合からして非常に小さいものでございます。そこが余裕がどうのこうのというよりも、ある意味、私にとっては、これはメッセージ性の問題かなと思っております。
 もう一つは、タイミングの問題であります。例えば、インバウンドの要求に関しては、もし航空会社との交渉が3カ月、半年前にあれば、これは多分、当初要求の中に上がっていても全然おかしくないような種類のものでありまして、その要求が締め切られた後に、急速に、先方のスケジューリングの都合で話がまとまってきたということで、タイミング上、私の追加玉になったということがございます。

記者)
 実際的に、知事査定の枠というのは、さほど例年とは変わっていないということですか。

知事)
 私自身、それをどんどん増やすことを思っているわけではありません。私はトータルとしての財政規律というものを考えております。

記者)
 財政の話で伺います。2年連続で基金取り崩しといいますか、歳入不足が生じたんですが、このあたりの状況についてはどのようにお考えですか。

知事)
 基金の取り崩し、財政調整基金でありますけども、これは、もともとその基金の目的、性格がそういうもののための基金でありまして、当初で取り崩して、それで当初予算のつくり方自体が、もともと民間企業の我々からすると、まずどれだけ入りそうなのか、それに従ってどれだけ必要なのかというのを考えていくわけですけれども、そもそも県庁が使うべき歳出の中で義務的なものが非常に割合として多いと。これに関しては、ちょっと税収が減りそうだから、これを急に減らしますというのは、そもそもできないものが大変たくさんあります。これは減らすのであれば、国の制度が変わるなり我々の支給基準を変えるなり、市町村が変えるなりしなければそもそも動かないというものがあります。歳入と歳出がある程度独立して計算されるということがあるので、どうしてもでこぼこは出てきます。
 それが、例えば300億円差が出てくると、それこそ財政危機宣言でも出して荒療治をしなければいけないわけですけれども、このレベルであれば想定の範囲内でありまして、財政調整基金で対応して、ほぼ確実に不用が出てきますので、これは制度上出てきますので、大体この程度の金額はこの数年間出ておりますので、不用が出た時点で戻すということになろうかと思います。

記者)
 警察本部庁舎の話、これについてどういうふうに査定なさったのか。それはどういうお考えのもとに査定額を試算されたのか、お聞かせください。

知事)
 これは、2つの非常に大事なことが絡んでいるわけでありまして、1つは、警察の機能、今、10カ所に分散をしている。これは、最初に聞いたときにびっくりしたわけでありますけれども、岡山県の治安の要である警察本部庁舎は整備をしなければいけないということであります。これはきちんとやる。
 もう1つ、後楽園の景観というのも県民の財産でありますので、一旦つくってしまうと、余りうまくいかないから上半分削るかみたいなことはできないわけでありますので、つくる前にきちんとチェックをする、これも大事なことであります。その2つのことを最初から分かってやっていたわけですけれども、後楽園の一部の箇所からは、ちょっと想定よりも見えるんじゃないかということで、設計変更を最大これぐらいかかるということで要求がなされたわけでありまして、私は、それぞれの段階で分かったことに対応しているわけでありますので、これはもう仕方がないかなと考えています。

記者)
 事前の調整の部分なんですけれども、私が考えていたよりも、やっぱり岡山市さんとの調整が足りなかった部分もあるんではないかというふうに受けとめられる部分があります。岡山市さんは、やっぱり詳しい計画は聞いてなかったと。もちろん警察さんのほうはバルーンを揚げて見られているんですが、やっぱりどのぐらいまで見えそうで、このぐらいだったらいいのか悪いのかという、そのあたりの事前の調整というのが不十分だったんじゃないかと思われるのが、そのあたりいかがでしょうか。

知事)
 結果的に、不十分だったのかもしれないなと思ったりします。私は、逆に事前の調査の詳細さにびっくりしたところではあるんですけれども、本当にメッシュをつくって、ドローンを使って測量したらこうなりましたということを、「ここまでするかい。」みたいなことを、私、随分前ですが、数カ月前に報告を受けたときに叫んだのを覚えていますけれども、それぐらいきちんと調査をして、その内容については岡山市とも一応話はしていたと思うんですけれども、ただ、それが冬だとどうなるのかとか、今、問題になっている田んぼの北の東の辺りからはどうなのかとか、いろいろな特殊なというか、ピンポイントというか、一番条件の悪いところからするとこうなるという、ほとんどのところはOKなわけですから、それがちょっと現在とは数カ月前は違う認識だったのかなと思います。

記者)
 そのあたりは、警察の側、あるいは工事をする側の見込みが甘かったんではないかという捉え方もある。要は、ある角度であればバルーンが見えることは分かっていたわけですから、それはご説明されているわけですから。

知事)
 それで言い出すと、後楽園、皆さん御案内のとおり、場所を選べばいろんなものが見えるわけですよね。我々とすれば、お殿様の座った場所から建物が見えないということと、本当に象徴的な、今、報道でも言われている、例えば、後楽園の正面入り口から入って、最初に小川を石橋で渡って、初めてお庭全体がわっと見渡せる場所があるじゃないですか、あそこで正面に岡山城がどんと見えるという、あのすばらしい景色のお城にかぶって何かビルが建ったら、これは大変なことになりますから、そういう大事なところについてはきちんと考えていく。これは県のほうでもみんな分かっていた話でありまして、今回の場合は、そこからかなり向かって左、東側にずれたところから見ると、お城の比較的近くに冬場であれば見えてしまうということでありますので、実際、いろいろ判断が悩ましかっただろうなと思います。

記者)
 知事は民間出身ということで、民間の感覚で常に注視されてきたかと思うんですけど、今回の額で言うと、手順も含めまして、新たに8,000万円が生ずるということについては、民間の感覚ではいかがなんでしょうか。民間企業でこういうことが許されるんでしょうかという声もあるので、そのあたりいかがですか。

知事)
 最大8,000万円ということでありますけれども、景観に最大限配慮しているんだなあというのが実感であります。実際、計画を立てている県警察と、その条例を運用する岡山市というのは別の主体ですから。民間企業も、自分たちのルールについて自分たちで審査するのであれば、最初から融通をきかせる。自分たちで考えて、これだってやるんですけれども、例えば、国の検査に合格するためとか、県の条例に合わせるためということだったら、必要な検査のための費用というのは積むわけでありまして、これは民間でも必要なことであれば積みます。
 当然、そういう再設計なんていうのはなければいいんですけれども、今回は非常に難しいケースだったなあと思います。

記者)
 手順であったりという部分で、民間でも当然、責任問題であったり、あるいは費用の要求の仕方にしても、もうちょっと詰めた形で、最大8,000万円という漠然とした形でやってくるもんじゃないんだと思うんですが、そのあたりはいかがですか。

知事)
 実際、私自身、今回のことについて、これはひどいというふうには思っていないわけであります。そもそも非常に制約の強い中でつくった計画であります。県警本部庁舎というのが県庁とあまり離れていては、防災のことを考えると我々とすれば困るわけです。ですから、今回、県庁の敷地内に場所を見つけて、そこで建て替えると。敷地いっぱい、もうぴっちりですから、それで最初から後楽園に邪魔にならないようにということで、いろいろ考えてつくったわけであります。これがもう少し敷地に余裕が最初からあれば、もう少し低めにしようとか、いろんなことが考えられるんだと思うんですけれども、それぞれの段階でしっかり考えた結果でありますので、私自身が担当者に対して、これはいかんと今の時点で思っているところではありません。

記者)
 予算の全体像に戻るんですが、今回、予算編成に当たってプランの総仕上げというのがある中で、歳入自体そんなに劇的に変わるわけではない中で、地方創生とかTPPの関連とか、新たな歳出に関しては政策課題というのが出てきた中で、いわゆる財源の配分のやりくり、ここで苦労した点が何かありましたでしょうか。

知事)
 実際、やりくりは常に苦労するわけでありまして、個別のやりくりは、それぞれの要求をしてくる部長段階が一番苦労しているんであろうと思うわけでありますけれども、私とすれば、今回、指示を出すに当たりまして、1つはシーリングをかけたということと、あと、3%部分は組み替えをしてほしいという要求を出しました。これは民間の感覚で言えば、3%なんていうのはもっと組み替わっていますから、何ということはない数字に見えるんですけれども、実際、継続性が大切な、義務的な要素が非常に強い役所の歳出の中で、3%の組み替えというのは随分皆さん苦労された。それが1つの引き金になって、思い切った組み替えするきっかけになったわけですけれども。
 それぞれ悩みながら、やっぱりできることなら全部したいわけですから、優先順位をしっかり考えて、あつれきを恐れず各方面と調整をした結果だと思っています。本当にそれぞれ頑張ってくれたと思っています。

記者)
 新しく当初予算が決まった段階、現時点で2期目についての思いというか、現時点での考えを教えてください。

知事)
 とにかく、この4年間しっかり頑張るということでありますので、あと9カ月頑張りたいと思います。

司会)
 それでは、以上をもちまして知事定例記者会見を終了いたします。

知事)
 ありがとうございました。

2012年の記者会見