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標点 平成22年4月号(通巻727号)
生涯学習の基礎づくり 県教育委員会委員長 松 田 欣 也 | |
「企業は人なり」という松下幸之助氏の言葉があるが、企業経営の中で常々言われるのは、社会を構成しているのは人だということである。社会生活の中では、夫々が学び培ってきた知識や経験・知恵を駆使して家庭や会社、サークル・コミュニティー等の社会活動の中で絆を培い、夫々の目標や社会人としての使命を全うしている。これからの企業のあり方は、夫々の分野の中で地域社会に貢献する企業であることは無論、生涯雇用を行う企業でなくてはならない。気力・知力・体力が続く限り、雇用の場を与えて行くことが企業の役割、使命と考えている。 そのベースとなる基礎基本の習得の場が家庭教育であり学校教育である。家庭教育・学校教育を通じて、社会人として更に自己の成長につながる生涯学習の基礎土台をつくり、社会に貢献できる人材を育成していかなければならない。 学校教育では、カリキュラムにそった基礎教育・座学は当然必要であるが、地域に係る色々な体験学習を通じて、地域の歴史や文化に学び、地域の人との出会いの中で挨拶や言葉遣いを学ぶ、そして互いに助け合う心根の育成、将来の夢を懐かせる教育が必要ではないかと感じている。その一翼を担うのが教育現場に従事する教職員であり、基礎教育や体験学習を通じて子どもたちの夢が一層膨らむような学習指導の工夫が必要と考える。 一方家庭では、家庭学習の時間が段々と少なくなり、食事にしても個食・子食で、家族団欒での食事がされない風潮は、第一次産業の衰退、共稼ぎ等々の社会構造の変化によるものが大きいと考えられるが、子を持つ親の使命として、出来る限り家族一緒の食事を通じて互いに一日の出来事を話し、その中で子どもの考え方に耳を傾け、其れに対する色々なアドバイス、動機付けを行う事で、親子の絆を更に強くして行く事が求められる。良い事をした時には誉めてやり、悪い事をした時には徹底して叱る、挨拶や善悪教育は家庭教育である。ややもすると教育は学校の先生がするものと、誤解されている人も居られるように聞いているが、生涯学習の始まりは家庭からであると思っている。 学校、家庭、地域との連携により、子どもたちの将来を見据えて生涯学習の基礎を確りと作っていきたいと考えている。 |