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小学校長期宿泊体験活動推進プロジェクト 小学校学習指導要領解説(総則編)

印刷ページ表示 ページ番号:0465574 2016年3月24日更新義務教育課

プログラム展開上の工夫

小学校学習指導要領解説 総則編(抜粋)

豊かな体験活動の充実といじめの防止(第1章第4の3(3))

(3) 学校や学級内の人間関係や環境を整えるとともに,集団宿泊活動やボランティア活動,自然体験活動,地域の行事への参加などの豊かな体験を充実すること。また,道徳教育の指導内容が,児童の日常生活に生かされるようにすること。その際,いじめの防止や安全の確保等にも資することとなるよう留意すること。

(1) 学校や学級内の人間関係や環境

 児童の道徳性は,日々の人間関係の中で養われる。学校や学級における人的な環境は,主に教師と児童及び児童相互の関わりにおいて形成される。

 また,教室や校舎・校庭などの物的な環境は,人的な環境とともに児童の道徳性を養うことに深く関わっている。児童が学級や学校を学習し生活する場として自覚するための環境整備に努めることが求められる。

ア 教師と児童の人間関係

 児童の道徳性の多くの部分は,日々の人間関係の中で養われる。学校や学級における人的な環境は,主に教師と児童及び児童相互の関わりにおいて形成される。教師と児童の人間関係は,教師に対する児童の尊敬と共感,児童に対する教師の教育的愛情,そして相互の信頼が基本になる。教師自身がよりよく生きようとする姿勢を示したり,教師が児童を尊重し児童から学ぼうとする姿勢を見せたりすることで信頼が強化される。そのためにも,教師と児童が共に語り合うことのできる場を日常から設定し,児童を理解する有効な機会となるようにすることが大切である。

イ 児童相互の人間関係

 児童相互の人間関係を豊かにするには,相互の交流を深め,互いが伸び伸びと生活できる状況をつくることが大切である。児童一人一人が互いに認め合い,励まし合い,学び合う場と機会を意図的に設けるとともに,教師は児童の人間関係が常に変化していることに留意しつつ,座席換えやグループ編成の在り方などについても適切に見直しを図る必要がある。また,異学年間の交流を図ることは,児童相互による道徳教育の機会を増すことになる。

ウ 環境の整備

 児童の道徳性を養う上で,人的な環境とともに物的な環境も大切である。具体的には,言語環境の充実,整理整頓され掃除の行き届いた校舎や教室の整備,児童が親しみをもって接することのできる身近な動植物の飼育栽培,各種掲示物の工夫などは,児童の道徳性を養う上で,大きな効果が期待できる。各学校や各学級においては,計画的に環境の充実・整備に取り組むとともに,日頃から児童の道徳性を養うという視点で学校や教室の環境の整備に努めたい。

 また,学校や学級の環境の充実・整備を教職員だけが中心となって進めるだけでなく,児童自らが自分たちの学級や学校の環境の充実・整備を積極的に行うことができるよう,特別活動等とも関連を図りながら指導することも大切である。

 

(2) 豊かな体験の充実

 集団生活を通して協力して役割を果たすことの大切さなどを考える集団宿泊活動,社会の一員であるという自覚と互いが支え合う社会の仕組みを考え,自分自身をも高めるためのボランティア活動,自然や動植物を愛し,大切にする心を育てるための自然体験活動など,様々な体験活動の充実が求められている。各学校においては,学校の教育活動全体において学校の実情や児童の実態を考慮し,豊かな体験の積み重ねを通して児童の道徳性が養われるよう配慮することが大切である。その際には,児童に体験活動を通して道徳教育に関わるどのような内容を指導するのか指導の意図を明確にしておくことが必要であり,実施計画にもこのことを明記することが求められる。

 さらに,地域社会の行事への参加も,幅広い年齢層の人々と接し,人々の生活,文化,伝統に親しみ,地域社会に対する愛着を高めるだけでなく,地域社会への貢献などを通じて社会に参画する態度を育てるなど,児童にとっては道徳性を養う豊かな体験となる。具体的には,学校行事や総合的な学習の時間などでの体験活動として,自治会や社会教育施設など地域社会の関係機関・団体等で行う地域社会振興の行事や奉仕活動,自然体験活動,防災訓練などに学校や学年として参加することなどが考えられる。その場合には,その行事の性格や内容を事前に把握し,学校の目標や年間の指導計画との関連を明確にしながら児童の豊かな体験が充実するよう進めることが大切である。

 

(3) 道徳教育の指導内容と児童の日常生活

 道徳教育で養う道徳性は,自己の生き方を考え,主体的な判断の下に行動し,自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となるものである。日常生活においても,人から言われるからといった理由や周りのみんながしているからといった理由ではなく,物事を多面的,多角的に考え,自らの判断により,適切な行為を選択し,実践するなど,道徳教育の指導内容が児童の日常生活に生かされるようにすることが大切である。

 特に,いじめの防止や安全の確保といった課題についても,道徳教育や道徳科の特質を生かし,よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことで,児童がそれらの課題に主体的に関わることができるようにしていくことが大切である。

ア いじめの防止

 いじめは,児童の心身の健全な発達に重大な影響を及ぼし,ともすると不登校や自殺などを引き起こす背景ともなる深刻な問題である。子供から大人まで,社会全体でいじめの防止等の指導を充実させていく必要がある。その対応として,いじめ防止対策推進法が公布され,平成25年9月から施行されている。各学校では,いじめ防止対策推進法に基づき,いじめ防止等のための対策に関する基本的な方針を定め,いじめの防止及び早期発見,早期対応に学校が一丸となって取り組むことが求められている。

 いじめの防止等と道徳教育との関連を考えた場合,同法第15条の中に「児童等の豊かな情操と道徳心を培い,心の通う対人交流の能力の素地を養うことがいじめの防止に資することを踏まえ,全ての教育活動を通じた道徳教育及び体験活動等の充実を図らなければならない」と示されている。

 すなわち,道徳教育においては,道徳科を要とし,教育活動全体を通して,生命を大切にする心や互いを認め合い,協力し,助け合うことのできる信頼感や友情を育むことをはじめとし,節度ある言動,思いやりの心,寛容な心などをしっかりと育てることが大切である。そして,学んだことが,日々の生活の中で,よりよい人間関係やいじめのない学級生活を実現するために自分たちにできることを相談し協力して実行したり,いじめに対してその間違いに気付き,友達と力を合わせ,教師や家族に相談しながら正していこうとしたりするなど,いじめの防止等に児童が主体的に関わる態度へとつながっていくのである。

 なお,道徳教育の全体計画を立案するに当たっても,いじめの防止等に向けた道徳教育の進め方について具体的に示し,教職員の共通理解を図ることが大切である。

 これらのことを踏まえ,第1学年及び第2学年で,「自分の特徴に気付くこと」や「自分の好き嫌いにとらわれないで接すること」,第3学年及び第4学年で,「自分の考えや意見を相手に伝えるとともに,相手のことを理解し,自分と異なる意見も大切にすること」や「誰に対しても分け隔てをせず,公正,公平な態度で接すること」,第5学年及び第6学年で,「よりよく生きようとする人間の強さや気高さを理解し,人間として生きる喜びを感じること」について,新たに内容項目を追加した。

イ 安全の確保

 児童自身が日常生活全般における安全確保のために必要な事項を実践的に理解し,生命尊重を基盤として,生涯を通じて安全な生活を送る基礎を培うとともに,進んで安全で安心な社会づくりに参加し貢献できるような資質や能力を育てることは,次世代の安全文化の構築にとって重要なことである。

 道徳教育においては,自律的に判断することやよく考えて行動し,節度,節制に心掛けることの大切さ,生きている喜びや生命のかけがえのなさなど生命の尊さの自覚,力を合わせよりよい集団や社会の実現に努めようとする社会参画の精神などを深めることが,自他の安全に配慮して安全な行動をとったり,自ら危険な環境を改善したり,安全で安心な社会づくりに向けて学校,家庭及び地域社会の安全活動に進んで参加し,貢献したりするなど,児童が安全の確保に積極的に関わる態度につながる。交通事故及び犯罪,自然災害から身を守ることや危機管理など安全に関する指導に当たっては,学校の安全教育の目標や全体計画,各教科等との関連などを考えながら進めることが大切である。