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標点 平成21年4月号(通巻715号)

印刷ページ表示 ページ番号:0032068 2009年3月27日更新教育政策課

中島委員

春、教育について思うこと  

県教育委員会委員長 中島 義雄

 昨年教育委員に就任するにあたり、教育現場に全く縁のない私が・・・と自問した。しかし、常々「仕事の基本は人である。」と痛感しており、その人づくりで、郷里岡山に微力ながら貢献できればと、受けさせていただいた。
  振り返ると、私自身が受けた教育には様々な先生方との恵まれた出会いがあった。なかでも最も影響を受けたのは小学校高学年時の担任の先生。理科がご専門だったが、通常の授業が興味深かったのは勿論のこと、日常生活の身近で起きる様々な現象の中に原理があり、それを単純化して実験で再現できることを教えていただき、理科系分野への関心を高めていただいた。さらにアマチュア無線の資格取得に興味を持った児童たちには、中学レベルの数学を個別にご指導くださり、私にはその後エンジニアへと進む原点となった。このように、子どもの生涯にわたり影響を与え続ける先生や教育の力の素晴らしさ、重要さに思い至る時、教育現場の充実を目指して、様々な環境を共に整えていくことも、教育委員の重要な役割と捉えている。
  春は新入社員の入社の時。日頃会社経営の中で、多様で個性豊かな人材を採用したく選抜段階で苦心するが、各々の個性如何に拘わらず、共通して求める資質は「他と共同して仕事をする能力」だ。如何に有能な人材でも、一人きりではどんな仕事も成し得ず、共に働くグループ内のメンバーや、外部のグループとの協業が必要である。そこでは自分の意見を主張するだけでなく、それを相手に理解し、納得してもらい、さらに行動してもらう為に『コミュニケーション能力』が不可欠なのだ。この『コミュニケーション能力』は知識だけでは習得できず、学力試験で点数評価できるものでもない。教育現場や社会生活において、子どもが友人・家族・大人等との関わり合いを通して考え、反芻(はんすう)しながら習得していくものだろう。今後ますます国際化する社会で、多様なバックグラウンドや文化を持つ人々の中で活躍することを求められる「今、これからの子どもたち」に、「共に何かを達成する喜び」を体験させ、『コミュニケーション能力』を育む必要は急務だ。
  とはいえ、教育の成果は直ちに目に見えて現れるものばかりではない。だからこそ、長い目で将来を見据えつつ、志高く教育に関わってまいりたいと思う。