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紙芝居「ぴょん子ちゃんとごんたくん」解説

はじめに

歴史と現状

 インディアンの風習であった喫煙習慣がヨーロッパにもたらされたのは、コロンブスの新大陸到達の1492年以降と考えられている1)。それから100年前後でたばこは日本にも伝えられた2)。以来、400年を超える長きにわたって、習慣として定着し文化の一端を形成してきた。
 しかし近年、医学や疫学により徐々に喫煙の有害性が解明され、喫煙が人間の健康状態の悪化や致命的疾患に大きく関与することが広く知れ渡るようになってきた。それにともない、わが国における成人喫煙率も徐々に低下の傾向をみせ、最近の報告3)では男性52.8%,女性13.4%となっている。特に男性の喫煙率低下は顕著で、女性の値がほぼ同じなのに対し、1965年の82.3%4)から減少の一途をたどっている。

1)宇賀田為吉:たばこの歴史,岩波新書,1973.
2)鈴木達也:喫煙伝来史の研究,13-20,思文閣出版,1999.
3)厚生省:平成10年度喫煙と健康問題に関する実態調査結果の概要,22,1999.
4)(財)厚生統計協会:国民衛生の動向,2000年第47巻第9号,90,2000.

たばこの有毒性

 喫煙者がたばこから吸い込む煙が主流煙である。煙中にはたばこの三大毒と呼ばれるタール,ニコチン,一酸化炭素(Co)が含まれる。タールには発ガン性が有り、全部位のガン死への寄与度は約3割といわれている1)。ニコチンは依存症を引き起こす。これにより禁煙したいと思ったり喫煙本数を減らしたいと思いながらも吸い続ける者が喫煙者の約6割にものぼる2)。一酸化炭素は全身を酸欠状態に陥れ、脳,心臓,子宮などの機能を低下させる。また、運動能力面では有酸素性運動能力を低下させる3)。
 たばこの先から立ち上る煙が副流煙である。この煙はたばこを吸い込んでないとき、即ち、酸素の供給が少ない時に発生する。従って、酸化が不十分でCoを発生するため、主流煙より有害性が高い。非喫煙者が喫煙者から副流煙を吸わされるような状況を受動喫煙という。このような状況では非喫煙者もたばこ煙の害から逃れられない。

1) 平山 雄: タバコはこんなに害になる,121-125,健友社,1984.
2) 総理府広報室編:日本人の酒とたばこ,68-69,大蔵省印刷局,1989.
3) 池上晴夫:スポーツ医学2,264-278,朝倉書店,2000.
4) Jkyb研究会編(西岡伸紀監修):ノー・スモーキング・ライフ

登場するキャラクター

人間が登場しないことの意味

 この紙芝居に登場するのは人間ではなく動物である。最終的な目的は子どもたちに、たばこ煙を悪いものとしてイメージさせることである。喫煙者を人間にすると、家人にもし喫煙者がいる場合、否定できない家人と紙芝居により否定された喫煙者が思考の中で対立することになり混乱を招くであろう。それを避けるよう意図した。

ぴょん子ちゃんとごんたくん

 アンケートによれば「子供や病人の前では喫煙しない」と回答した喫煙者は48.5%1)で半数に満たない。周囲の大人の無配慮な喫煙で副流煙にさらされやすい子供たちの代表として設定されている。

1)総理府広報室:日本人の酒とたばこ,66-67,大蔵省印刷局,1989.

ごんたくんのおとうさんとおかあさん

 他者がタバコ煙にどのような気持ちを抱いているかを理解していない成人喫煙者として設定されている。「人が吸うたばこを迷惑と感じることがありますか」という問いに、「よくある」と回答した喫煙者は1割以下だが、非喫煙者では8割にも達し1)、意識のギャップは大きい。なお、両親とも喫煙者としたのは性差別を避けることと、近年増加傾向にある若年齢層の女性の喫煙に警鐘を鳴らす意味を込めた。

1)総理府広報室:日本人の酒とたばこ,76-77,大蔵省印刷局,1989.

ちょうちょさん

 自由にその居場所を選択できるものの象徴である。好きなものや快適な所には近づき、嫌なものや危険からは遠ざかることが出来る。会議時,勤務時間中や交通機関利用時などで、他者のたばこ煙を自由に避けられたならという、たばこ嫌いの人々の理想を表す。

インコのピーちゃん

 移動の自由がないものの象徴である。たばこ煙が嫌いであったり、たばこ煙で身体的症状を引き起こす者にとって、職場,会議,車中など逃げられない状況で喫煙されることは最悪である。副流煙の害や分煙指向が一般に広まっては来たが、現実にはまだまだ多数の非喫煙者が無分別な迷惑喫煙に悩まされている。自分がたばこ煙に迷惑を感じてない喫煙者では、吸わない人に対する配慮について「喫煙は個人の好みであるから、吸わない人も寛容であるべきだ」と考える者が約4割もいる1) 。

1)総理府広報室:日本人の酒とたばこ,80-81,大蔵省印刷局,1989.

煙のお化け

 登場するキャラクターを人間にしなかったのと同じ理由で、喫煙者そのものを悪者に仕立てると家人に喫煙者がいる場合、混乱を招くことになるだろうと判断した。そして、それを避けるため、煙自体を悪玉に仕立て上げることにしたものである。

父母の喫煙開始

 子ども達が遊んでいる部屋で父母の喫煙が始まる。近年の調査では1)、喫煙により病気にかかりやすくなると思う人の割合は、「肺がん」84.5%、「妊婦への影響」79.6%、「気管支炎」65.5%等であり、主流煙の害はある程度認識されてきたと言える。しかし、学齢期の子どもたちに対する副流煙の有害性に関する知識の伝達は、未だ不十分な状態と思われる。中高生を対象とした調査の一例を挙げると、夫の喫煙により間接喫煙を強いられた妻の肺ガン死亡率が上昇することについての知識所有率は、中学生が20%,高校生が40%である2)。また、何気なく日常のこととして喫煙が開始される設定は、悪意があるわけではないが周囲に無頓着な喫煙者が「普通」だという好ましくない現状を訴える意図がある。

1)厚生省:平成10年度喫煙と健康問題に関する実態調査結果の概要,26-27,1999.
2)(財)大阪がん予防検診センター:平成元年度 がん予防対策普及のための調査研究, 62-64, 1990.

設問について

 くまのごんたくんの両親が喫煙を開始する場面に対して、「みんなのお家でたばこを吸う人がいますか?」という設問。
この紙芝居では喫煙に対してマイナスイメージを形成させることを目的としている。しかし、現実には家人が喫煙している場合が多々あるので、子どもたちは身辺で普通に行われている喫煙を肯定的に捉えている場合がある。従って、両親をはじめとする家人の喫煙を直接非難するような解説やまとめ方は避けることが望ましい。
 小中高の生徒の喫煙は周囲の人々の喫煙と大いに関連している。即ち、両親の喫煙習慣が子どもの喫煙と相関が高く、また、両親,友人が喫煙を期待していることとも相関が高い1)。喫煙している大学生の場合も、父親,仲の良い友人,恋人など身近な人々が喫煙者である率が高いという報告がある2)。従って、子どもを喫煙者にしないためには、低年齢段階から喫煙者を遠ざけたり、喫煙することを望んでいないというメッセージを伝えておくことが喫煙防止対策として有効である。また、両親と同様に子どもたちにとって権威者としての意味をもつ教師は、子どもたちの前で喫煙しないことは常識である。

1)(財)大阪がん予防検診センター:平成元年度がん予防対策普及のための調査研究,67-71,1990.
2)藤井真理,高戸仁郎,山口立雄:大学生女子の喫煙習慣に関する研究―岡山県内の大学生女子について―,岡山体育学研 究第1号,55-67,1994.

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